
PFUは7月14日、ドキュメントスキャナー「ScanSnap」向けの新サービス「ScanSnap Cloud+」の提供を開始した。AIを活用し、スキャンした文書の整理や検索、活用を支援する有料のクラウドサービスだ。
あわせて、スマートフォンのカメラで紙文書を取り込める「ScanSnap Camera」を、「ScanSnap Home」アプリのアップデートとして提供する。専用スキャナーが手元になくても、スマートフォンで紙文書をデジタル化できる。
AIでスキャン後の文書の整理・活用まで支援する「ScanSnap Cloud+」提供開始
「ScanSnap Cloud+」は、無料で提供してきた「ScanSnap Cloud」にAI機能「ScanSnap AI」を追加した有料サービスだ。スキャン後のファイル整理や検索、情報活用までを支援する。
ScanSnapは2001年の初代モデル発売以来、「簡単・ワンタッチ」で紙をデジタル化できるドキュメントスキャナーとして展開されてきた。現在はWi-Fi対応モデルを中心に、PCを介さずクラウドへ直接保存できる「ScanSnap Cloud」を提供しており、紙の電子化から保存までをシームレスに行える環境を整えている。
生成AIの普及に伴い、紙の資料をAIに読み込ませて検索したり、社内ナレッジとして活用したりする使い方が広がってきた。PFUによると、企業では請求書や帳票処理、業務マニュアルの活用、個人では学習や情報整理など、スキャンした文書をAIで活用するケースが増えているという。
こうした背景を受けて投入されたのが「ScanSnap Cloud+」だ。発表会では、PFU 執行役員常務の宮内康範氏が、「これまで追求してきた『簡単・ワンタッチ』という体験を、AIでもう一段進化させたい」と説明。紙をスキャンして終わりではなく、その後の行動までつなげることが、新サービス開発の出発点になったと語った。
「ScanSnap Cloud+」には、AI機能「ScanSnap AI」を搭載する。手書き文字に対応したOCRを新たに採用し、領収書やメモなどに書き込まれた文字もテキスト化できるようになった。活字OCRの認識精度も向上しており、背景画像に重ねられた文字なども読み取りやすい。OCRで認識した文字は検索やコピー&ペーストに利用できる。
AIによるファイル名生成にも対応する。これまでのように日付や文書冒頭の文字列ではなく、OCRで読み取った内容をAIが理解し、文書の内容に合わせたファイル名を自動で付与する。保存後にファイル名を付け直す作業を減らせるほか、後から目的の資料を探しやすくなる。
さらに、新たに追加された「リンク付きPDF」では、文書内の日付や住所、メールアドレス、電話番号、URL、QRコードなどを認識し、それぞれに応じたリンクを自動で付与する。
PDF内の日付をクリックするとカレンダー登録画面、住所なら地図アプリ、メールアドレスならメール作成画面が開くなど、紙の情報から次の操作へ移りやすくなる。作成したPDFをメールなどで共有した場合も、受け取った相手は同じリンクを利用できる。
発表会のデモでは、背景画像が使われたチラシの文字や、手書きで書かれた「18:00~懇親会」といった文字列も正しく認識し、カレンダー登録用のリンクが付与される様子が紹介された。
料金は、AI処理できるページ数に応じて3つのプランを用意する。Sプランは月100ページまでで月額980円、Mプランは300ページまでで月額1,980円、Lプランは600ページまでで月額2,980円(いずれも税込)。利用できる機能は共通で、違いはAI処理の上限ページ数のみとなる。
AIを利用しない通常のScanSnap Cloud機能は、これまでどおり無料で利用できる。スキャン時に通常のプロファイルを選択すればAI処理ページ数は消費されず、クラウドサービスへの保存やローカル保存だけを行うことも可能だ。
「ScanSnap Cloud+」のサービス開始を記念し、Sプランの1カ月無料トライアルも実施している。8月31日までは、無料トライアルの申し込みで50ページ分のAI処理を追加で試せるキャンペーンも開催する。
専用スキャナーがなくてもスマホカメラで取り込み・整理まで完結する「ScanSnap Camera」
同時に追加された「ScanSnap Camera」は、モバイル版「ScanSnap Home」の新機能だ。専用スキャナーが手元になくても、スマートフォンのカメラを使って紙文書を取り込み、ScanSnap Cloudと連携できる。
無料でも、自動クロップ、背景除去、向き補正、カラー自動判別、台形補正など、ScanSnapシリーズで培ってきた画像処理技術を利用できる。
「ScanSnap Cloud+」へ加入すると、AIを使った「フラット補正」と「影けし」も利用可能になる。フラット補正では、三つ折りの書類や紙の折れ、カーブによる歪みを自然な状態へ補正する。影けしは、撮影時に紙へ落ちた影をAIが除去し、読みやすい画像へ仕上げる機能だ。
用途に応じたプロファイルを複数登録できるのも特徴のひとつ。例えば、契約書はスマートフォン本体へ保存し、領収書は会計サービスへ送るなど、撮影時に保存先やAI利用の有無までまとめて切り替えられる。
もちろん、ScanSnap Cameraで取り込んだデータにも、手書きOCRやAIファイル名生成、リンク付きPDFなどScanSnap AIの各機能を適用できる。AI処理ページ数は、専用スキャナーとスマートフォンのどちらから取り込んだ場合も共通でカウントされる。
対応環境はiOS/iPadOS 18以降、Android 12以降。モバイル版「ScanSnap Home」はバージョン4.0.0以降が必要で、ChromeOSには対応しない。
発表会ではAdobeの⽴川太郎氏も登壇し、AIが自社の情報資産を活用する時代において、生成AIやRAGで文書を活用するには、画像として保存しただけのデータではなく、OCRによって検索可能なテキストや文書構造を持つPDFが重要になると説明した。
PFUは、ScanSnap Cameraによってスマートフォンだけのユーザーにも間口を広げつつ、専用スキャナーとAIサービスを組み合わせることで、紙の情報をより活用しやすい環境を提供していく考えだ。
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