
AIテクノロジー企業 HONG KONG FUTURE INTELLIGENT TECHNOLOGY CO., LIMITED の日本総代理店であるVISION INTELLIGENCEが、ブランド「viaim(ヴィエイム)」の新モデル「viaim OpenNote」を発売した。
耳を塞がないオープンイヤー型のワイヤレスイヤホンにAIレコーディング機能を統合した点が特徴で、録音・文字起こし・翻訳・要約・マインドマップ生成を1台で完結できる。
販売はAmazon.co.jp
今回は、発売に先立って実機を試すことができたので、AIレコーダーとしての実用性や、イヤホンとしての仕上がりを中心に紹介したい。
「viaim OpenNote」オープンイヤー型で装着しながらの録音が快適。多言語モードと話者認識で大規模イベントにも強い
「viaim OpenNote」 は、今年5月に発売された「RecDot」と「NoteKit」に続く、viaimのワイヤレスイヤホン兼AI会議アシスタント。高音質なワイヤレスイヤホンに、AIを使った会議アシスタント機能を融合したデバイスだ。
「音楽を聴く」 というこれまでの使い方に加えて、内蔵したマイクで拾った音声をAIがリアルタイムで認識・書き起こし・要約することで会議の議事録などを作成できるという商品だ。これまでも同様の製品は登場していたが、「viaim OpenNote」 はそれをオープンイヤー型で実現した。
イヤホンに内蔵されたマイクで会話を録音し、スマホアプリ「viaim AI」と連携してノート化できる。会議が始まったらアプリをタップするだけで録音を開始できるほか、イヤホンのタッチセンサーを触れるだけでも録音を始められる。
マイクは、左右のイヤホンそれぞれに備え、人の声を自然な距離感で拾えるため、会議室のような反響する環境でも聞き取りやすい音で録音が可能だ。
録音時には、最大3言語を同時に認識する「多言語モード(ベータ版)」にも対応。複数言語が混ざる場面でも自動で日本語へ翻訳して表示できる。対応言語は78言語(バリエーション含め145言語)。海外取材や外国人が参加する会議など幅広いシーンで役立つ。
文字起こしや翻訳した内容は、QRコードやURLを通じてほかのユーザーへリアルタイム共有でき、最大300人まで同時閲覧が可能。大規模なセミナーでも活用しやすい。
上記はとあるイベントを多言語モードで実際に録音したときの様子。このときは英語+通訳による日本語の2言語が混在するイベントだったのだが、聞き取った内容はリアルタイムでテキスト化することができていた。話者認識機能も搭載されており、リアルタイムで話者を区別して自動でラベルを付与することもできる。
録音した音声を聞いてみたところ、適度なノイズ除去が効いていて、後から聞き返しても十分に聞き取れるくらいのクオリティになっていた。
なお、この多言語モードは現時点でベータ版のため無料で使えるが、将来的には有料化される可能性があるとのこと。ただ、精度は高く、外国語が混在する会議や海外出張が多い人なら大きなメリットを感じられるはずだ。価格次第ではあるが、利用を検討する価値は高い。
録音データはBluetoothでスマホへ転送され、そのままAIが自動でテキスト化。要点の抽出、議事録形式への整形、アクションアイテムの抽出まで、AIが一連の作業をこなしてくれる。
こちらはAIによる要点まとめだが、イベントの概要をほぼ正確に整理していた。製品名や人名など固有名詞は音声だけでは判別の難しいケースもあるため、正式な資料にする際にはユーザー側のチェックが必要だが、それ以外は概ね正確にまとめられている。
さらに、録音データを自動でマインドマップ化する機能にも対応。GPT-5、Claude 3.7、Gemini 2.5など主要モデルと連携し、検索や要約の精度も高い。
これらの文字起こしや翻訳などの処理にはネット接続が必要だが、録音自体はオフラインでも問題ない。地下など電波の入りづらい会場でも、まず録音しておき、後から通信できる場所で文字起こしする、といった使い方もできる。
音質・マイク性能も高く、イヤホンとしての性能も◎
ここまではレコーダーとしての性能を中心に紹介してきたが、ここからはイヤホンとしての実力について触れていきたい。
OpenNoteはイヤーカフ型のオープンイヤーを採用し、耳を塞がないため蒸れにくく、長時間つけても疲れにくい。
5月に発売された「RecDot」もレコーダー兼イヤホンだったが、カナル型のため耳をしっかり塞ぐ使用感だった。オープンイヤー型のOpenNoteなら、装着したまま録音しても圧迫感がない。
カナル型は音楽を聴いたり動画の音声を聴くなどイヤホン用途として使う分には全く問題ないのだが、しっかりと耳を塞いでしまうことから、電車のアナウンスなど周囲の音を聞きたいときには不向きだった。
オープンイヤー型なら耳を塞がない形状のため、イヤホンを装着していても周囲の音を聞き取りやすい。また、耳に装着してレコーダー機能を使うときにも、録音しつつも会議やイベントの音が聞き取りやすいことから、より快適に利用できるようになった。
航空級チタンメモリーフレームと液体シリコンの組み合わせで、軽量かつ柔軟。歩行や軽い移動ではズレにくく、メガネやマスクとも干渉しにくい。“つけている感覚”が薄れ、作業しながらBGMを流したり、通知を聞いたり、そのまま会議に入ったりと、生活に自然に溶け込む。2025年度グッドデザイン賞を受賞したのも納得だ。
本体には一切の物理ボタンがなく、ロゴ付近にある窪みに搭載されたタッチセンサーを上下からつまむように操作する仕組みだ。1回・2回・3回タップに加えて、長押し、2回タップ+長押しの全5種類の操作パターンに対応しており、アプリから任意の機能を割り当てられる。
センサーの反応精度は高く、配置場所もよく考えられているため、日常動作でうっかり触れてしまう誤操作が起こりにくい。普段使いでストレスを感じない操作性は好印象だ。
肝心の音質は、中域がクッキリと聴こえ、ボーカルなどの輪郭が明瞭。高域は刺さりが抑えられており、長時間のリスニングでも疲れにくい。低音も過度に弱くならず、質感をしっかり感じられる。オープンイヤー型としてはバランスが非常によく、日常用途なら十分以上の品質だ。
さらにHi-Res Audio WirelessやLHDCにも対応し、最大1000kbpsでの再生が可能。音楽鑑賞を主目的としたイヤホンではないものの、「仕事中のBGM」や「移動中の軽いリスニング」ならまったく不満はないだろう。
音楽だけでなく、デュアルマイクとAIアルゴリズムによる通話ノイズキャンセリングのおかげで、通話時も相手の声をクリアに聞き取れる。オンライン会議用としても使いやすい。
ちなみに、オープンイヤー型は音漏れが課題と言われるが、OpenNoteは音の指向性が良く、一般的なオープン型よりも漏れが少ない印象だった。実際に静かなオフィスで試したところ、音量40〜50%なら隣席でもほとんど聞こえず、ビジネスの場でも使いやすい。
2台同時接続にも対応しており、PCで使っている最中にスマホへ着信があれば、自動で切り替わる。アプリや設定画面で接続先を手動で変更する必要がなく、日常の小さな手間が減るのは便利だ。
バッテリー持ちは本体単体で最大19時間、ケース併用なら53時間とロングバッテリー仕様。会議前にバッテリー残量が少なくても、10分の急速充電で最大3時間使えるため、バッテリー切れに悩まされる場面はほぼないはずだ。
ケースの充電端子は昨今多くのデバイスに採用されているUSB Type-Cで、スマホやPCの充電器をそのまま併用できるのも嬉しいところだ。なお、ケース表面はレザー調の仕上げで、デスク上に置いても「仕事道具」として馴染むデザインになっている。
まとめ:多機能なのに破綻しない。「器用貧乏」とは言わせない高い完成度
「OpenNote」を実際に使ってみてまず感じたのは、“レコーダー兼イヤホン” という性格が、オープンイヤー型との相性の良さをしっかり引き出しているという点だ。
5月に発売された「RecDot」も完成度は高く、筆者も取材の場で日常的に使っていた。ただ、カナル型は耳を塞いでしまうため、イヤホンを装着せず、ケースに入れたまま録音することがどうしても多かった。
その点、今回のOpenNoteは「耳を塞がない」構造のおかげで、会議やイベントの音を自分の耳で自然に聞き取りながら録音できる。結果として、耳に装着して使う場面がグッと増えそうだと感じている。
コロナ禍が明けて展示会などに参加する機会が増えたが、OpenNoteなら会場を歩きながら説明を受けるようなシーンでも、手を塞がずに音声を録音できるのが非常に便利だ。
また、多機能な製品は「色々できる反面、器用貧乏になりがち」という印象だが、OpenNoteは音楽再生から通話、録音、AIによる要約まで、それぞれの機能がきちんと高い品質でまとまっている。日常使いからビジネスシーンまで、どんな場面でも頼りになる存在になってくれそうだ。
