
ソニーグループが5月8日に発表した2026年3月期(2025年度)の連結決算は、売上高が前年度比4%増の12兆4796億円となり、過去最高を更新した。営業利益は1兆4072億円、純利益は1兆309億円だった。
ホンダと共同で進めていた電気自動車(EV)事業の計画見直しに伴う約449億円の損失や、ゲーム開発会社Bungie関連の減損を計上した一方で、ゲーム事業と半導体事業が大きく伸び、全体の業績を支えた。
なお、金融事業のスピンオフに伴い、2025年度決算から金融分野は非継続事業として区分変更されている。
PS5は販売減でも収益拡大。サービス型へ移行進む
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野は、売上高4兆6857億円、営業利益4633億円となり、過去最高益を更新した。
PlayStation 5(以下、PS5)は2020年の発売以来、ソニーのゲーム事業を支える中心的な存在となってきた。発売当初は品薄が続いたが、現在は世界中で普及が進み、大規模なゲームプラットフォームへと成長している。
2025年度のPS5販売台数は1600万台で、前年度の1850万台から減少した。ハードとしては普及が一巡し、製品サイクル後半に入った状況といえる。
一方で、ユーザー数は増加を続けている。月間アクティブユーザー数は2026年3月時点で1億2500万アカウントとなり、過去最高を記録した。
現在のPlayStation事業では、ゲーム機本体よりもデジタル販売やサービス収入の存在感が大きくなっている。ゲーム内アイテムや追加コンテンツなどの「アドオンコンテンツ」売上は1兆3596億円となり、ハードウェア売上の9444億円を上回った。PlayStation Plusなどを含むネットワークサービス売上も7631億円まで伸びている。
ソフトウェア販売本数は年間3億1790万本。このうち自社制作タイトルは3210万本だった。フルゲームのデジタル販売比率は78%に達している。
一方、ライブサービス戦略では課題も見えた。ソニーはBungie関連で約1201億円の減損損失を計上した。Bungieは『Destiny』シリーズで知られ、ライブサービス型ゲーム強化の柱として2022年に買収した企業だが、収益計画や開発体制の見直しが進められているとみられる。
その一方で、ソニーは「次世代プラットフォーム」への投資を本格化させる方針も示した。PS5で築いたユーザー基盤やサービス収益を活用し、次世代ハードやクラウド、開発環境への投資を進める考えだ。
半導体とIP展開を強化。大型投資も継続
イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野も好調だった。売上高は2兆1515億円、営業利益は3573億円で、こちらも過去最高となった。
成長を支えているのはスマートフォン向けイメージセンサーだ。近年は画素数競争よりも、センサー大型化による画質向上が重視されるようになっており、高付加価値製品の出荷増加が利益拡大につながった。
デジタルカメラ向けセンサー需要も堅調に推移している。一方で、2026年度はスマートフォン市場の伸び鈍化やメモリ市況の影響など、不透明な要素もあるとしている。
ソニーは2024年度から2026年度までの中期経営計画で、総額5.7兆円規模の投資を計画している。戦略投資に1.8兆円、設備投資に1.8兆円を投じ、ゲーム、映画、音楽、半導体を横断したIP戦略を強化する。
映像分野では、『Spider-Man: Brand New Day』『Jumanji: Open World』の公開を控えるほか、『ゼルダの伝説』実写映画化や『Helldivers』映像化プロジェクトも進行中だ。
アニメ分野ではCrunchyrollを軸に海外展開を進めており、『鬼滅の刃 無限城編』の海外配給も収益貢献が期待されている。
なお、ソニーは5000億円を上限とする自己株式取得も発表した。年間配当は2025年度に25円、2026年度には35円への増配を見込んでいる。
