中国におけるiPhoneの販売で苦戦を強いられているAppleは、画面内蔵型の指紋認証センサーを搭載したiPhoneを発売し、販売回復に繋げる狙いがあるのかもしれない。
中国のメディアGrobal Timesがテクノロジー系ニュースサイトcaijing.com.cnの情報を基に報じた。
Appleが中国向けに画面内蔵型指紋センサー搭載モデルを用意?
同サイトの情報によれば、Appleは顔認証機能 「Face ID」 を排除し、代わりに指紋認証センサーを画面に内蔵させたiPhoneを中国国内のみで発売する計画があるという。業界関係者の話では、この画面内蔵型の指紋認証センサーはFace IDを搭載するよりも製造コストが安いとのこと。つまり、同生体認証を搭載したiPhoneは現行モデルよりも安く販売できることになる。
画面内蔵型の指紋認証センサーはすでにいくつかの中国のスマートフォンベンダーが採用している生体認証方式であるため、決してありえない話ではない。現に、2020~2021年のiPhoneに搭載されることを予想する声もある。
ただし、筆者が個人的に気になるのは、コスト削減のためとはいえ中国モデルのみに画面内蔵型Touch IDを搭載するのはありえるのか?ということ。
現行モデルのiPhoneは、すべて顔認証機能を搭載することを前提とした製品デザインになっている。その最たる例は画面上部のノッチ。ここには顔認証センサーや内向きカメラを搭載するため、画面の上部に切り欠きが設けられている。顔認証センサーが排除されるのであれば、このノッチも小型化できるはず。むしろ、これは多くのユーザーが望むiPhoneが誕生することになり、それゆえにAppleが中国市場のみに絞って独自モデルを発売する可能性はやや低いということ。
また、Appleはスマートフォンのラインナップを合計3つに絞り、それを大量生産することで製品価格を抑える工夫をしている。仮に顔認証センサーよりも画面内蔵型指紋認証センサーの方がコスト的に安いとしても、単一の市場向けに部品を作ること自体にコストは発生してしまう。いくら中国市場が巨大でもこれは避けられない。
このような戦略はAppleが一度も行ったことのないものとなる。上記理由から本当に実現するかどうかはやや懐疑的と見ていいのではないだろうか。
ただし、中国でのiPhoneの販売に苦戦しているのも事実。Appleは前回の決算発表で二桁台の売上減少を記録している。売上減少の原因として米中貿易摩擦の影響が指摘されているが、それ以上に高価になりすぎたiPhoneを避け、中国のスマートフォンを購入するユーザーが相対的に増えたことも影響している。
果たして、Appleは新しい戦略を講じるのだろうか。筆者としてはあまり現実的な情報だとは思えないが、iPhoneの販売に行き詰まったこともあり、もしかするとAppleの世界戦略にも変化が生じているのかもしれない。
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[ via MacRumors ]