今月12日に発表が予定されている次期iPhoneについて、KGI SecuritiesのMing-Chi Kuo氏が新しいレポートを公開している。同氏のレポートでは、次期iPhoneのプレミアムモデル「iPhone 8」が、なぜ高額になるのか、なぜ「Touch ID」が廃止されるのかの理由について説明が記されていることが判明した。
有機ELディスプレイの搭載が高額化の原因に
まず、「iPhone 8」の価格が高額になる理由について。
「iPhone 8」は、複数の新機能や有機ELディスプレイが搭載されることから、999ドル~1,199ドルの価格設定になることが予想されているが、Kuo氏の分析によると、高額化する理由は、「iPhone 8」には有機ELディスプレイが搭載されるからだという。
iPhone用の有機ELディスプレイを供給するのは、韓国Samsungの1社だけで、要は独占供給状態。他に供給できる会社はほとんどないため、Samsungに対して、Appleは値下げ交渉をするのは難しい。
Kuo氏によれば、「iPhone 8」の有機ELディスプレイのコストは120ドル~130ドル。これは、感圧タッチ技術の「3D Touch」用モジュールを含む額になるが、従来モデルの画面にかかるコストが45ドル~55ドルであったことから、「iPhone 8」の画面はこれまでの倍以上のコストがかかることになる。
他にもワイヤレス充電機能など多数の新機能が搭載されることもあり、「iPhone 8」は歴代で最も高い価格になることが想定される。
今年7月に、AppleはLG Displayに、有機ELディスプレイの工場建設に対する投資を行うことが明らかになっていたが、Appleがこの投資を行う理由は有機ELディスプレイのサプライヤーに価格競争を促すためなのかもしれない。
「Touch ID」廃止の理由は指紋をスキャンするセンサーと有機ELディスプレイの相性が悪いから
次に、「Touch ID」が廃止される理由について。
ご存知の通り、「iPhone 8」はホームボタンが廃止され、端末いっぱいに画面が広がるベゼルレスデザインになることが予想されている。
画面が広くなるため、普段の操作や映像を見るときに使いやすくなるのは間違いないのだが、ホームボタンが廃止されて困るのが指紋認証機能「Touch ID」の行方。
一時期は、ディスプレイの内部に指紋認証センサーを埋め込むことが予想されていたが、大量生産が難しいため導入を諦めたことが予想されていた。これについて、Kuo氏のレポートで「Touch ID」の廃止理由が明かされている。
Appleが「Touch ID」を廃止する理由、それは指紋をスキャンするセンサーと有機ELディスプレイの相性が悪いから。もっと言うと、有機ELディスプレイ越しに指紋をスキャンした時の認識性能が悪いから。
画面の内部に指紋認証機能を搭載できないとなると、画面外に「Touch ID」を配置する必要がある。一時は端末背面に丸い指紋センサーを配置することが予想されていたが、これはAppleとしても見た目的にアウトと判断したのだろう。
結果的に、「Touch ID」は廃止。おそらく代替案として顔認証機能「Face ID」が搭載されるのだと予想される。
ただ、「Face ID」の認識精度はとても高いものだと報じられている。Samsungの「Galaxy S8」シリーズに搭載された顔認証機能では写真を使っても突破することが可能だが、「iPhone 8」に関しては立体認識が可能なため、写真での突破は不可能とされる。他人が勝手に端末ロックを解除することは、おそらくできないだろう。
また認識までにかかる時間も短いため、Apple Payの使用時など瞬時に認証する必要がある場合にも不便することはなさそう。机の上に横たわらせた状態や暗闇の中でも認識できるという情報もある。
新機能やデザイン変更に伴い、従来端末から大きな変化が起こる「iPhone 8」。発表は今月12日(日本時間13日午前2時から)で、予約開始は15日(金)、発売は22日(金)であることが報じられているが、全ては来週のイベントで明らかになることだろう。
[ via 9to5Mac ]