
いま、イヤホンを選ぶときに「有線」という選択肢をどれくらい意識するだろうか。
ノイズキャンセリングや外音取り込み、ワイヤレス充電といった機能が一般的になり、利便性だけで見ればワイヤレスイヤホンが主流になっている。実際、筆者も普段はワイヤレスを使う時間の方が長く、有線イヤホンを取り出す機会は以前より明らかに減った。
それでも、ふとしたタイミングで「今日は有線を使おう」と思うことがある。充電を気にせずすぐ使える安心感や、接続の手間がないシンプルさ。あとは音楽ゲームをプレイするときに、有線だと遅延がほとんど気にならない。こういったシチュエーションで手に取る存在として、有線イヤホンはまだ役割を残している。
見た目やブランドで選びたいという人もいるだろう。ガジェットでありながら身に着けるものでもあるので、そうした視点で選ばれるのも自然だ。
そうした中で登場したのが、Marshallの有線イヤホン「MODE USB-C」。従来の「Mode」シリーズをベースに、接続方式をUSB Type-Cへ変更したモデルだ。いまのデバイス環境に合わせて作り直された有線イヤホンと言える。
実際の使い勝手や音質、日常で感じるストレスの有無などを含め、このモデルがどこまで “現代の有線イヤホン” として成立しているのかを見ていく。
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「Mode」シリーズの立ち位置と、いまUSB-Cで出す意味
「Mode」シリーズはもともと、3.5mmジャックで気軽に使える定番の有線イヤホンだった。価格も手頃で、特別にこだわらなくても安心して選べる1本、というポジションにあったイヤホンだ。
ただ、昨今の状況は変わりつつある。スマートフォンからイヤホンジャックがなくなり、有線で使うには変換アダプターが必要になる場面が増えた。このひと手間が面倒で、有線から離れた人も多いはずだ。
そこでUSB Type-C接続に対応したのが今回の「MODE USB-C」だ。スマートフォンにそのまま挿して使えるので、変換アダプターはいらない。実際に使うと、この手軽さはかなり楽だ。挿せばすぐ音が出るし、接続で悩むこともない。有線のシンプルさがそのまま戻ってきた感覚に近い。
主な仕様は以下の通り。
- 価格:8,990円前後
- 9mmダイナミックドライバー
- 再生周波数帯域:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:100dB
- 重量:約18g / ケーブル長1.3m
- USB Type-C接続
- イヤーチップ4サイズ付属
ドライバーは9mmのダイナミック型を採用。マイクも搭載されており、通話時の音声はクリアで、実用には十分なレベルに仕上がっている。再生素材を使っている点も、いまどきの製品らしいところだ。
実際に使って感じた “ちょうどよさ”
まず見た目について、ブラック基調で、ロゴや細部の仕上げも含めてMarshallらしい雰囲気がある。派手さはないが、さりげなく主張するデザインで、見た目に惹かれて選ぶ人がいても不思議ではない。
装着感も良好だ。耳のくぼみに収まりやすい形状で、イヤーチップも4サイズ付属しているためフィットしやすい。軽さもあり、長時間つけていても負担は少ない。
音は全体的にバランス重視。低音は出過ぎず、それでいて締まりはある。ロックやヒップホップでも物足りなさは感じにくい。高音はやや柔らかめで、刺激は控えめ。長く聴いても疲れにくい方向だ。
中音域はしっかりしていて、ボーカルが前に出る。気づくとそのまま何曲も流してしまうような聴きやすさがある。
解像度や音場の広がりはハイエンドモデルには及ばないが、普段使いには十分。分析的に聴き込むというより、ながら聴きに向いたチューニングだと感じた。
操作は3ボタン式で、音量調整や再生、通話に対応する。シンプルで扱いやすいが、ボタンの位置は最初少し迷うかもしれない。
マイクは実用的な仕上がり。家族との通話だけでなく、軽いオンライン会議でも問題なく使えるレベルだ。
絡みにくい素材はグッドだが、有線ならではの弱点も
ケーブルまわりは、良い点と気になる点がはっきりしている。
まず、絡みにくさはしっかり実感できる。ケーブルは柔らかすぎず、適度な張りがある。ぐにゃっと潰れるというより、ある程度形を保つタイプだ。この性質が絡まりにくさにつながっている。
表面の質感も影響している。完全にツルツルではなく、わずかに摩擦があるため、ケーブル同士が滑って巻き付くというより、その場で収まりやすい。バッグの中でも結び目になりにくい印象だ。
折れグセが付きにくい点もポイントだ。安価なケーブルだと強く曲がった部分がクセとして残り、それが絡まりの原因になる。本イヤホンはそうしたクセが残りにくく、取り出してすぐ使える状態を保ちやすい。
このあたりは日常での扱いやすさに直結する部分で、有線イヤホンとしての完成度を底上げしている。
一方で、タッチノイズは無視できない。編み込みケーブルのように振動を吸収する構造ではないため、歩行時などに衣服と擦れると音が伝わる。静かな環境では気になることもある。
絡みにくさを優先した設計の影響とも言える。この点は有線イヤホンの弱点として理解しておきたい。クリップで固定すれば軽減できるので、使い方である程度はカバーできる。
「必要な場面で有線を使う」という選択肢
「MODE USB-C」は、派手な機能を盛り込んだ製品ではない。ただ、実際に使うと細かな部分がいまの使い方にきちんと合っていると感じる。
ワイヤレス全盛のいま、有線は“常用するもの”ではなくなったかもしれない。それでも、必要な場面で確実に応えてくれる道具としての強さはまだ残っている。
この利点はゲーム用途でも分かりやすい。特に音楽ゲームでは、ワイヤレスだと遅延の調整が必要になることが多いが、有線なら挿すだけでそのままプレイできる。余計な設定を気にせず済むのは大きい。
実際、筆者も音楽ゲームをプレイするときは有線を選ぶことが多いが、本イヤホンはボーカルが前に出るバランスの音でリズムも取りやすく、その点でも扱いやすかった。
見た目と音のバランスも良く、日常で無理なく使える仕上がりになっている。メインとして使い続けるというより、必要なときに自然と手に取る1本。音楽でもゲームでも、気軽に使える有線イヤホンとしてちょうどいい距離感の製品だ。
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