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MX Master 4 比較レビュー。触覚フィードバック搭載で前モデルからどれほど進化した?

Logitech Internationalの日本法人である株式会社ロジクールは、新型マウス「MX Master 4」を10月30日に発売する。

「MX Master 4」は、同社のフラッグシップマウスシリーズ「MX Master」の最新モデルであり、2019年に登場した「MX Master 3」から数えると、約6年ぶりのフルモデルチェンジとなる。なお、改良版として2022年に投入された「MX Master 3S」や「MX Master 3S for Mac」から換算すれば約3年ぶりの新モデルだ。

この3年の時を経て、MX Masterシリーズはどのように進化したのだろうか。今回、本製品の発表に先立ちロジクールよりひと足に本製品の評価機を触らせていただいており、10日ほど自宅環境で試用する機会を得た。本稿では、その使用感を交えながら「MX Master 4」の特徴と進化のポイントを紹介していきたい。

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細かいデザイン変更に加えて、触覚フィードバックでより直感的な操作が可能に

ロジクールの「MX」シリーズは、高性能なワイヤレスマウスを中心とした生産性ツール製品群のことで、クリエイティブ作業やオフィス業務を効率化するための先進的な機能を備え、快適さと精度を重視した設計が取り入れられている。その要素をマウスに取り入れたのが、「MX Master」シリーズだ。

シリーズの特徴としては、人間工学に基づいたアシンメトリカル(非対称)なデザインにある。右利きユーザー専用に設計されたボディは、従来のフラットなマウスとは異なり、手のひらのカーブに沿うように微妙に傾斜。掌全体を包み込むようなフルパームグリップを促し、手首の負担を軽減。長時間のデスクワークで手首の緊張が溜まりやすいユーザーにとって、まるで手首が浮いているような軽快な操作感を提供する。

また、親指用サムレストも特徴的だ。親指が自然に収まるゴム製のくぼみがボディの側面にあり、指の滑りを防ぎつつ、安定したグリップを確保する。これらは「MX Master 4」でも健在だ。

左:MX Master 3S/右:MX Master 4

今回の「MX Master 4」では、先代モデルからデザインが見直され、細かい部分で調整が行われている。

マウスで最も操作することが多い左右のクリックボタンは、前面すべてにボタン部分が広がったことでよりクリックしやすくなった。もちろん静音仕様で、コツコツと静かなクリック音で作業の邪魔になりにくい。

クリック部には汚れや摩耗に強い透明プレートを採用したことで、長期間使用してもきれいな状態を保つことができる。表面には微細なマイクロテクスチャーが施されたことで、手触りの良さとグリップ感が向上している。

サムホイールも、これまで奥まった位置にあったのがより出っ張るようになったことで大きく回せるようになった。1度のスクロール量が増え、Excelのような表計算ソフトでより快適に横スクロールができるようになっている。

側面のボタンは2つから3つに増えた。デフォルトでは手前2つが進む・戻るボタンで、奥のもうひとつは「ジェスチャー」という特殊な操作を当てがえるボタンになっている。

このボタンはホールドした状態で上下左右に動かす操作によって任意の機能を使うことができる。たとえばウィンドウナビゲーションを当てがうことで、ボタンをホールドした状態で左右に動かして直感的にデスクトップ間を切り替えたり、ということが可能だ。

MagSpeed電磁気スクロールは、マウス天面にあるボタンを押すことで、引き続きフリースピンモードとラチェットモードの切替が可能。フリースピンモードは抵抗をなくして高速スクロールを可能にするモードで、1秒で最大1,000行の高速スクロールが可能だ。

内蔵センサーのトラッキング精度は8,000DPIで、ガラス面を含むあらゆる面で正確な操作が可能。先代モデルと比べると底面のソールが従来よりも広くなったことで安定感が増しており、操作感も滑らかになっている。

先代モデルからの最も大きな変化が、スカート部分に新たに搭載された「触覚フィードバック センスパネル」だ。マウスの操作に応じて、内部に搭載されたモーターの振動によるフィードバックが返ってくる仕組みだ。

まずは、マウスを接続するとブブブッと振動が伝わってくる。触覚フィードバックといえば、iPhoneやMagic Trackpadが思いつくかもしれないが、感覚的にはPS5の「DualSense ワイヤレスコントローラー」 のものが近い気がする。フィードバックの強弱は、ロジクール製品専用アプリ「Logi Options+」で調整できる。

フィードバックを最も実感できるのは、「Actions Ring」と呼ばれるショートカットメニューを使用するときだ。スカート部のボタンを押すと、画面上に8つのショートカットがリング状に並び、実行したいものにカーソルを合わせてクリックするだけで、即座にショートカットを起動できる。

ショートカットを選ぶ際には、カーソルをアイコンの中央まで正確に移動させる必要はない。ほんの少しアイコンの方向に動かすだけで、本体が振動して選択が確定したことを知らせてくれるため、カーソル移動を最小限に抑えた快適な操作が可能になっている。

ショートカットの内容は、デフォルトでは音楽の再生・一時停止や曲戻し・曲送り、画面輝度や音量の調整、画面ロックに加えて、Google検索やChatGPTの呼び出しが設定されている。

特定のアプリを開いているときにはそのアプリ専用のメニューに変更される仕組みになっていて、現時点ではPhotoshopやLightroom Classic、Zoomなどのアプリを開いているときに専用の内容のカスタマイズされたActions Ringが表示されることが確認できた。

あらかじめ設定されているショートカットには、音楽の再生・一時停止や曲戻し・曲送り、キーボードの輝度調整、画面ロックに加え、Google検索やChatGPTの呼び出しなどが含まれている。

さらに、特定のアプリにはプリセットが用意されており、そのアプリを開くと自動的に専用のメニューへと切り替わる仕組みになっている。現時点で確認できたのは、Photoshop、Lightroom Classic、Zoomなどで、それぞれの用途に合わせたカスタマイズ済みのActions Ringが表示されるようになっていた。

Actions Ringに表示するショートカットは「Logi Options+」でカスタマイズ可能。マクロ登録機能「Smart Actions」も利用でき、自分好みにカスタマイズすれば作業効率を大幅にアップできる。

筆者の場合、AIツールにはデフォルトでChatGPTを当てがっているが、これはGeminiやPerplexityなどに変更することも可能。自分がよく使うAIツールを登録しておこう。

ロジクールは、Actions Ringを活用することでマウス移動量を最大63%、作業時間を最大33%削減できるとしており、集中を途切れさせずに作業に没入できるとしている。まだ筆者も完全に慣れきったわけではなく、操作がおぼつかないことが多いが、完全に使いこなすことができれば一般的なマウスよりも作業スピードを格段に上げることができそうだ。

PCなどのデバイスとの接続は、ロジクールの独自規格であるLogi Boltに加えて、Bluetoothをサポート。Logi Boltについては、製品に付属する「Logi Bolt レシーバー」を使用するのだが、コネクタがUSB Type-AからUSB Type-Cになったことで、レシーバー本体が小さくなったほか、MacBookなど昨今広く普及しているType-C搭載デバイスに変換アダプタなしで接続できるようになった。

また、「MX Master 4」は、本体に内蔵するICチップを改良し、アンテナ位置も変更したことで、従来の「MX Master 3/3S」と比較して2倍強固な接続性を実現したとのことだ。バッテリーはフル充電で最大70日間使用可能で、1分間の急速充電で3時間の使用が可能だ。

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ショートカットボタンと触覚フィードバック センスパネルで作業を効率化できるのか

今回、目玉機能のひとつとして追加された「触覚フィードバック センスパネル」は、どのように活用できるだろうか。参考として、筆者の日常のなかでどんな使い方をしてきたのか簡単に紹介したいと思う。

前述のとおり、本機能はActions Ringからショートカットを呼び出すボタンとして使用するのが主な使い方だ。昨年発売したロジクールの左手デバイス「MX Creative Console」もホイール部の押し込みでActions Ringを利用できたが、「MX Master 4」も基本的な挙動はこれと同じだ。

頻繁に使うアプリや機能をすぐに起動できるように登録しておくのが基本にはなるが、マクロを登録しておけばワンクリックで一気に色々なことができるようになる。筆者は記事や原稿を作るときにクリップボードのアンフォーマットが地味に便利だった。

特定のアプリにはプリセットが用意されている。筆者はLightroom Classicで写真編集をすることが多いため、色温度や露出などをショートカットから変更できるのはかなり便利だった。

左:MX Master 3S/右:MX Master 4

また、個人的に便利だと感じたのが、デバイス間の切り替えを1ボタンで行える「Easy Switch」もショートカットに登録できること。これまでデバイス間の切り替えは、本体裏面にある物理ボタンで行う仕組みだったが、Actions Ringに登録すれば、わざわざマウスをひっくり返すことなく、画面上だけで便利に接続先を切り替えられる。

ちなみに、Easy Switch用の物理ボタンは引き続き裏面に搭載されているため、これまでと同じ方法で接続先を切り替えることも可能だ。

ちなみに、触覚フィードバック センスパネルに加えて、もうひとつ面白い操作方法が追加されている。マウス側面の奥側のボタンで利用できる「ジェスチャー」操作だ。ボタンをホールドした状態で上下左右に操作することで特定の機能を利用できる。

かなり独特な操作なのでまだ筆者は慣れることができていないのだが、たとえばMacのウィンドウナビゲーションを登録しておけば、ホールド+左右の操作でデスクトップ間を切り替えることができ、ホールド+上でMission Control、ホールド+下でアプリケーションExposéを起動できる。

ジェスチャー操作は上下左右の4つとクリックの合計5つの操作が基本的にはセットになっていて、ユーザー側でカスタマイズすることはできない。ただし、ウィンドウナビゲーションのほかにパン操作やメディアコントロールなど複数の選択肢が用意されているため、自分にあったものがあればそれを使うというやり方が便利だと思う。

もしジェスチャー操作として使いたくない場合には、手前の2つのボタンと同じようにただ押すだけで特定の機能を呼び出すショートカットとして使うことも可能だ。

個人的に恩恵の大きなLogi BoltレシーバーのUSB Type-C化

マウス自体のアップデートではないが、今回のアップデートで個人的に嬉しかったのがLogi BoltレシーバーのUSB Type-C化だ。

先代の「MX Master 3s」に付属してくるLogi BoltレシーバーはUSB Type-Aを採用していたため、MacBookなどUSB Type-Cのみを搭載するデバイスと接続するにはBluetoothを使用するか、USBハブを介する必要があった。これがType-Cになったことで、Type-Cしか搭載していないデバイスともUSBハブなしで接続できるようになり、Bluetoothよりも安定して接続できるように。

そしてUSB Type-C化を果たしたことで、レシーバーそのものがコンパクトになったことも地味に便利だ。手のひらに乗せてもこのサイズ感。MacBookの側面に接続してもほとんど邪魔にならないことはお分かりいただけると思う。

小さくなって失くしやすくなったというデメリットはあるものの、「MX Master 4」本体を充電するためのType-Cにレシーバーを挿せるようになったことから、持ち歩くときにはこのType-Cに挿しておけばある程度は紛失を防げるはずだ。

ちなみに、Logi Boltレシーバーは、同規格に対応したデバイスを同時に6台まで繋ぐことができる。すでにLogi Bolt対応製品をお持ちだったり、今後ロジクール製品を購入する際はこのレシーバーを使い回すことができる。

まとめ:MX Master 4の魅力とは

MX Master 4は、直感的な操作体験を追求した「触覚フィードバック センスパネル」に加え、精確なスクロール、長時間のバッテリー持続、素材・設計面での環境配慮をすべて備えた次世代ワイヤレスマウスだ。

マウスそのもののデザインが使いやすさを追求していることに加えて、8つのショートカットを表示するActions Ringやジェスチャー操作に対応したショートカットボタンなどによって、無限とも言えるカスタマイズを実現。カスタマイズ内容によっては、「私の考える最強マウス」を作り上げることも夢ではないはずだ。

わずか10日間の試用では研究し尽くせないほどのカスタマイズ性だったこともあり、まだまだ筆者も使いこなすことはできていないのだが、便利な使い方や面白い機能を見つけたら、随時共有したいと思っている。

MX Master 4は10月30日の発売を予定しており、ロジクールオンラインストアにおける販売価格は21,890円(税込)。先代モデルよりも価格は少し上がってしまったが、作業効率は格段に上がるはずだ。今の作業環境をもっと効率化したい人は、ぜひ検討してみていただきたい。