
Microsoftは、長らく開発中だった『Perfect Dark』および『Everwild』の2タイトルをキャンセルし、併せて開発スタジオ「The Initiative」の閉鎖を決定した。これは全社規模のレイオフの一環で、同社ゲーム部門Xbox Studiosにおける構造的な見直しの中で実施されたものだ。
Xboxコンテンツ&スタジオ部門プレジデントのMatt Booty氏は、社内向けのメモでこの決定を伝えた。今回のレイオフはMicrosoft全体で約9,000人規模に及んでおり、『Forza Motorsport』のTurn 10 Studiosを含む複数の開発チームにも大きな影響を与えている。
完成目前と見られていた『Perfect Dark』開発中止。Zenimaxの新MMOも打ち切り

『Perfect Dark』は、Rareが手がけたN64時代の名作FPSのリブートとして注目されていた。開発は2018年に設立されたThe Initiativeが担い、途中からはCrystal Dynamicsがパートナーとして参加。2024年6月にはXbox Games Showcaseで初のゲームプレイトレーラーが披露されたばかりだった。しかし、Bloombergなどの報道によれば、実際には開発が難航しており、5月の時点で「ほとんど意味のある進展がない」とされていたという。
もう一つの中止プロジェクト『Everwild』は、Rareが開発していた新規IPで、幻想的な自然世界を舞台にした独創的なアートスタイルが特徴だった。詳細は公開されていなかったが、これも正式に開発終了が確認された。
さらに、Zenimax Online Studiosによる未発表のMMORPG『Blackbird』もキャンセルされた。『The Elder Scrolls Online』の次を担う大型タイトルとして2018年から開発が進められていたが、プロジェクトは日の目を見ずに終わることに。プロデューサーのChris Linn氏やエグゼクティブプロデューサーのSean Dunn氏がLinkedIn上でプロジェクト終了を認め、チームへの愛情と落胆を率直に語っている。
Microsoftによると、今回の意思決定は「変化する業界環境に合わせた優先順位の見直しと、チームの成功を将来にわたって確保するためのリソース再配分の一環」だとしている。同社はスタジオ閉鎖に伴い、影響を受けるスタッフに対して退職手当や転職支援、社内他部署への異動機会の提供などのサポートを実施するという。
なお、今回の発表によりThe Initiativeは閉鎖されるが、他のスタジオに関しては段階的なレイオフにとどまっている。Undead Labs(State of Decayシリーズ)やTurn 10 Studios(Forza Motorsport)、そしてActivisionおよびBlizzardのQA部門、マーケティング、営業部門でも人員削減が行われている。
Xboxの将来計画は維持されるが、AAAタイトルのリスク管理が課題に

Booty氏はメモの中で、「当社のポートフォリオ戦略に変更はない。プレイヤーをワクワクさせるゲームをつくり続け、フランチャイズの成長を図り、新たな物語や世界、キャラクターを創出していく」と述べている。現在も40本以上のタイトルが開発中で、2025年後半から2026年にかけてのリリースが予定されているという。
直近のXbox Showcaseで披露された『Clockwork Revolution』や『State of Decay 3』といったタイトルについては、計画通り開発が続いているとされ、次世代Xboxハードウェアのロードマップにも影響はないとされている。
2025年に入ってからのレイオフ総数はすでに15,000人を超えており、ゲーム業界にとっても依然として厳しい時期が続いている。開発に心血を注いできたチームやプレイヤーにとって、今回のキャンセルは痛恨の出来事であることは間違いない。
情報ソース
(画像:Microsoft)