
Appleは8月14日(米国時間)、米国内で販売されたApple Watch Series 9、Series 10、Apple Watch Ultra 2の一部モデル向けに、「再設計された血中酸素」機能を提供すると発表した。配信は、同日中に開始されるiOS 18.6.1およびwatchOS 11.6.1のアップデートで行われる。
対象は、米国内で販売され、かつこれまで血中酸素機能が搭載されていなかったモデル(型番末尾がLW/A)。型番はApple Watchの「設定」アプリの[一般]→[情報]、またはiPhoneの「Watch」アプリの同じ項目から確認できる。
Appleによれば、計測の流れは従来と異なる。ユーザーはApple WatchのBlood Oxygenアプリ(血中酸素アプリ)から計測を開始し、センサーがデータを取得。その後の測定値計算はペアリングされたiPhone側で実行され、結果は「ヘルスケア」アプリの「呼吸」カテゴリに表示される。バックグラウンド計測にも対応し、Apple Watchが収集したデータを自動的にiPhoneへ送信して解析できる。
輸入禁止から機能復活へ。背景にMasimoとの特許紛争
今回の再設計は、米国税関が「このソフトウェア仕様なら輸入可能」と判断したことを受けたものだ。Appleは同時に、米国国際貿易委員会(ITC)による当初の輸入禁止措置の取り消しを求め、米連邦巡回控訴裁判所(U.S. Court of Appeals for the Federal Circuit)への控訴も続けている。
Appleと医療機器メーカーのMasimoは、Apple Watchの血中酸素機能に関する特許を巡り長年争ってきた。2023年12月にはITCの判断に基づく輸入禁止が発効し、Appleは米国内でのApple Watch販売を一時停止。2024年1月18日からは、血中酸素機能を省いたSeries 9とUltra 2を再販売した。その後、2024年9月に登場したSeries 10も同様に米国モデルでは血中酸素機能が省かれていた。
Appleは今回の発表で「すでに血中酸素機能を搭載して販売されたApple Watchや、米国外で購入された製品には影響はない」としている。