Bowers & WilkinsやDenonなど著名オーディオブランドがSamsung傘下に。MasimoがSound UnitedをHARMANへ売却

米医療機器大手Masimoは現地時間5月6日、傘下のコンシューマーオーディオ事業「Sound United」を、Samsung傘下のHARMAN Internationalへ3億5,000万ドル(約540億円)で売却する契約を締結したと発表した。

取引は2025年末までに完了予定で、必要な規制当局の承認などを経て最終的に成立する見込みだ。

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Masimo、プロフェッショナル医療事業に集中へ

この売却によって、Bowers & Wilkins、Denon、Marantz、Polk Audioなど、Sound Unitedが展開してきた複数の世界的オーディオブランドが新たにHARMANのポートフォリオに加わることになる。今回の売却は、Masimoが進めていた事業ポートフォリオの見直しに基づくもので、同社の主軸であるプロフェッショナル医療機器分野への経営資源集中を図る狙いがある。

Masimoの取締役副会長であるQuentin Koffey氏は、「我々の成長戦略において、Sound Unitedにとって最適な新天地を見つけることは最優先課題のひとつだった」と述べ、今後は医療分野に特化したイノベーションの加速と収益性の両立を目指すと強調している。

また、CEOのKatie Szyman氏も「医療の現場における未解決の課題に注力し、リソースを最適に配分することが、私の就任以来の重要な方針だった」と語り、今回の取引はその戦略と整合するとしている。

HARMANはプレミアムオーディオ市場での地位をさらに強化

一方のHARMANは、すでにJBL、AKG、Mark Levinson、Harman Kardonといった著名ブランドを擁しており、今回の買収によりホームオーディオやヘッドホン、ハイファイコンポーネント、車載オーディオといった複数のカテゴリにおける市場支配力をさらに強化する構えだ。

Lifestyle事業部門のプレジデントであるDave Rogers氏は、「Sound Unitedのブランド群は、HARMANが持つ既存ブランドと補完関係にあり、製品の多様性と市場価値の両面で新たなシナジーが生まれる」とコメント。

なかでも注目されるのは、ハイエンドオーディオ市場での競争力。Bowers & WilkinsやMarantzといったブランドはオーディオマニアやハイファイファンにとって長年の定番だ。これらがJBLやAKGといったHARMANブランドとどのような技術・デザインの融合を見せるか、今後の展開が期待される。

また、この買収は、ゲームオーディオやホームエンターテインメント分野において影響力が大きい。たとえば、ゲーミングヘッドセット市場ではJBL Quantumシリーズが存在感を示しており、ここにDenonやBowers & Wilkinsの音響技術が加わることで、競争がさらに激化する可能性がある。

今回の買収劇の背後にはSamsungの明確な戦略があるとみられる。スマートフォン、TV、家電、車載機器といった広範な製品ラインを展開する同社にとって、「音」はすべてのエコシステムをつなぐキーデバイスだ。

Samsungは2017年にHARMANを約80億ドルで買収して以降、自動車のインフォテインメントやプレミアム音響、IoTとの統合を視野に入れた投資を続けてきた。AKGやJBLに続く形で、Bowers & WilkinsやMarantzの技術が、Samsung製スマートTVやモバイル端末、さらにはGalaxy Budsシリーズといった製品群にどうフィードバックされるかについてもひとつ注目ポイントとなるだろう。

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(画像:HARMAN)

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