
Nothingはまたしても、スマートフォン市場に風穴を開けようとしている。今年4月に国内投入したミドルスペックの「Nothing Phone (3a)」と、7月にグローバル発表したフラッグシップスマートフォン「Nothing Phone (3)」のラインアップで、存在感を発揮することを目指している。
今年4月に登場したミッドレンジモデル「Phone (3a)」は、独自のデザインやLEDを活用したGlyphインターフェースなど、Nothingらしい個性を保ちながらも、手に取りやすい価格帯で注目を集めた。
一方の「Phone (3)」は、同社にとって初となる本格的なフラッグシップスマートフォン。背面に「Glyphマトリックス」と呼ばれるドットディスプレイを新たに搭載したほか、5,000万画素のトリプルカメラやSnapdragon 8s Gen 4を搭載しているのが大きな特徴だ。
性能重視の「Phone (3)」か、コスパ重視の「Phone (3a)」か。両機種が出揃ったことで、どちらを選ぶべきか悩んでいる人も多いだろう。そこで本稿では、両モデルの特徴を項目ごとに整理し、それぞれの強みと違いを比較していく。
スペック比較表:Nothing Phone (3) vs Phone (3a)
項目 | Nothing Phone (3) | Nothing Phone (3a) |
---|---|---|
寸法 (高さ×幅×厚さ) | 160.60×75.59×8.99mm | 163.5×77.5×8.35mm |
重量 | 218g | 208g |
チップセット | Snapdragon 8S Gen 4 (最大3.21GHz) | Snapdragon 7s Gen 3 Mobile Platform (最大2.5GHz) |
画面 | 6.77インチ フレキシブルAMOLED | 6.77インチ フレキシブルAMOLED |
画面解像度 | 1260×2800 (460ppi) | 1084×2392 (387ppi) |
画面輝度 | ピーク輝度:4500ニト 屋外輝度:1600ニト | ピーク輝度:3000ニト 屋外輝度:1300ニト |
アウトカメラ | メイン:50MP, F/1.68, 1/1.3インチ 望遠:50MP, F/2.68, 1/2.75インチ, 3倍光学ズーム 超広角:50MP, F/2.2, 1/2.76インチ | メイン:50MP, F/1.88, 1/1.57インチ 望遠:50MP, F/2.0, 1/2.75インチ, 2倍光学ズーム 超広角:8MP, F/2.2, 1/4インチ |
インカメラ | 50MP, F/2.2, 1/2.76インチ | 32MP, F/2.2, 1/3.44インチ |
Glyph | Glyphマトリックス | Glyphインターフェース |
バッテリー容量 | 5,150mAh | 5,000mAh |
充電 | 65W高速充電 15Wワイヤレス充電 5Wリバースワイヤレス充電 7.5Wリバースワイヤード充電 | 50W充電 7.5Wリバースワイヤード充電 |
防水・防塵 | IP68 | IP64 |
OS | Android 15対応 Nothing OS 3.5 | Android 15対応 Nothing OS 3.1 |
ソフトウェアサポート | 5年間のAndroidアップデート 7年間のセキュリティパッチ | 3年間のAndroidアップデート 6年間のセキュリティパッチ |
カラー | ブラック/ホワイト | ブラック/ホワイト/ブルー(楽天モバイル限定) |
国内発売時期 | 2025年夏以降予定 | 2025年4月 |
国内価格(税込) | 未発表 (10万円以上?) | 8+128GB:54,800円 12+256GB:59,800円 |
デザインと本体サイズ

Nothingのスマートフォンは、透明な背面による「ユニークなデザイン」を採用しており、他のどのスマートフォンとも「間違えようがない」独特の視覚的アイデンティティが特徴だ。
独創的なシースルーデザインはどちらも健在。Phone (3)は3眼カメラと小型のGlyphインターフェースを右上に配置し、先進的な印象を与える。Phone (3a)は背面中央上部にGlyphをまとめ、よりシンプルな見た目に仕上がっている。

サイズは、Phone (3)の方がわずかに小型だが厚みがあり、重量も約10g重い。耐久性にも違いがあり、Phone (3)はIP68対応・Gorilla Glass i7採用で、防水・防塵性能に優れる。Phone (3a)はIP64対応にとどまる。


カラーバリエーションは、両モデルともホワイトとブラックの2色を用意。Phone (3a)には楽天モバイル限定のブルーもある。
Glyphインターフェースの違い

Phone (3a)は着信時に強く光るGlyphを背面に備えており、ひと目でわかる存在感が魅力だ。Glyphの点滅パターンは複数用意されているが、いずれもビビッと鋭く光るタイプが中心で、視覚的にしっかりと主張してくる。

Phone (3)は、この光るGlyphを廃止し、代わりに通知やタイマー、バッテリー残量表示などができる「Glyphマトリックス」と呼ばれるドットディスプレイを搭載。Phone (3a)よりも具体的な情報やアニメーションを提示することで、より実用的に進化した。

Glyphマトリックスは懐中電灯、ストップウォッチ、コンパス、自撮りプレビューやじゃんけんなどのミニゲームにも対応し、背面の右側中央にある物理ボタンで表示する情報を切り替えたり、ゲームの操作ができる。
ディスプレイ性能

Phone (3)は、6.67インチのフレキシブルAMOLED(1.5K解像度、最大4500ニト輝度、120Hz可変リフレッシュレート)というガチ仕様。屋外視認性もHDRコンテンツ表示も抜群で、ここはフラッグシップらしい仕上がりだ。
対してPhone (3a)は、6.77インチのフレキシブルAMOLED。最大輝度は3,000ニトと健闘しているが、解像度やLTPO対応など、細かいスペックでは一歩譲る。とはいえ、普通の用途なら必要十分以上のパネル品質はある。
カメラ性能

Phone (3)は広角・超広角・ペリスコープ望遠の3眼構成。特に望遠は光学3倍ズームに対応し、テレマクロや高倍率ズームも可能。超広角も50MPの高画素で、マクロ撮影にも強い。
Phone (3a)も3眼構成だが、超広角は8MPにとどまり、望遠も光学2倍まで。日常撮影には十分だが、撮影にこだわるならやはりPhone (3)が適している。
内蔵SoCと搭載OS

Phone (3)は最新の「Snapdragon 8s Gen 4」を採用。現在のQualcommのSoCのラインアップのなかで最上位の「Snapdragon 8 Elite」には及ばないが、昨年のPhone (2)に比べてCPU性能が36%、GPU性能が88%、AI性能が60%向上しているという。RAM+ストレージの組み合わせは、12GB+256GBと16GB+512GBの2種類の構成を用意。
Phone (3a)は「Snapdragon 7s Gen 3」を搭載し、日常使用では快適だが、性能面での差は明らかだ。RAM+ストレージの組み合わせも、8GB+128GBと12GB+256GBと1段階少なくなっている。
OSアップデートはPhone (3)が5年、Phone (3a)が3年。セキュリティサポートはそれぞれ7年と6年と、長期的な安心感があるのも魅力。
バッテリーと充電
バッテリー容量はPhone (3)が5,150mAh、Phone (3a)が5,000mAh。大きな差ではないが、Phone (3)の方がわずかに大きくなっている。
Phone (3)は65Wの急速充電に対応し、ワイヤレス充電(最大15W)やリバースチャージ(7.5W)、ワイヤレスリバースチャージ(5W)も可能。Phone (3a)は50Wの急速充電とリバースチャージ(7.5W)に対応するが、ワイヤレス充電とワイヤレスリバースチャージは非対応となっている。
価格と選び方のポイント

Phone (3)の国内販売価格は現時点では発表されていないが、欧州での販売価格が799ポンド/ユーロ/ドル〜と案内されていることから、10万円を超えると見られている。高価格でも、カメラや処理速度、耐久性にこだわりたいユーザー向けの1台となっている。

Phone (3a)は税込54,800円〜と価格が抑えられており、性能とのバランスを重視する人に適している。普段使いやSNS、動画視聴が中心なら、Phone (3a)でも満足できるはずだ。
結論:どちらを選ぶべきか

「Phone (3)」は最新チップや高画素カメラなど、性能にこだわったことに加えて、新たに背面に搭載した「Glyphマトリックス」、そしてIP68の防水・防塵性能などにより、プレミアムなスマートフォンに仕上がっている。
性能にこだわりたい人はもちろんだが、新搭載のGlyphマトリックスがとてもユニークなので、気になる人はぜひ「Phone (3)」を選んでいただきたい。
逆に「Phone (3)」ほどの最新性能を求めない人は、「Phone (3a)」でも十分だと思われる。負荷の高い3Dゲームであっても画質をワンランク落とすことで快適に動作するタイトルがほとんど。日常生活を送る上で必要な機能はほぼ揃っており毎日快適に使うことができるはずだ。
最後に、どちらを選んでもNothingならではの遊び心と美しいデザイン、そして他社にはない使い心地はしっかり感じられるはずだ。それぞれに明確な特徴と強みがあるからこそ、自分のライフスタイルや使い方に照らし合わせて、後悔のない1台を選びたい。
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(画像:Nothing)