Samsung、Gemini搭載のスマートグラスを今秋発売へ。スマホを見ずにAIと会話、4種類のフレームを展開

サムスン電子は、英国ロンドンで開催した「Galaxy Unpacked」において、Googleと共同開発する新しいスマートグラスの詳細を発表した。GoogleのAIアシスタント「Gemini」と「Android XR」を搭載し、スマートフォンを手に取って画面を確認しなくても、目の前の状況に応じてAIを利用できるウェアラブルデバイスだ。

発売は2026年秋を予定している。価格や具体的な発売日は現時点で明らかにされていない。

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スマホの次にあるAIデバイスとして開発。Google、Gentle Monster、Warby Parkerと協業

サムスンが今回発表したスマートグラスは、同社がスマートフォンを中心に展開してきたGalaxyエコシステムを、メガネという新しい領域へ広げる製品だ。

AIが質問に答えるだけでなく、ユーザーの置かれた状況を理解し、必要な情報を先回りして提供する「エージェント型」へ進化するなか、サムスンはAIとの接点をスマートフォンの画面からユーザーの視界へ移そうとしている。

たとえば、街を歩いているときに目的地までの道順を尋ねたり、旅行先で目の前の外国語を翻訳したり、仕事中にホワイトボードの内容を記録したりといった作業を、スマートフォンを取り出すことなく行える。移動中や仕事、旅行など、日常のさまざまな場面でハンズフリーのAI体験を提供することを狙った製品だ。

このスマートグラスは、Googleが2026年5月に開催した開発者会議「Google I/O」で披露された構想を具体化したものでもある。サムスンとGoogleは、Android XRを基盤とした次世代のXRデバイスを共同で開発しており、今回のスマートグラスはその取り組みから生まれた第1弾となる。

サムスン電子社長兼MX事業本部COOのWon-Joon Choi氏は、インテリジェントアイウェアについて「一人ひとりの状況に応じて、より直感的で自然に応答する体験を実現する。インテリジェントアイウェアは新たなインタラクションの接点となり、よりパーソナライズされたAIアシスタントを提供する」と説明している。

製品開発では、Googleだけでなく、グローバルなアイウェアブランドであるGentle MonsterとWarby Parkerとも協業した。スマートグラスはカメラやマイク、スピーカーなどを搭載する一方、毎日身に着けるメガネとしてのデザインや掛け心地も重要になるためだ。

Google I/Oでは両ブランドのフレームデザインが1種類ずつ公開されていたが、今回のGalaxy Unpackedでは新たに2種類を追加。Gentle MonsterとWarby Parkerからそれぞれ2種類、合計4種類のフレームが用意されることが明らかになった。サムスンによれば、今後さらにデザインを追加する可能性もあるという。

Gentle Monsterの新モデルは、スリムなブラックフレームに直線的なアッパーリムと丸みを帯びた下部リムを組み合わせたデザイン。一方、Warby Parkerの新モデルはブラウン系のカラーと緩やかに跳ね上がったブロウラインを採用し、普段の服装にも合わせやすい形状に仕上げている。

フレームはシームレスなヒンジ構造を採用。額や耳にかかる圧力、フィット感などを検証し、長時間の装着でも疲れにくい設計を目指した。サムスンによると、耐久性試験では一般的なメガネより高い強度を確認しており、通常のメガネの数倍の強度を実現しているという。同社はスマートグラス関連の技術について200件以上の特許も出願している。

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Geminiが視界を理解。ナビや翻訳、メモ、撮影までスマホなしで操作

ハードウェアにはQualcommの「Snapdragon AR1 Gen 1」プラットフォームを採用する。フレームにはカメラを1基搭載し、写真や動画の撮影に加えて、AIがユーザーの視界にある情報を理解するためにも利用する。

カメラが捉えた映像をもとにGeminiが質問へ回答したり、目の前にあるものについて説明したりできるほか、リアルタイム翻訳にも対応する。外国語で書かれた看板や資料を確認したり、外国語での会話をサポートしたりする場面での活用が想定されている。

Geminiはユーザーの現在の状況だけでなく、過去のやりとりや文脈も理解し、関連する情報をつなげながら会話を続けられるという。毎回同じ内容を説明したり、質問を最初から繰り返したりする手間を減らし、より自然なAIとの対話を目指している。

仕事での利用も想定する。たとえば、会議中にホワイトボードへ書かれた内容や、目の前で行われている会話を記録し、内容を整理して「Samsung Notes」に保存できる。長文メッセージの要約や音声による読み上げにも対応するため、スマートフォンの画面を開かずに情報を確認できる。

ナビゲーション機能では、ユーザーが目的地を尋ねると、現在地や目の前の風景をもとにルートを案内する。音声などを通じて必要な情報を受け取れるため、地図アプリを確認するためにスマートフォンを取り出す必要がない。

通話中には、自分が見ている景色をリアルタイムで相手と共有することも可能だ。さらに、一人称視点で写真や動画を撮影できるため、ユーザー自身の視点から見た映像を記録する用途にも使える。

操作方法もスマートフォンに依存しない。音声やジェスチャー、フレームに搭載されたタッチ操作などに対応するほか、Galaxy Watchとの連携も可能だ。ダブルピンチによる通話応答や、タップによる撮影にも対応する。撮影した写真や動画は、Galaxyスマートフォンの専用フォトアルバムへ自動的に保存される。

本体のバッテリー駆動時間は最大9時間。動画撮影や「Gemini Live」のAIモードを利用している状態でも、この駆動時間を実現するとサムスンは説明している。専用の充電ケースを使えば、最大7回分のフル充電が可能だ。

OSにはAndroid XRを採用する。Android XR搭載スマートグラスとしては最初の製品になる見通しで、GoogleのGeminiに加えて、サムスンのAIアシスタント「Bixby」も利用できる。

一方、カメラを搭載するスマートグラスならではのプライバシー問題も残る。写真や動画を撮影する際には録画を知らせるLEDが点灯し、LEDがふさがれている場合は撮影できない仕組みを採用する。ただ、周囲にいる人が撮影される可能性をどう受け止めるかは、今後も業界全体で議論が続くテーマになる。

サムスンもカメラ搭載AIグラスのプライバシー問題は業界共通の課題だと認識している。Choi氏は、スマートグラスをBluetoothとWi-Fiでスマートフォンなどと接続する現在の仕組みだけでは、将来的なウェアラブル体験には十分ではないとの考えを示しており、Qualcommとともに次世代の接続技術についても取り組んでいるという。

今後はスマートグラスだけでなく、スマートウォッチやイヤホン、ディスプレイを搭載したグラスなど、複数のウェアラブルデバイスを同時に連携させる環境も想定される。サムスンとGoogleが、AIとウェアラブルをどのように組み合わせていくのかにも注目が集まりそうだ。

(画像:Samsung)

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