
ASUSとMicrosoftは、両社のパートナーシップによって生まれたポータブルゲーミングPC「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」の予約受付を本日9月26日より開始した。
価格はROG Xbox Allyが89,800円、ROG Xbox Ally Xが139,800円 (どちらも税込)。発売はどちらも10月16日を予定している。
本発表に先立ち、ASUS JAPANはメディア向け内覧会を実施。「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」の詳細についての説明があり、実際に実機を触ることができた。
すでに当サイトでは、ROG Xbox Allyシリーズについて、8月にドイツで開催されたgamescomでのハンズオンレビューを掲載しているが、改めて両製品について詳しく紹介したい。
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Xbox体験を手のひらに
「ROG Xbox Ally」シリーズは、ASUSとMicrosoftが共同で開発した新型ポータブルゲーミングPC (ハンドヘルド機) だ。
ASUSが販売している「ROG Ally」シリーズのハードウェア開発ノウハウに、MicrosoftがXboxとWindowsのエコシステムを統合・最適化した新しいソフトウェア体験を組み合わせることで、よりコンソールライクかつ直感的な操作性を実現している。
最大の特徴は、従来のROG Allyから一歩進んだ「Xboxとのシームレスな統合」にある。OSはWindows 11 Homeをベースにしつつ、新たにXbox UIを搭載。起動時にはフルスクリーンのXbox体験が立ち上がり、ゲームライブラリや設定に直感的にアクセスできる。
Xboxボタン長押しでUIを呼び出し、音声通話アプリとの切り替えやキャプチャーなどもスムーズに操作できる点は、これまでのポータブルゲーミングPCとは一線を画す。
さらに「Xbox Play Anywhere」に対応することで、Xboxコンソールとセーブデータを共有できる。自宅の据え置きで進めたタイトルを外出先のAllyでそのまま遊べる体験は、ゲームの持ち運びをより自然なものにしている。
コントローラーのような持ち心地
本体デザインは、よりコントローラーに近い持ち心地を目指して設計されている。エルゴノミクスデザインを採用し、Xboxコントローラーの概念を取り入れることで、長時間のプレイでも疲れにくいグリップ感を実現しているのが特徴だ。
さらに上位モデルのXbox Ally Xでは、より没入感を高めるためにインパルストリガーを搭載。レースゲームやシューティングゲームといったジャンルでは、トリガーの抵抗感や細かな操作フィードバックがプレイ体験を一段引き上げる。
こうした設計思想は、PCゲーム機という枠を超えて「コンソール的な遊びやすさ」を重視した結果といえる。ハードウェアの性能だけでなく、ユーザー体験全体をXboxに近づけたことで、ポータブルゲーミングPC市場に新しい基準を提示している。
2モデル構成、AIアクセラレーション対応の上位機も
今回は初めて、2モデルが同時に投入される。スタンダードモデルのXbox Allyは、AMD Ryzen Z2 Aプロセッサー (CPU:8コア16スレッド、GPU:RDNA 2ベースの8コア) を搭載し、カジュアルなゲームや720p環境に最適化されている。
一方、上位機となるXbox Ally Xは、Ryzen AI Z2 Extreme (CPU:4コア8スレッド、GPU:RDNA 3.5ベースの16コア) を搭載。ゲームパフォーマンスに関しては、省電力性に優れたサイレントモードの状態で、前世代の「ROG Ally X」のパフォーマンスモードと同等のパフォーマンスを実現しており、より少ない電源供給で効率よくパフォーマンスを引き出すことができるとしている。
また、Xbox Ally Xは最大50TOPSのNPUを内蔵したことで、ポータブルゲーミングPCとしては初のAIアクセラレーション対応を実現。Auto SRのようなAIアップスケーリング技術が活用できる。
それぞれ、Xbox AllyはLPDDR5X-6400 16GBメモリ、PCI Express 4.0 x4 接続の512GB SSDを備え、Xbox Ally XはLPDDR5X-8000 24GBメモリ、PCI Express 4.0 x4 接続の1TB SSDを備える。カラーはXbox Allyがホワイト、Xbox Ally Xがブラックとモデルによって分けられていて、見た目からも判別できるようになっている。
特に上位モデルのXbox Ally Xに関しては、ポータブルゲーミングPCとは思えない構成に加えて、インパルストリガーやUSB4ポートなども備え、AAAタイトルを本格的に楽しむユーザーに向けたプレミアム仕様となっている。
バッテリー容量は、Xbox Allyが60Wh、Xbox Ally Xが80Wh。具体的なバッテリー駆動時間は、Xbox Allyが動画再生10.4時間/アイドル19.2時間、Xbox Ally Xが動画再生13.9時間/アイドル22.3時間と案内されている。
各種インターフェースはゲームプレイの妨げにならないように本体上部に搭載。Xbox AllyはUSB3.2 (Type-C/Gen2/Power Delivery/映像出力対応) を2ポート搭載したほか、Xbox Ally XはUSB4 (Type-C/Power Delivery/映像出力対応)と、USB3.2 (Type-C/Gen2/Power Delivery/映像出力対応) を搭載する。
また、両モデルともmicroSDカードリーダーや指紋認証対応電源ボタン、Hi-Res対応のマイクロホン/ヘッドホン/ヘッドセット・コンボジャックを搭載する。
画面と冷却性能
両モデルともに7インチ/フルHD・120Hzの液晶ディスプレイを採用し、最大輝度500ニトで屋外利用にも対応。画面の表面には業界トップレベルの耐衝撃性と耐擦傷性を誇る Corning Gorilla Glass Victus、コーティングには反射防止性能に優れたCorning Gorilla Glass DXCを採用しており、見やすさと持ち運びやすさも配慮した。
冷却には刷新されたROGインテリジェントクーリングシステムを搭載し、ユーザーの長時間プレイを支える。
ASUSによると、ユーザーからのフィードバックに基づきエアフローを改善したことでより排熱と冷却性能が向上しており、どの角度でプレイしても快適に使用できるように特別に設計されたヒートパイプと、マザーボードとディスプレイパネルの間に送風することができるデュアルファンの搭載により、前世代より約15%もエアフローが向上しているとのこと。
さらに吸気部にはROGダストフィルターを搭載し、ファンに異物が入って冷却性能が低下することを防いでくれる。
Xboxストアページには互換性が表示されるように
Xbox Allyの発売に伴い、ゲームを購入・ダウンロードするXboxのストアページには、各ゲームタイトルのポータブルゲーミングPCの互換性を示すステータスがアイコンで表示されるようになる。
日本語ストアでの表記がどうなるかはまだ未定だが、アイコンとステータスは以下のとおりだ。
- Handheld optimized (完全サポート)
- Mostly compatible (設定を調整すればプレイ可能)
- Unsupported (サポートしない)
- Not tested (テスト未実施)
Microsoftによると、上記のアイコンの表示はDay 1 (発売初日) から対応予定であるとのこと。
同社は「Day 1」以降も追加機能の開発を進めており、すでにいくつかのロードマップを明らかにしている。
まず、家庭用ゲーム機のように据え置きスタイルで利用したいという声に応える形で、Xboxコントローラーを前提としたドッキングソリューションの準備が進められている。
さらに、特定タイトル向けの新機能としてアドバンスシェーダーデリバリー (ASD) を導入予定だ。これは通常は端末側で行われるシェーダーコンパイルをクラウド上で事前処理し、その成果を端末に配信する仕組みで、バッテリー持続時間の改善に加えて、ゲーム起動までの時間を最大で10分の1に短縮できるという。
加えて、NPU (Neural Processing Unit) の性能を活かしたAI機能もDay 2以降に提供される。具体的には、外部モニター接続時に低解像度の映像を高解像度かつ高フレームレートにアップスケールするオートマティック スーパーレゾリューション (Auto SR) や、ボス戦などの名場面を自動的に抽出して短い動画クリップにまとめるハイライトリール生成機能 (A-Reel) などが挙げられている。
これらの追加機能の開発方針はコミュニティのフィードバックを強く意識しており、インサイダープログラムを通じてユーザビリティ改善やAI活用に関する意見を募集しながら優先順位を決定していくとのこと。提供時期は機能ごとに異なり、リリース直後から順次実装されるものもあれば、来年春頃の配信を予定するものも含まれている。
周辺機器と販売情報
発売と同時に、アクセサリ群も用意される。撥水素材の「ROG Xbox Ally Premium Case」や7-in-1ドッキングステーション「ROG Bulwark Dock DG300」、100W対応のコンパクト充電ドックなど、外出先から据え置きプレイまでシーンに応じた拡張が可能だ。
各アクセサリの価格は以下 (いずれも税込)。
- ROG Xbox Ally (2-in-1) Premium Case:7,980円
- ROG Bulwark Dock DG300:23,980円
- ROG 100W Gaming Charger Dock:14,980円
Xbox Allyシリーズの取り扱いは、ASUS公式オンラインストアやAmazon、主要家電量販店など幅広く展開される。昨日から始まった「東京ゲームショウ2025」のROGブースでは国内最速で展示が行われており、来場者が実機を体験できる機会も設けられている。
昨日、実際に展示を見てきたが、40台もの実機が用意されており、発売済みのタイトルから未発売タイトルまで、様々なゲームをプレイしながらパフォーマンスをチェックできる。購入検討中の方や、2モデルのうちどちらが自分に合っているのかを確認したい人は、ぜひ会場に足を運んでみていただきたい。