「ポケモン×工芸展」 熱海市のMOA美術館で開幕。「工字繋ぎ」 の着物を着たピカチュウとの写真撮影も楽しめる

昨年3~6月に石川県金沢市にある国立工芸館で開催されたポケモンの工芸展示会 「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」 ( 以下、「ポケモン×工芸展」 ) が、2024年3月から滋賀県守山市の佐川美術館を皮切りに全国を巡回中。

7月6日からは、静岡県熱海市MOA美術館で本展が開催。報道陣向けにオープニングセッションが実施された。

オープニングセッションの後には、伝統柄 「工字繋ぎ」 の着物を着たピカチュウとのフォトセッションが実施されたほか、美術館内にある能楽堂舞台にて、ピカチュウとの写真撮影が楽しめるグリーティングイベントの様子もチェックすることができたので、本稿ではそれらのレポートをお届けする。

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MOA美術館館長の内田氏 「ポケモンを通して、時代を超えて多彩な工芸の素晴らしさを知ってもらいたい」

「ポケモン×工芸展」 は、もともと2023年3月21日〜6月11日まで、石川県金沢市の国立工芸館にて開催された、ポケモンと工芸のコラボレーション展。

「ポケモンと工芸、正面切って出会わせたらどんな化学反応が起きるだろう」 という問いに対し、人間国宝から若手まで20名のアーティストが工芸の多種多様な素材と技法によってポケモンに挑み、ひらめきと悶えと愉しみの中から生まれた多数の作品を展示した。

昨年11月には、本展が全国巡回する旨が発表され、今年3月〜6月には滋賀県守山市の佐川美術館で国内2会場目となる本展が開催。そして、今回のMOA美術館が国内3会場目の開催にあたる。

本展のMOA美術館での開催に伴い、初日となる7月6日に報道陣向けにオープニングセッションが実施。MOA美術館館長の内田篤呉氏、国立工芸館館長の唐澤昌宏氏、株式会社ポケモン 常務執行役員の田中雅美氏の3名が登壇した。

国立工芸館館長 唐澤昌宏氏

本展のMOA美術館での開催に際し、監修などを行った国立工芸館館長の唐澤氏は、まずは 「昨年3月から始まった本企画が国内3会場目となり、とても嬉しく思っています」 と述べた。

唐澤氏が本展を組み立てていく中で大切にしたことは、「ポケモンありきの展覧会には絶対にならないようにしたい」 という思いだったという。「日本の工芸は様々な素材から作り出される質感を作り手それぞれが引き出し、表現と一体化させているという特長があり、展示作品であるポケモンたちからはその奥深さが見てとれる。液晶画面で見るのとは違った独特の固有の素材を持つポケモンたちを目の前にし、会場では子どもたちがポケモンの説明をし、大人たちが工芸についてのうんちくを語る、そんな場面があちこちで見られることと思います」 と本展に対する思いを語った。

株式会社ポケモン 常務執行役員 田中雅美氏

株式会社ポケモンの田中氏は、「MOA美術館の素晴らしい環境と美しい空間、そこに国宝級の作品とともにポケモンの工芸作品が並んでいることに感動を覚えています。主催者や監修を行った国立工芸館、工芸作家をはじめとする関係各社の皆さまに心から御礼申し上げます」 と感謝の言葉を述べた。

田中氏によると、今回展示している工芸作品を作ったアーティストの半分以上は、初めてポケモンに触れるという人が多かったことから、まずは実際にゲームをプレイしてもらったり、映像作品を見てもらうところから始まったという。

「ポケモン」 という、手で触ることができない空想上の生き物を細部まで調べ尽くして理解した上で制作したり、ポケモンたちが持つ 「タイプ」 に着目して、それぞれのタイプにぴったりの技法を編み出したりと、それぞれの作家が過去の自身の作風や技術を超えるような新たなチャレンジに臨んだ上でできあがった工芸のポケモンたち。「工芸作家の皆さんそれぞれのユニークな魅力、そしてチャレンジを、これまでに見たことがないポケモンの新しい姿とともに楽しんでほしい」 と述べた。

MOA美術館館長 内田篤呉氏

MOA美術館館長の内田氏は、本展を開幕できたことに対する感謝の気持ちを述べるとともに、「ポケモンを通して、時代を超えて多彩な工芸の素晴らしさをより多くの人に知っていただきたい」 と本展についての思いを語った。

MOA美術館の展示スペースは、世界的に活躍している現代美術作家の杉本博司氏が設計を手掛けており、同氏は日本の素材をいかに表現するかという点にこだわりを持っているということで、工芸と通じる部分があると内田氏は語る。「彼が手掛けた現代アートの中に、ポケモンたちがいかに表現されているか、その空間もぜひ一緒にご覧いただきたい」 と、MOA美術館ならではの見どころについても紹介した。

オープニングセッションの後には、美術館内にある能楽堂舞台で、伝統柄 「工字繋ぎ」 の着物を着たピカチュウとの写真撮影が楽しめるグリーティングイベントの第1回目の様子を実際に見ることができた。

能楽堂の橋掛かり (入退場の通路) から元気いっぱいに登場したピカチュウに、会場は大盛り上がり。まずはピカチュウだけでの写真撮影の時間が設けられたあと、事前に配布された整理券の番号の順にそれぞれのお客さんとピカチュウとで個別に写真を撮影できる。

第1回目のグリーティングに参加したお客さんたちの中には、自分たちが持つポケモングッズを手に持って一緒に写真撮影をするお客さんもいたりと、それぞれがピカチュウとの特別な写真撮影を楽しんでいた。

グリーティングイベントは、7月14日(日)、8月11日(日)、8月25日(日)、9月8日(日)にも開催を予定している。参加費は無料なので、上記の日程でMOA美術館を訪れる予定の人は、思い出作りとしてぜひ参加してみてはどうだろうか。

▼ グリーティングイベント詳細

開催日:7月6日(土)、7月14日(日)、8月11日(日)、8月25日(日)、9月8日(日)
開催時間
①11:30 ~ 12:00 (整理券配布10:30~)
②13:00 ~ 13:30 (整理券配布12:00~)
③14:30 ~ 15:00 (整理券配布13:30~)
会場:MOA美術館 能楽堂
参加費:無料 (入館料別途)
参加方法:会場前にて整理券を配布

※カメラはお客様がご持参ください。
※当日の混雑状況によりご案内場所の変更や待ち時間が発生する可能性がございます。

グリーティングイベントの取材の後には、実際に展示スペースを見て回ることもできたので、いくつか作品を紹介。

筆者は昨年開催された国立工芸館でも本展を見ているのだが、MOA美術館の展示スペースでは各作品に反射しにくいガラスが使用されている関係で、まるで各作品が目の前にあるかのようにリアルに見ることができ、写真撮影時にも映り込みがないのでとても綺麗に撮影できる。

上記は、現代彫金作家の吉田泰一郎氏の作品。金・銀・銅など様々な金属素材で、ポケモンたちの質感を表現している。サンダースのミサイルばり、刺さると痛そう。

陶芸家の今井完眞氏によるフシギバナとコイキング。粘土を指先で伸ばしながら形を整えていく手びねりという技法で作られた陶器の作品。ポケモンたちの 「らしさ」 が陶器でも表現されているのが印象的だ。

天然木材で絵や図を表現する木画技術 「木象嵌」 を使って作られたアゲハントとアリアドスは、木工作家の福田亨氏の作品。作品名は 「雨上がり」 と 「Floor」 。ホウオウの 「飛昇」 は、16種類の木を着色せず表現しているとのこと。

漆芸家の田口義明氏による、蒔絵棗 「春を呼ぶ」 と乾漆蒔絵螺鈿蓋物 「遊」 。蒔絵は漆で色付け・絵付けして、さらに金粉や銀粉を施す伝統技法。蒔絵螺鈿は蒔絵と螺鈿を併用したもので、夜光貝などにある真珠層を板状加工し、文様を切り出して表面に配している。漆器の美しさと、タッツーやシードラ、キングドラたちの可愛さやファイヤーの美しい炎の表現を組み合わせた素敵な作品だった。

MOA美術館での 「ポケモン×工芸展」 は、2024年7月6日(土) 〜9月9日(月)まで開催される。チケットは日時指定のないオンラインチケットや当日券もあるが、混雑時に優先入場ができるなど、スムーズに入場できるのは日時指定券になるため、見に行く日付が決まっている方は日時指定券の購入が最もオススメだ。購入はこちらのページから。

(取材協力:株式会社ポケモン)

関連リンクポケモン×工芸展 ―美とわざの大発見— – MOA美術館 | MOA MUSEUM OF ART

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