
音声文字起こしサービスを展開するNottaは、グラナイト・インテグラル・キャピタルから総額23億円のシリーズB資金調達を実施した。
同社は調達資金を、ハードウェアを含むエコシステムの構築、法人顧客向けの支援体制強化、そしてAIを軸としたソフトウェア開発に重点投下する。中でも戦略の中核に据えるのが、同社初の本格AIエージェント「Notta Brain」だ。
会話を資産化するAI「Notta Brain」の狙いと実装思想

Notta Brainは、これまでの「文字起こし+要約」ツールとは設計思想が異なる。従来の運用では、録音データの文字を起こし、そのテキストや音声データを別のAIツールへアップロード、プロンプト設計を行うといった工程が必要だった。Notta Brainは、こうした外部ツール依存を排除し、Nottaのサービス内で完結する構造を採用する。


Nottaに蓄積された音声・議事録データに加え、外部音声ファイル、PDF、社内資料、公開Web情報などを横断的に解析。さらに、追加入力した画像データも含めてマルチモーダルに処理し、文脈や企業固有用語を反映したアウトプットを生成する。

基盤には複数の外部AIモデルを組み合わせた構成を採用。日本語の自然性とビジネス用途における実用性のバランスを重視している。
想定されるユースケースは以下の通り。
- 複数会議ログを横断し、論点の連なりと意思決定の流れを可視化
- 会話ログからPowerPoint資料の草案を自動生成
- 過去の商談・会議データをもとに、職種・役割別のオンボーディング資料を生成
Notta Brainは、本日12月9日からβユーザーの募集を開始。正式公開は2026年1月を予定している。料金体系は未定。


なお、同社の法人向け事業はシリーズA+(9.9億円)以降、MRRベースで約70%成長。来年度は法人領域で2.2〜2.5倍の成長を計画しており、営業組織もほぼ倍増させる方針だ。
戦略面で特徴的なのは、グローバル展開よりも日本市場への集中を選択している点にある。売上の約70%を日本国内が占め、日本企業特有の要件(議事録精度、専門用語処理、文脈依存運用など)に最適化した開発を進めている。
Nottaが現在抱えるユーザー数は、国内約300万人、グローバルでは約1,500万人規模。「Notta Brain」の提供でさらにユーザー数を増やしたい考えだ。



