レノボ「2026年W杯」のテクノロジーパートナーに。史上最大の祭典のAI・デジタル基盤を単独で構築

世界最大のスポーツイベント、FIFAワールドカップが2026年に史上最大の規模で開催される。その舞台を技術面で支えるのが、FIFAにとって初の公式テクノロジーパートナーとなるLenovoだ。

Lenovoは、「PCメーカー」という従来のイメージを脱し、デバイスからクラウドまでを網羅する真のAI・インフラ企業へと進化を遂げようとしており、今回のパートナーシップを事業成長とブランド変革のための「最大かつ絶好のチャンス」と位置づけている。

6日に行われた報道関係者向けブリーフィングのなかで、Lenovoのコーポレートマーケティング本部上級副社長 兼 最高コミュニケーション責任者を務めるジェフ・シェーファー氏は、「AI分野における評価をさらに高めることが、今回の提携の重要な目的だ」と語った。同社は、選手やチーム、コーチ、放送局、そして世界中の数十億人のファンに向けてAIを活用し、“真のAI主導型ワールドカップ”の実現を目指している。

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60億人が注視する世界最大の舞台をLenovoのデジタル基盤が単独で担う

「FIFAワールドカップ2026」は、2026年6月11日から39日間にわたり、カナダ・メキシコ・アメリカの3カ国で共同開催されるサッカーの祭典だ。史上初めて48カ国が参加し、総試合数は104試合と、これまでで最大規模の大会となる。

会場は3カ国16都市に分かれており、アメリカが11会場、カナダが2会場、メキシコが3会場を担当する。主要会場には、決勝戦が行われるメットライフ・スタジアム(収容約8万2,500人)、ダラスのAT&Tスタジアム(同10万人超)、そして開幕戦が予定されるエスタディオ・アステカ(同約8万7,500人)が名を連ねる。

組み合わせ抽選は2025年12月5日にワシントンD.C.で実施される予定で、チケットはすでに100万枚以上が販売済みだ。現在は第2フェーズの販売が進行中であり、本大会はサッカー市場のさらなるグローバル拡大を象徴するとともに、新興国の参入による興行収入の増加や地域経済への波及効果も期待されている。

世界中が注目するこの大会で、デジタル基盤を単独で構築・運用するのがLenovoだ。その責任の重さは、かつてない規模の挑戦と言ってよい。

最も衝撃的なのは視聴者数だ。2022年大会の決勝戦視聴者数は15億人だったが、次回大会では60億人以上が視聴し、決勝戦だけで20億人が視聴すると予測されている。これは「データトラフィックとエンゲージメントの歴史において史上最大の日」になると、Lenovoは分析している。

この桁外れの規模に対応するため、Lenovoは異例のコミットメントを行っている。通常、このようなメガイベントの技術インフラは6社から10社の企業が分担するが、Lenovoはこれを単独で担う。公式スマートフォン、ラップトップ、PC、サーバー、ストレージ、AIソリューション、そしてITソリューションまで、すべてのカテゴリーをLenovoが提供するということだ。これは、同社が「ポケットからクラウドまで」のフルスタックテクノロジー企業であることを世界に証明する好機となるだろう。

FIFAのテクノロジーディレクターであるナチョ・フレスコ氏は、「ワールドカップのようなイベントでは、システムが5分間停止することも許されない」と指摘し、革新性と信頼性を兼ね備えたLenovoのようなパートナーが不可欠だと強調する。

Lenovoはすでに、2025年夏のクラブワールドカップでその技術力の一端を証明している。同社は、FIFAと協力してセミオートマティック・オフサイド技術を迅速に導入し、オフサイド判定の遅延を大幅に削減し、試合の進行をスムーズにした実績がある。

テクノロジーが試合の核心に入り込む領域として、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)への貢献も大きい。Lenovoは、VAR技術パートナーであるHawkeyeをサポートするためにインフラストラクチャを提供している。このインフラにはエッジ技術が活用されており、VARシステムの「揺るぎない信頼性」を確保し、判定の迅速性と正確性を裏側で支えている。

さらにLenovoは、ファン体験の向上にも先進技術を投入している。クラブワールドカップでは、ロナウド氏やベッカム氏といったVVIP(最高レベルのVIP)ゲスト向けに、「没入型タブレット」を提供した。

この特別なタブレットは、ゲストがスタジアム内をスムーズに移動し、適切な席や場所へ案内されるよう支援するもので、キャンセルやゲストの追加といった状況の変化にも柔軟に対応する動的なプロトコル調整機能(デジタル・シートベルト)を備えている。

さらに、着席後は試合のリプレイ映像や最新のデータストリームに基づく統計情報、高度な分析結果(アドバンスト・アナリティクス)にもアクセス可能。座席でのナビゲーション支援からリアルタイムの情報提供までを一体化した、ハイタッチかつ高付加価値なソリューションといえる。

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AIのブレイクスルーはCES 2026へ。SphereでAI活用の次世代ワールドカップを発表

Lenovoは、ワールドカップ2026で披露する具体的なAI技術や製品の詳細について、現時点ではまだ多くを明かしていない。その全貌は、2026年1月6日にラスベガスで開催されるCESのオープニングイベントで発表される予定だ。

同社は来年のCESにおいて、世界で最も革新的な会場として注目を集めるSphere(スフィア)の公式パートナーであり、同施設を運営するSphere Studiosの公式技術パートナーも務める。

「Lenovo AI Powers a World Gone Football(LenovoのAIが世界をフットボールに染める)」というキャンペーンテーマのもと、会場には1万5,000人以上が来場し、オンラインでは2,000万人以上が視聴する見込みだ。この大規模イベントでLenovoは、新型PCやスマートフォン、サーバーを発表するとともに、AIがファン体験や放送品質をどのように変革するかを示す新たなコンセプトやデモンストレーションを初公開する。

LenovoがFIFA向けに構築するソリューションの最大の価値は、その産業的な応用可能性にある。FIFAトーナメントのように「システムの5分間の停止すら許されない」極めて厳しい要件を満たすために設計された堅牢なリアルタイムソリューションは、フットボール以外にもさまざまな分野で応用できるポテンシャルを持つ。

Lenovoの幹部は、この技術が原子力発電所やスマートグリッド、軍事分野など、高いレジリエンスと安定性が求められるあらゆるビジネスで活用できると自信を示す。Lenovoにとって、ワールドカップでの成功は、世界中の企業へと技術を展開していくうえでの試金石となるだろう。

(画像提供:Lenovo)

Lenovo取材
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