iPhoneの製造でも知られる電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手の鴻海精密工業は、大規模なリストラを実施するようだ。複数の中国・台湾メディアが報じている。
大規模リストラは、iPhoneの販売不振や米中貿易摩擦が関係しているとみられる。特に大きな影響を与えているのが米中貿易戦争。鴻海は人件費の削減や経営者の報酬の見直しを行う予定で、これらは2018年内に完了すると報じられている。今年7月の段階で鴻海の会長が「34万人を削減する」と宣言していたことから、今も大規模なリストラが実施されているとみられる。
鴻海精密工業の従業員削減、iPhoneの販売不振も少なからず影響か
また、米中貿易戦争のほかに、iPhoneの販売不振も人的資源の減少に影響していると予想される。
Appleの最新iPhoneの販売不振がにわかに現実味を増している。ここ数日、中国や台湾など中華系メディアを中心に、iPhone XS/XS MaxそしてiPhone XRの販売が不調であることが報じられた。Appleの高価格戦略の失敗やスマートフォン需要が減退していることなどが影響し、世界的にiPhoneの販売数の伸びが鈍化。販売不振を受け、AppleはiPhone XS/XS Max、iPhone XRの生産を当初予定から減らしたとも伝えられている。
さらに中国時報(中時電子報)によると、iPhoneの製造を請け負うFoxconn(鴻海科技集団)は減産に対応するため従業員の残業時間を減らした結果、自主退職を希望する従業員が増えているという。その規模は数千人規模ととても大きなものになっているのだとか。
当然、34万人もの大規模リストラはiPhoneの減産だけが理由ではないものの、鴻海は現時点でふたつの大きな問題に直面しているため、戦略の見直しが必要であるはずだ。株価も70台湾ドル付近まで落ち、過去5年間で最も低い水準に到達、今後の情報次第ではさらなる値下がりも予想されている。