ロジクールは2024年10月、ゲーミングキーボード 「PRO X TKL ラピッド ゲーミングキーボード」 (以下、PRO X TKL RAPID) を、ゲーミングブランド 「ロジクールG」 より発売した。
本製品は、ロジクールGブランドとしては初となるラピッドトリガーを搭載したことで超高速の反応性を実現し、FPSゲームで有利に立ち回ることができる 「勝つための機能を極めたゲーミングキーボード」 だ。
今回、ロジクールから本製品の実機をお借りし使用感をチェックすることができたので、レビューをお届けする。
テンキーレスでマウスを動かすスペースを広く確保。特定のキーをロックする 「ゲームモード」 ボタンなど用意
「PRO X TKL RAPID」 は、ロジクールと世界のトッププロ選手たちとの共同開発によって生まれたプロ仕様のゲーミングキーボードだ。
ラピッドトリガー機能と、左右の移動キーの同時入力時にどのアクションを優先するかを設定できるKEY PRIORITY機能を搭載したことで、FPSゲームで有利に立ち回ることができる。両機能については後ほど詳しく紹介するとして、まずはデザインを見ていこう。
「PRO X TKL RAPID」 の本体サイズは、幅357mm x 奥行き150mm x 高さ38mm、重量は1,302g。キー配列は日本語配列でテンキーは非搭載だ。
FPSゲームをプレイする上で、テンキーがあることよりもマウスを自由に操作できる広いスペースがあることの方が重要視されることから、デスク上のスペースを確保できるテンキーレスモデルであることは理にかなっていると言えるだろう。
カラーはブラック・ホワイト・マゼンタの3色。今回はホワイトモデルをお借りした。
本製品は有線キーボードで、PCとの接続には付属してくるUSB Type-A – Type-Cケーブルを使用すれば良い。ケーブルはType-AがPC側、Type-Cがキーボード側になる。
キーボード背面には、滑り止めと角度調整ができるスタンドが搭載。スタンドは4°と8°が用意されていて、自分の好みの角度で使用できる。
キーボードの上部には、「ゲームモード」 ボタンと 「輝度」 ボタンに加えて、メディアコントロールが搭載。
「ゲームモード」 ボタンを押すとWindowsキーとコンテキストメニューキーをロックすることができ、ゲーム中に間違って押されてしまうのを防ぐ。特にWindowsキーが押されてしまうとゲーム自体が中断してしまうため、ゲームに集中するためには必ずオンにして使いたい機能だ。
そのほか、「輝度」 ボタンはライト輝度の調整をするボタンで、メディアコントロールとしては曲送りや曲戻し、再生/一時停止、ミュートのオン・オフ、音量調整用ローラーが搭載されている。
ファンクションキー部分には、プロファイルを選択したり、アクチュエーションポイントを調整できるショートカットが登録されており、「Fn」 キーを押しながらいずれかのキーを押すことで設定を変更できる。ただし、個々のキーを設定したり、アクチュエーションポイントを0.1mm単位で設定するには 「G HUBソフトウェア」 を使う必要があるので、筆者としてはそちらでの調整をオススメする。
キーキャップは、耐摩耗性に優れるほか、光透過特性を向上させるデュアルショットPBTキーキャップを採用。キーキャップの文字が掠れるのを防ぎ、視認性を向上させてくれる。
ラピッドトリガー搭載で超高速反応を実現
ここからは目玉機能である 「ラピッドトリガー」 について紹介する。キーボードは 「アクチュエーションポイント」 と呼ばれる位置までキーを押し込むことでキーを押したと認識し、「リセットポイント」 と呼ばれる位置までキーが戻ることで 「キーを離した」 と認識する仕組みで、一般的なキーボードはこのアクチュエーションポイントとリセットポイントの位置が固定されている。
これに対し、ラピッドトリガー搭載キーボードはアクチュエーションポイントとリセットポイントの位置を変えることができ、浅めに設定すれば、わずかにキーに触っただけで反応するように設定することもできる。これにより、一瞬の判断が勝敗を分けるFPSのようなゲームで有利に立ち回ることができるというわけだ。
「PRO X TKL RAPID」 のキースイッチは、高精度の磁気アナログキースイッチが採用。アクチュエーションポイントは0.1-4.0mm、リセットポイント (G HUBソフトウェア内では 「高速トリガー感度」 と表記) は0.1-2.0mmの範囲でカスタマイズできるため、超高速連打も実現可能だ。
アクチュエーションポイントに関連する機能として、「マルチポイントアクション」 についても触れておきたい。
同機能は1つのキーに対して、キーを押し込んだ深さによって別のアクションを割り当てることができる機能で、たとえば浅く押すことで 「歩く」 、深く押し込むことで 「走る」 アクションを割り当てておけば、より直感的にキャラクターを操作できて便利。各アクションのアクチュエーションポイントは0.1-4.0mmでカスタマイズ可能だ。
また、キャラクター操作に関わる重要な機能に 「KEY PRIORITY」 機能 (日本語表記では 「キーの優先順位」 ) がある。左右の移動キーを使ってキャラクターを操作するとき、一般的には左右のキーを同時押し (SOCD) するとキャラクターの移動が止まってしまうが、この挙動を変更できるのが 「KEY PRIORITY」 機能だ。
設定は4種類から選択でき、2つのキーのうち、深く押された方を優先するのが 「KEY TRAVEL PRIORITY」 、最後に押されたキーを優先するのが 「LAST INPUT PRIORITY」 。優先キーを設定し、そのキーが押された場合には非優先キーの入力を送信しない 「ABSOLUTE PRIORITY」 、そして一般的なキーボードと同様にどちらの入力も送信しない 「NEUTRAL PRIORITY」 だ。
なお、キーによっては 「KEY PRIORITY」 とラピッドトリガーの両方を設定したい場合があると思うが、現時点ではどちらか片方だけしか設定することができない。両方の設定の併用は、2025年初頭に配信予定の 「G HUBソフトウェア」 のアップデートを通して利用できるようになる予定だ。
ラピッドトリガーやマルチアクション、KEY PRIORITY機能については、おそらくプレイするゲームや自分の癖によってどの設定が便利か変わってくるとは思うので、色々な設定を試して自分に最適な設定を見つけて使っていただきたい。
まとめ:安定感のあるラピトリ搭載キーボードを探している人にオススメ
ロジクールGとして初のラピッドトリガー搭載キーボードとなった 「PRO X TKL RAPID」 。実際にラピッドトリガーを設定してみたところ、一般的なキーボードよりもキャラクターを反応良く操作することができたことから、FPSのようなシビアなゲームをプレイするユーザーにはオススメできるキーボードだと感じた。
同じくラピッドトリガー機能を搭載する他社製のゲーミングキーボードでは、同じキーが何度も入力されたり、逆にキーが反応しなかったりという不具合が報告されることがあるが、今回の試用期間中にこういった不具合に遭遇することはなかった。この点については安心して使うことができると言えるのではないだろうか。
また、ラピッドトリガーの他に、マルチアクションやKEY PRIORITY機能によって便利に操作できるのも本製品の魅力。ロジクール製品を使い慣れている人からすれば、お馴染みの 「G HUBソフトウェア」 で設定を完結できるのも嬉しい点だ。
ただし、KEY PRIORITY機能のようにSOCD時の挙動を変更することは、「ハードウェアによる過剰なアシスト」 と問題視されることも。例えば『Counter-Strike 2』では同機能を使っての対戦は禁止されており、その他のタイトルでも今後の状況によっては禁止となる可能性があることから、対戦ゲームで利用する際には運営が発表している公式規定などを必ず確認するよう心がけていただきたい。
「PRO X TKL RAPID」 は、ロジクール公式ストアやAmazonなどのECサイトで32,780円(税込)で購入できる。