Adobe Lightroomに｢生成AI削除｣。Adobe Fireflyの力で不要なオブジェクトを除去

アドビは5月21日、写真編集ソフト｢Adobe Lightroom｣の最新アップデートの配信を開始した。

注目は、不要なオブジェクトをAdobe Fireflyの力を使って削除できる新機能｢生成AI削除｣が早期アクセス版として利用できるようになること。同機能はデスクトップ版だけでなく、モバイル版やiPad版、ウェブ版、Lightroom Classicで利用できる。

さらに、ベータ版として提供されてきた｢ぼかし (レンズ)｣ツールが新しいプリセットとともに一般提供開始となるなどのアップデートも実施される。

｢生成AI削除｣が早期アクセス版として提供

今回のアップデートでは、いよいよAdobeの生成AI ｢Adobe Firefly｣が｢Adobe Lightroom｣で利用できるように。新機能の｢生成AI削除｣は、｢Adobe Lightroom｣史上もっとも強力な消去ツールで、ワンクリックであらゆる写真から不要なオブジェクトを非破壊的に削除できる。

使い方はとても簡単で、不要なオブジェクトがある範囲をざっくりとツールで塗りつぶすだけ。AIが画像を分析し、不要なオブジェクトを削除するとともに、削除した空白の部分をAIによって生成してくれる。

生成候補は3つまで表示され、気に入らなかった場合は｢再生成｣をクリックすれば、再度3つの候補が生成される。

従来まで、｢Adobe Lightroom｣では｢コンテンツに応じた削除｣という機能が提供されており、小さくて背景がシンプルなオブジェクトは同機能を使って削除することができたが、背景やオブジェクトが複雑な場合は上手く削除できないことがあった。

しかし、今回の｢生成AI削除｣のデモを見てみたところ、かなりざっくりと範囲を指定しただけでしっかりと不要な人物を認識して削除し、背景も違和感のないように編集してくれていた。｢コンテンツに応じた削除｣よりも高度にオブジェクトを削除することが可能だ。

アドビの担当者によると、柄物のシャツのシミやテーブルクロスのしわ、水面の反射のような複雑なものでも削除できるほか、高度なレタッチにも活用可能。なお、現時点で｢Adobe Lightroom｣の機能における｢Adobe Firefly｣のバージョンは初代モデルを採用しているとのことだ。

また、範囲の指定を細かくしたい場合は、デスクトップ版を活用すると良い。デスクトップ版では削除を適用する前に削除範囲を一度確認でき、範囲指定が足りない or 多すぎると感じたら、範囲を追加したり削除できる。

さらに｢オブジェクト認識機能｣を使えば、削除したいオブジェクトに合わせてピンポイントに範囲が指定され、削除する範囲をギリギリまで小さくすることができる。削除範囲をできるだけ小さくしたい場合には、デスクトップ版の利用がオススメだ。

｢ぼかし (レンズ)｣機能が一般提供開始

昨年10月にベータ版として提供されていた｢ぼかし (レンズ)｣機能の一般提供が開始した。

｢ぼかし (レンズ)｣機能は、ツールを選択してぼかし量を選択するだけで、ポートレート写真のようなボケ感をワンクリックで適用できる機能。焦点を当てる部分や焦点範囲も自由に調整可能で、手前のオブジェクトに焦点を合わせて背景をぼかしたり、逆に背景に焦点を合わせて手前のオブジェクトをぼかすという効果も適用できる。

さらに一般提供に伴い、プリセット機能が追加。｢アダプティブ：背景をぼかす｣を選択することで、ぼかしたい範囲に加えて、｢円｣｢泡｣といった｢ぼかし形状｣も指定できる。ぼかし形状は、基本的には専用のレンズを用意して撮影しなければならないが、｢Adobe Lightroom｣なら自分のイメージしたぼかし効果を自由に適用できる。

その他の新機能

｢α7 IV｣や｢α7R V｣などの最新のソニーデジタルカメラを含む新しいカメラのテザリングサポートが拡大。｢Adobe Lightroom Classic｣の写真にリアルタイムでアクセスできる。
｢HDR最適化｣を使うことで、誰もが写真のインプットからアウトプットまでHDRのワークフローを担保しながら編集できる
モバイル版およびデスクトップ版では、フォトライブラリーのフォルダにアクセスしてすぐに編集できるように。
モバイル版では、モバイルツールバーにもっともよく使う機能が優先的に表示されるようになった。

｢Adobe Lightroom｣の最新アップデートは、本日5月21日(火)22時前後から順次配信が開始されている。まだ利用できない方はもう少し待てばアップデートが降りてくるはずだ。