Appleは、人気音楽認識アプリ「Shazam」を買収することを決定したようだ。Recodeによると買収にかかる費用は4億ドル(日本円で約452億円)、早ければ来週月曜にも買収が発表される可能性があるとのこと。
Apple、Shazamを買収か
Appleが、同社を買収する理由は明らかになっていないが、当然ながらShazamが持つ音楽認識技術はAppleにとって魅力的なはず。
また、Shazamのサービスを経由してユーザーがiTunes Storeから楽曲を購入した際にAppleから支払われる金額は、iTunes Storeでの音楽全体の売上の10%を占めるとThe Wall Street Journalは指摘している。今回の買収によって、Appleは10%のコストを抑えることもできるのかもしれない。
AppleとShazam、この両社は「iOS 8」リリース前に音楽検出機能を共同開発したことがあるなど関係は深い。「iOS 8」からは、音声アシスタント「Siri」を使って音楽を検索できるようになるなど、両社のサービスが一部統合されている。
また、Shazamを買収することでAppleはライバルに差をつけることもできるという。そのライバルとは、音楽配信サービスで先行するSpotifyやGoogle。
現状では、Shazamで音楽を検索したあと、「Apple Music」の他に「Spotify」や「Google Play Music」でその音楽を聴くという選択肢があるが、Appleが同アプリを買収すれば、他社サービスへの遷移をシャットアウトすることができる。
1日に100万回以上の曲検索が行われるアプリが断ち切られたとすると、影響はとても大きいだろう。ただし、これらが実施されるかどうかは現段階では不明、正式な発表を待つしかなさそうだ。
買収の真の目的はShazamの持つAR技術?
ただ、Appleの買収の真の目的は音楽関連ではなく、Shazamの視覚認識技術にあるのかもしれない。これを指摘するのはThe Verge。
Shazamは2015年から雑誌やポスター、書籍や雑誌などの物体をスマホのカメラでスキャンすることで、3Dアニメーションや360度ビデオを再生することができる。
これは、Googleの「Google Lens」と近いサービスで、Appleは同サービスに対し、ライバル心を持っているのかもしれない。「iOS」にAR技術を持ち込んだAppleなら、同社の技術を生かして何か新しいことを始めようと画作していたとしても何も不思議はないだろう。
「Shazam」アプリはリリースされてから、約10億回のダウンロード数を誇る巨大なサービス。しかし、規模の大きさの割に、同社は2016年にようやく黒字化に成功するなど、年間55億円ほどしか収益を得ることができていないのが現状。しかし、Appleの一員となれば利益面を気にする必要がなくなることから、買収に応じる可能性は高いとも言える。
[ via TechCrunch ]