
Appleは12月9日、モバイル通信やWi-Fiが使えない環境でもiMessageやSMSを送受信できる「衛星経由のメッセージ」を日本で開始した。対象はiPhone 14以降の全モデルとApple Watch Ultra 3。これまで緊急用途に限られていた衛星通信が、日常的なメッセージにも拡張された形だ。
圏外状態でメッセージを送信しようとすると、端末は自動的に衛星への接続を促す。iPhoneではDynamic Islandに接続状況や衛星の方向が表示され、ユーザーは指示に従って端末の向きを調整するだけでよい。Apple Watchでは画面上部に衛星アイコンが表示される。空が開けた場所での利用が前提となるが、操作はシンプルだ。
利用できるのはテキスト、絵文字、Tapbackのみで、写真や動画の送受信には対応しない。iMessageは従来通りエンドツーエンドで暗号化される。

通信にはGlobalstarの低軌道衛星を使用する。KDDIが提供する「au Starlink Direct」とは別の仕組みで、KDDIユーザーでStarlink対応プランを利用している場合は、まずStarlinkへの接続が優先され、接続できない場合にAppleの衛星通信へ切り替わる。
料金は当面無料。アクティベーションから2年間は無償で利用できる。すでに対応モデルを持つユーザーも対象となる。今回の対応により、圏外でも「最低限の連絡」が取れる環境が日本でも整った。災害時や山間部、海上といったこれまで孤立しやすかった環境でも、スマートフォンが実用的な連絡手段として機能する場面が広がるだろう。
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(画像:Apple)

