3月18日に突如発表された新型iPad miniこと 「iPad mini (第5世代)」 。実に4年ぶりのアップデートになった同端末は、内蔵プロセッサの性能が大幅に引き上げられただけでなく、画面の改良やApple Pencilへの対応などプロレベルの作業もこなせるように。見た目は華奢だが、とても頼もしい存在になった。
しかし、気になるのは他モデルとの性能差。特に価格帯が近い 「iPad(第6世代)」 とは何がどう違うのだろうか。同記事ではiPad mini(第5世代)とiPad(第6世代)の性能を比較してみた。もしどちらの端末を購入するか悩んでいるなら、同記事を参考に考えてみていただければと思う。
iPad mini(第5世代)とiPad(第6世代)の機能・スペック比較
まず、今回は結論ありきで話を進めていきたい。というのもiPad mini(第5世代)とiPad (第6世代)はコンセプトが全く異なるデバイスであるため、ユーザーにとってどちらが適しているのか、ある程度ハッキリと決まってくるからだ。
それでは結論。iPad mini(第5世代)はそのコンパクトさ故に 「サブ端末」 として使用することを前提としている方にオススメだ。すでにMacBook ProやiPad Proといった “母艦” を持っている方に一番最適なデバイスだと考えている。
そしてiPad(第6世代)はメイン端末として利用したい方、もしくは安くiPadを入手したい方にオススメ。当然、すべてのユーザーがこの選択肢で購入する必要はないと思っているが、筆者がなぜこの結論に至ったのかについては、以下で両者を比較をしながら少しずつ解説していきたいと思う。
画面サイズと本体サイズ
iPad mini(第5世代)とiPad (第6世代)の最も大きな違いは、何と言ってもそのサイズ感。iPad mini(第5世代)は7.9インチの小さな画面を搭載するため、本体サイズも203.2mm × 134.8mm × 6.1mmととてもコンパクトだ。対するiPad(第6世代)は9.7インチのやや大きめな画面を搭載し、本体サイズは240.0mm × 169.5mm × 7.5mm。iPad(第6世代)はiPad mini(第5世代)よりもひと回り大きいことがお分かりいただけるだろう。
iPad mini(第5世代)はそのコンパクトさのおかげで片手で操作することが容易。両端を掴んで操作できるため、屋外で使用するのにも適している。このことから、iPad mini(第5世代)は自宅で使うだけでなく、外に持ち出して使えるポータブル性を重視したデバイスになっていることがお分りいただけると思う。
しかしその代償として、画面サイズが7.9インチとやや小さいため、Split Viewなどを使ったマルチタスク時はどうしても画面が狭くなりがち。もし、マルチタスクを使ってバシバシ作業をしたいのであればやはり大きな画面が欲しくなるはずだ。
そのため、外出中にちょっとした調べごとをしたり、メールや地図を確認したり、友達に写真を見せたりする分にはiPad mini(第5世代)で十分だが、本格的にiPadで作業をしたいのであればiPad mini(第5世代)ではこなせるかどうか不安も残る。
もし ”母艦” を務める端末が自宅にないのなら、どちらかというとiPad mini(第5世代)よりもiPad (第6世代)を購入した方が良い可能性が高い。もしくは同時に発表されたiPad AirやiPad Proがその責務を負うのにふさわしいだろう。
iPad mini (2019) | iPad (第6世代, 2018) | |
---|---|---|
ディスプレイサイズ | 7.9インチ | 9.7インチ |
解像度 | 2,048 × 1,536ピクセル(326ppi) | 2,048 × 1,536ピクセル (264ppi) |
本体サイズ | 203.2 × 134.8 × 6.1 mm | 240.0 × 169.5 × 7.5 mm |
重量 | Wi-Fiモデル:300.5g Wi-Fi + Cellularモデル:308.2g |
Wi-Fiモデル:469g Wi-Fi + Cellularモデル:478g |
画面の質はiPad miniの方が圧倒的に上
では、iPad (第6世代)の方が優れているかと言うと全くそんなことはない。むしろiPad(第6世代) の方が優れている箇所を見つける方が大変なくらい、iPad mini(第5世代)はパワフルな端末だ。
その最たる例は画面の質。iPad mini(第5世代)の画面はフルラミネーションディスプレイ (画面と液晶の隙間が薄いため正確で違和感のない操作が可能) で、耐指紋性撥油コーティングや反射防止コーティングが施されているほか、これまでiPad Proのみに搭載されてきたTrue Toneテクノロジーや正確な色表現ができる広色域(P3)ディスプレイに対応している。
このうちiPad (第6世代)が対応しているのは、耐指紋性撥油コーティングや反射防止コーティングのみ。画面が大きいiPad(第6世代)だが、画面の質はiPad mini(第5世代)の方が優れていることになる。特にApple Pencilを使って作業するイラストレーターや撮影した写真や映像の確認をする方には、iPad(第6世代)の画面質は満足できるものではない可能性が高い。
iPad mini (2019) | iPad (第6世代, 2018) | |
---|---|---|
ディスプレイ | Retinaディスプレイ 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ |
Retina ディスプレイ 耐指紋性撥油コーティング |
▶︎ 新型 「iPad mini」 / 9.7インチiPad (第6世代)
▶︎ Apple Pencil(第1世代)
▶︎ Smart Cover ( iPad mini用 / 9.7インチiPad用 )
▶︎ 「iPad Pro」 「iPad Air」 など他のiPadと性能を比較 → iPadのモデルを比較
最新A12 Bionicプロセッサ内蔵で処理速度は爆速に
おそらく多くのユーザーを驚かせたのは、iPad mini(第5世代)に搭載されたA12 Bionicプロセッサ。昨年秋に発売したiPhone XS/XS Max、iPhone XRに搭載された高性能6コアプロセッサだが、これを採用したiPad mini(第5世代)は前モデル(iPad mini 4/A8プロセッサ)から最大3倍高速に、グラフィックは最大9倍の性能になっているとAppleは説明する。
実際、Geekbenchのベンチマーク(シングルコアスコア4806、マルチコアスコア11607)からもそれが事実であることも明らかだ。手のひらサイズのタブレットにラップトップ並みのプロセッサが内蔵されていることは驚異的と言ってもいい。
ちなみに 「iPad (第6世代)」 の内蔵プロセッサは、2016年9月に発表された「iPhone 7/7 Plus」 に搭載された 「A10 Fusion」 プロセッサ。筆者が持つiPad (第6世代) で計測したベンチマークスコアはシングルコア3249、マルチコア5912となっており、iPad mini(第5世代)と大きな差がついている状況だ。処理性能の高さについては画面同様、iPad mini(第5世代)の圧勝。少しでも性能が高い方を買いたいのであればiPad mini(第5世代)を選ぶべきだろう。
iPad mini (2019) | iPad (第6世代, 2018) | |
---|---|---|
プロセッサ | A12 Bionicチップ M12モーションコプロセッサ Neural Engine |
A10 Fusionチップ M10モーションコプロセッサ |
Apple Pencil と Smart Keyboardへの対応
iPad mini(第5世代)とiPad(第6世代)は、同じくApple Pencilに対応している。利用できるApple Pencilは第1世代で、残念ながら最新の第2世代のものではない。ペアリングと充電はApple Pencilのヘッドに隠されたLightningコネクタで行う仕組み、外で充電する際にはiPad本体に接続する必要がある。
しかし、コンパクトなiPad mini(第5世代)でApple Pencilが使えるようになったのはとても大きな変化だ。これまで外出先でApple Pencilを使いたい場合は大型のiPadを持ち歩く必要があったが、これからはジャケットやジーンズのポケットや小さなカバンにiPad mini(第5世代)を入れて、身軽に行動できるようになった。
しかし注意して欲しいのが、念願のApple Pencilへの対応は果たしたiPad mini(第5世代)も、依然としてSmart Connectorは搭載されていないということ。つまり、Smart Keyboardを利用することができないため、タイピングする機会が多い方にはiPad mini(第5世代)はあまり適さない可能性がある。もちろんiPad(第6世代)もSmart Keyboradには対応しておらず、もしSmart Keyboardが使いたいのであればiPad ProもしくはiPad Airの購入が必要になる。
価格が安いのはiPad(第6世代)、ただし価格差わずか8,000円
iPad mini(第5世代)とiPad(第6世代) には大きな性能差があることがお分かりいただけたと思う。ここまでiPad(第6世代) を選ぶべき点は 「画面の大きさ」 だけだった。しかしiPad mini(第5世代)に勝てる部分はあともうひとつだけある。それは価格だ。
iPad mini(第5世代)の価格は最少ストレージ容量64GBで45,800円(税別)。対するiPad(第6世代)は最少ストレージ容量32GBで37,800円(税別)だ。その差は8,000円。
確かに4万円でiPadが購入できるのは非常に魅力的だ。この差を安いと考えるか高いと考えるかはユーザー次第だと思うのだが、しかし先述したようにiPad mini(第5世代)とiPad(第6世代)との差がかなり大きいことを踏まえると、8,000円という差はむしろ安く感じなくもない。
iPad mini(第5世代)を買うべきか、それともiPad(第6世代)を買うべきか
以上の特徴を踏まえると、コンパクトなiPad mini(第5世代)は画面の小ささゆえに母艦としては少々物足りないところもあるが、出張や旅行先に持ち出すには最も優れたデバイスと言えるだろう。もちろん自宅で使うにも手軽なデバイスで、寝る前に動画を見たり電子書籍を読んだりするにはむしろ軽量なiPad mini(第5世代)がうってつけだ。
ただし、まだ一台も母艦となるデバイスを持っていない場合はiPad(第6世代)のような大画面デバイスを購入することを検討してみても良さそう。コストパフォーマンスに優れているため、手頃に自身の環境をアップグレードすることが可能だ。
どちらを選ぶべきかはあとは各ユーザーの使い方次第だと思われる。ぜひ自身の使い方にあったデバイスを選択していただきたい。迷った場合は以下のスペック比較表などを使って、どちらのモデルを購入するべきかぜひじっくりと悩んでみていただきたい。
▶︎ 新型 「iPad mini」 / 9.7インチiPad (第6世代)
▶︎ Apple Pencil(第1世代)
▶︎ Smart Cover ( iPad mini用 / 9.7インチiPad用 )
▶︎ 「iPad Pro」 「iPad Air」 など他のiPadと性能を比較 → iPadのモデルを比較
関連記事
・11インチiPad Pro レビュー 〜新型モデルの良さはどこに?
・【徹底比較】新型12.9/11インチ「iPad Pro(2018)」は買い?性能・スペックを2017年モデルと比較
・【2019最新比較】新型「iPad Air」と「iPad mini」の違い・スペック徹底解説、買うならどっち?
・【レビュー】「iPad(第6世代)」待望のApple Pencil対応の低価格モデル、どんな人にお得?
・【比較】9.7インチ「iPad (第6世代)」は第5世代に比べてどれほど進化を遂げたのか
iPad mini (2019) | iPad (第6世代, 2018) | |
---|---|---|
ディスプレイ | Retinaディスプレイ 耐指紋性撥油コーティング フルラミネーションディスプレイ 反射防止コーティング 広色域ディスプレイ(P3) True Toneディスプレイ |
Retina ディスプレイ 耐指紋性撥油コーティング |
ディスプレイサイズ | 7.9インチ | 9.7インチ |
解像度 | 2,048 × 1,536ピクセル(326ppi) | 2,048 × 1,536ピクセル (264ppi) |
プロセッサ | A12 Bionicチップ M12モーションコプロセッサ Neural Engine |
A10 Fusionチップ M10モーションコプロセッサ |
外向きカメラ | 8Mピクセル(800万画素) F値:2.4 Live Photos オートフォーカス パノラマ(最大43Mピクセル) |
8Mピクセル(800万画素) F値:2.4 Live Photos オートフォーカス パノラマ(最大43Mピクセル) |
ビデオ撮影 | 1080p HDビデオ撮影 720p(120fps)スローモーションビデオに対応 ビデオの手ぶれ補正 撮影中にタップしてフォーカス |
1080p HDビデオ撮影 720p(120fps)スローモーションビデオに対応 ビデオの手ぶれ補正 撮影中にタップしてフォーカス |
内向きカメラ | 7Mピクセル(700万画素) F値:2.2 Live Photos 1080p HDビデオ撮影 HDR写真およびビデオ |
1.2Mピクセル(120万画素) F値:2.2 Live Photos 720p HDビデオ撮影 HDR写真およびビデオ |
センサー | Touch ID 3軸ジャイロ 加速度センサー 環境光センサー 気圧計 |
Touch ID 3軸ジャイロ 加速度センサー 環境光センサー 気圧計 |
スピーカー搭載数 | 2 | 2 |
通信 | Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz) MIMO対応 ギガビット級LTE(Wi-Fi+Cellular) Bluetooth 5.0 |
Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac MIMO対応 Bluetooth 4.2 |
バッテリー | ビデオ / オーディオ再生 : 最大10時間
インターネット利用 |
ビデオ / オーディオ再生 : 最大10時間
インターネット利用 |
本体サイズ | 203.2 × 134.8 × 6.1 mm | 240.0 × 169.5 × 7.5 mm |
重量 | Wi-Fiモデル:300.5g Wi-Fi + Cellularモデル:308.2g |
Wi-Fiモデル:469g Wi-Fi + Cellularモデル:478g |
Apple Pencil | Apple Pencil (第1世代) | Apple Pencil (第1世代) |
コネクタ | Lightning | Lightning |
カラー | シルバー ゴールド スペースグレイ |
シルバー ゴールド スペースグレイ |
価格 | Wi-Fiモデル 64GB:45,800円 256GB:62,800円 Wi-Fi + Cellularモデル |
Wi-Fiモデル 32GB:37,800円 128GB:48,800円 Wi-Fi + Cellularモデル |
▶︎ 新型 「iPad mini」 / 9.7インチiPad (第6世代)
▶︎ Apple Pencil(第1世代)
▶︎ Smart Cover ( iPad mini用 / 9.7インチiPad用 )
▶︎ 「iPad Pro」 「iPad Air」 など他のiPadと性能を比較 → iPadのモデルを比較