英Nothing Technologyは、同社初となるミドルレンジスマートフォン 「Nothing Phone (2a)」 を今年3月に発表し、同月中に国内向けにも発売した。
「Nothing Phone (2a)」 は、フラグシップモデルである 「Nothing Phone (2)」 から価格を抑えつつも、コアとなる機能を利用できる廉価型スマートフォン。日本向けモデルは同社のスマートフォンとしては初のFeliCaを搭載したことで、おサイフケータイが利用できるようになり、メインのスマートフォンとしても使いやすくなった。
今回、Nothingから 「Nothing Phone (2a)」 の実機を2週間ほどお借りすることができたので、デザインや実際の使い勝手などをレビューとしてお届けしたい。
デザイン
「Nothing Phone (2a)」 は、「Nothing Phone (2)」 の廉価モデルということで、デザインは 「Nothing Phone (2)」 をベースに作られている。
最大の特徴は、やはりNothing製品ではお馴染みのトランスルーセントデザインを採用していること。中の部品が見えるユニークなデザインは、昨今の画一的なスマートフォンにはない強烈な個性をアピールできる。全体的なデザインもシンプルで洗練されており、普段の使いやすさを考えたデザインだと感じた。
本体サイズは161.74 × 76.32 × 8.55mmで、重量は190g。「Nothing Phone (2)」 よりもわずかに小さい&軽いものの、昨今のスマートフォンの中では比較的大型な部類に入る。筆者は手が小さい方なのだが、「Nothing Phone (2a)」 を片手で持つと少し大きいなと感じた。
さらに背面には、Nothing Phoneシリーズでお馴染みのLEDインターフェイス 「Glyph Interface」 が搭載。「Nothing Phone (2)」 や 「Nothing Phone (1)」 に比べると光る部分は少なく、点灯パターンは制限されるが、光り方によって通知の種類を見分けたり、写真のタイマーモードのカウントダウンなどは利用可能だ。
リアカメラは、メイン(広角)+超広角のデュアルカメラ。廉価モデルではあるものの、カメラ構成は上位モデルの 「Nothing Phone (2)」 と同じだ。実際にどんな写真が撮影できるのかについては、後ほど筆者が撮影した写真を踏まえながら詳しく紹介したい。
おもてには、6.7インチ(FHD+)の有機ELディスプレイを搭載。ベゼル幅は2.1mmと狭く、フロントカメラもパンチホール式を採用しているため、ほぼ全面ディスプレイを実現している。
リフレッシュレートは30〜120Hz。画面輝度は通常輝度が700ニトで、高輝度モードにすると1,100ニト、最大輝度は1,300ニト。天気が良い日に1日中屋外にいる機会があったので、数時間ごとに画面の見え方をチェックしてみたのだが、視認性については問題ないと感じた。生体認証は画面埋め込みセンサーによる指紋認証と顔認証の2種類に対応する。
側面には音量調節ボタンと電源ボタンが搭載。本体下部には通信/充電用のUSB Type-CポートとSIMカードスロット (nanoSIM×2、microSD非対応) が搭載されている。有線イヤホンを接続する3.5mmイヤホンジャックは非搭載なので、有線イヤホン派の方々は注意していただきたい。
SoCは 「MediaTek Dimensity 7200-Pro」 搭載
「Nothing Phone (2a)」 は、SoCに 「MediaTek Dimensity 7200-Pro」 を採用している。どれほどの性能なのか、ベンチマークスコアを計測してみた。
上記がAnTuTuベンチマークとGeekbench 6のベンチマークスコア。ミドルレンジ級のスマートフォンの中では比較的上位のスコアになっている。
実際にブラウザやYouTube、Xなどのアプリを起動して使ってみると、そこまで動作のもたつきは気にならなかった。ただし、カメラのモードの切り替えがちょっと遅い印象を受けたので、写真を撮影する機会が多いという人は上位モデルの 「Nothing Phone (2)」 を選んだ方が良いかもしれない。
RAM容量とストレージ容量の組み合わせは、国内販売モデルでは8GB+128GB、12GB+256GBの2種類。「Nothing Phone (2a)」 はmicroSDなどの外部ストレージに対応しないため、容量の大きいアプリを使ったり、写真をたくさん保存しておきたいなら12GB+256GBモデルを購入しておこう。
カメラ性能
ミドルレンジ級のスマートフォンはカメラ性能を犠牲にする製品が多い中、「Nothing Phone (2a)」 はカメラ性能にこだわり、上位モデルの 「Nothing Phone (2)」 に近い性能を実現した。
背面カメラはメイン(広角)+超広角のデュアルカメラで、画素数はどちらも5000万画素。メインカメラは光学式と電子式の手ぶれ補正に対応しており、くっきりとした写真を撮影できる。超広角カメラは114°の広範囲を撮影可能だ。
実際に筆者が撮影した写真は以下。
満開のツツジを撮影した写真では、鮮やかなピンク色がしっかりと表現できている。曇り空の日でも、街路樹の葉っぱの緑などは綺麗に表現できているので、自然の風景の撮影に向いたカメラと言えるかもしれない。
写真の色味が見たままに近いので、ご飯系の写真もリアルに撮影できる。
劇場の中で写真を撮影することができたので、超広角カメラで撮影。後ろ側の座席から撮影したのだが、舞台までの距離感や劇場内の広さなど伝わる写真になったのではないだろうか。
「Nothing Phone (2a)」 のカメラで写真を撮影してみて、やはりハイエンドモデルの 「Nothing Phone (2)」 に近いカメラ性能ということで、どんなシーンの撮影もしっかりこなせる印象を受けた。ミドルレンジ級でもカメラ性能にこだわりたい人にはオススメできるスマートフォンだと言えるだろう。
ただし、背面カメラの搭載位置が一般的なスマートフォンよりも中央寄りだからか、写真撮影時に指が写りこんでしまうことが多かった。おそらく慣れで解決できる部分ではあると思うのだが、「Nothing Phone (2a)」 ならではの持ち方を研究する必要があると感じた。
まとめ:廉価モデルとは思えない性能、FeliCa対応でメインスマホとして十分に活躍できる
「Nothing Phone (2a)」 を2種間ほど使ってみて、Nothing Phoneシリーズの特長である 「Glyph Interface」 が実用的なレベルで機能することや、上位モデルと同じくらいのカメラ性能を実現していることなど、廉価モデルにしては細かい部分まで性能にこだわっているのが好印象だった。
SoCの性能はハイエンドモデルには及ばないものの、3Dゲームなど重めのアプリはあまり使わないという人も多いため、そういった人たちにはちょうど良い選択肢になってくれそうだ。
また、「Nothing Phone (2a)」 はFeliCaに対応したことでおサイフケータイが利用できるようになり、メインのスマートフォンとして十分に活躍できるようになったことも大きい。これまでFeliCa非対応を理由にNothing Phoneシリーズを選んでこなかった人は、「Nothing Phone (2a)」 でNothingデビューしてみるのもアリではないだろうか。
「Nothing Phone (2a)」 の販売価格は、8GB+128GBモデルが49,800円、12GB+256GBモデルが55,800円 (価格はいずれも税込) 。カラーはブラックとミルクの2色展開だ。
国内ではまもなくレッド・イエロー・ブルーの3色を散りばめた新カラーモデル 「Nothing Phone (2a) Special Edition」 も登場予定ということで、新カラーを選びたい人は今後の情報に注目していただきたい。