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HyperX Cloud III Wireless レビュー|筆者愛用のゲーミングヘッドセットにワイヤレスモデルが登場、有線モデルとの違いを考えてみた

国内外のプロゲーマーたちに長年愛されてきたゲーミングヘッドセット 「HyperX Cloud」 。その最新モデル 「HyperX Cloud III」 が今年6月に発売したのは既報のとおり。同製品のレビューも当サイトで公開している。

「HyperX Cloud III」 をレビューしてから、同製品をしばらく使って感じていたのは、「これにワイヤレスモデルもあったらなぁ……。」 というものだった。性能も良く、使い勝手も良いため愛用しているのだが、ワイヤレスヘッドセットに慣れている筆者にとってはやはりケーブルがないモデルが欲しくなる時があった。

そう思っていた折、その念願のワイヤレスモデルが、いよいよ満を持して登場することになった。「HyperX Cloud III Wireless」 だ。「HyperX Cloud III」 の特長をケーブルレスで体験することが可能だ。

発売に先立ち、HyperX Japanから本製品のサンプル品を提供いただき、実際に使ってみることができた。そこで当記事では、「HyperX Cloud III」 の特徴を改めておさらいしながら、ワイヤレス化した 「HyperX Cloud III Wireless」 を総評していきたいと思う。

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「HyperX Cloud III Wireless」 のデザインをチェック

(画像提供:HyperX)

「HyperX Cloud III Wireless」 をチェックしていく前に、まずは本製品が一体どんな製品なのか、簡単にご紹介しておこうと思う。

「HyperX Cloud III」 は、2015年の発売から約8年間にわたり多くのゲーマーたちのゲームシーンを支えてきた、ゲーミングヘッドホンの名機 「HyperX Cloud II」 の次世代モデル。そして、今回紹介する 「HyperX Cloud III Wireless」 はそのワイヤレスモデルということになる。

先代の 「Cloud II」 は、1万円を切る価格帯であるにも関わらず、その快適なつけ心地や音質の良さ、耐久性の高さなどが好評だったが、「Cloud III」 は先代モデルで寄せられたフィードバックを基に様々な改良を加えた。具体的には、ヘッドセットの装着感をさらに高めつつ、音質や耐久性を向上させるなど次期モデルに相応しい性能に仕上がっている。

デザインも先代モデルをベースに改良した。「HyperX Cloud III Wireless」 はオーバーイヤー型のヘッドセットだ。耳を完全に覆うようにイヤーカップを被せるため、耳にかかる負担は少なく装着することができる。

イヤーカップの形状は、先代モデルが完全な楕円形だったのに対し、新型モデルではすこし斜めがかった楕円形に変化している。これは人の耳の形により合うようにするための工夫だという。

頭部にあたるイヤーパッドは、メモリーフォームがより厚くなり、もっちりとした感触になった。厚みは3cmくらいあるが、指で押すと優しく沈み込む。長時間使用し続けるユーザーのことを意識した作りになっているようだ。

ヘッドバンド部には、従来よりも柔らかな人工皮革が採用されたことでクッション性が増し、頭頂部が痛くなるのを防いでくれる。ヘッドバンド部分は金属が入っているものの、それなりに柔軟性があるため左右に大きく捻ってもバキッと折れて壊れてしまうなんてことはない。

こんなに捻っても壊れない

また、ヘッドバンドはすこしスリムになったり、縫い目が目立たないデザインになったほか、イヤーバンドとイヤーカップを繋ぐバックル部分がイヤーバンドと一体化するなどの変化により、見た目がよりスマートになったのも地味な進化ポイント。

実際に装着してみると、有線モデルの 「HyperX Cloud III」 と同様にふんわりと頭を包み込む感覚で使用することができた。前述のとおり、イヤーパッドとヘッドバンドには従来よりも柔らかいクッションが使用されていることもあり、装着感はかなり快適。ワイヤレス化したことで重量も若干重くはなっている (有線モデルは290g、無線モデルは330g)が、その違いもさほど感じさせない。

その見た目からイヤーカップの中が蒸れるのではないかと危惧されている方もいるかもしれないが、筆者の場合に限っていえば特に蒸れるということもなく長時間装着しても不快感を感じることはなかった。

ヘッドバンドの伸び縮み具合

ヘッドセットの頭の締め付け(側圧)も、緩すぎずキツすぎずでちょうど良い感じ。多少頭を振ってみてもヘッドセットがズレてしまうこともなかったので、ゲームが白熱してくると思わず身体が動いてしまうタイプの人も安心して使えるのではないだろうか。

また、筆者の場合一部の他社ヘッドセットだと、装着しているうちにヘッドバンドがあたる頭頂部が痛くなることがたまにある。しかし、本製品の場合それはまったくと言っていいほどない。というより、そもそも 「頭の上に載っている」 という感触も薄いため、本製品を使用していて頭頂部に痛みが感じられることはおそらく少ないのではないかと思う。

ちなみに、筆者は小さめのピアスを耳につけているのだが、「Cloud III」 のイヤーカップの大きさは十分に広く、また深さもあるため、耳が圧迫されず痛みを感じることはなかった。アクセサリーの大きさや形状にもよるとは思うが、一般的なものであればその点は心配する必要はないだろう。

右側のイヤーカップ後ろ側には、音量調節用のダイヤルが搭載されている。ボタンではなくダイヤル方式なので、音量の上げ下げが直感的にできてとても良い。ダイヤルもちょうどよいグリップ感があり細かく調節できるのも良いところ。

音量調整は有線モデルと異なり、システム側の音量と連動する仕組み。ちなみに、有線モデルのほうはシステムの音量とヘッドセット側の音量がそれぞれ独立しているため、複雑に感じる人もいるかもしれない。

マイクは前モデルから引き続きブームマイクが採用されている。マイクのカプセル径は10mmでノイズキャンセリングに対応し、クリアな音声をボイスチャットの相手に届けることができるほか、ポップフィルターが従来のフォームカバーからメタルメッシュフィルターに変更されており、パ行やバ行などの破裂音を発したときに生まれるノイズを拾うことを防いでくれる。

FPSなどのシューティングタイトルにおいて、銃撃戦のなかこの破裂音を認識するのはやや難しいことがある。この新しいポップフィルターを採用したことで、重低音が鳴り響くゲーム内でもより正確にコミュニケーションを取れるようになった。

左のイヤーカップ背面に搭載されているボタンは、ミュートボタンと電源ボタン。

ミュートはワンプッシュでON/OFFを切り替えてくれる。ボタンの大きさは小さめではあるものの、そもそもヘッドセットに搭載されているボタンがあまり多くないことと、電源ボタンと形状が異なり多少出っ張っているため押しづらさはあまり感じなかった。

問題はいまミュート状態にあるのかどうかを確認する方法だが、若干見づらいが実はマイクの先端にLEDインジケーターが用意されており、現在のステータスを視覚的に表示してくれている。

有線モデルと同様ミュートすると赤色LEDが点灯

ミュートしているときは赤く点灯し、マイクが有効なときは消灯する仕組み。また、マイクは物理的に抜いてしまうこともできるため、しばらくマイクを使わないときは抜いてしまうのも手かもしれない。

電源のON/OFFは、ボタン長押しで切り替える。電源が入りデバイスと接続すると 「Connected!!」 と英語のアナウンスが流れるので分かりやすくてグッド。なお、電源が入っている状態で電源ボタンを押すとバッテリー残量を教えてもらうことも可能だ。

ワイヤレスドングルはUSB Type-C仕様だが変換アダプタを使用することでType-Aでも接続可

ワイヤレスドングル (USB Type-Aのすがた)

デバイスとの接続は、ゲーミングギアらしく専用のワイヤレスドングルを使用する。ドングルはUSB Type-C仕様だが、先端にUSB Type-Aに変換するアダプタが装着されているので、USB Type-A/Type-Cの両方で接続できる。PCやPS5を含む各コンソールだけでなく、MacBookのようなUSB Type-Aを搭載していないデバイスにも使用することも可能だ。

ドングルはUSB-Cハブ経由でも接続可能

また、Nintendo Switchの場合はTVモード時にドック経由で接続することができるほか、携帯モードやテーブルモード時にはNintendo Switch本体にドングルを挿入することで使用することができる。このドングルが接続できるデバイスであれば基本的に利用することができるのではないだろうか。

充電用のコネクタはUSB Type-C、左イヤーカップの底部に用意されている。バッテリー持ちは最大120時間。バッテリーが切れそうになっても充電しながら継続使用することが可能だ。

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音質・マイクの品質

本製品の音質について。「HyperX Cloud III Wireless」 は、有線モデルの 「HyperX Cloud III」 と構造自体は基本的に似ているため、音質もだいたい同等のものになっている。

ヘッドセット内部に搭載されたドライバーは、53mmの大口径ダイナミックドライバーになったほか、耳に音が直接伝わる角度に調整されており、先代モデルよりも音質が向上している。

さらに、ゲームの立体音響を正確に表現できるバーチャルサラウンドサウンド技術 「DTS Headphone:X 2.0」 にも (PCのみ) 準拠しているため、より高い没入感を得ることが可能だ。

実際にゲームをプレイしてみると、2万円弱で購入できるヘッドセットの音質ではないことに気づく。もちろん高級ヘッドホンレベルの繊細さはないものの、音の解像度感は予想以上に高く、音もしっかりと立体的に聴こえてくるため、ゲーム内で発生する些細な音もしっかりと聴き取ることができる。少なくとも同ヘッドホンがゲームシーンを阻害することはないはずだ。

また、ゲームプレイだけでなく一般的な楽曲を再生してみたところ、ひとつひとつの音がハッキリとした、明瞭感のある音を楽しむことができた。用途としてはゲームプレイ用のヘッドセットではあるものの、音楽視聴用として代用することも十分可能。映画やドラマを視聴するにも十分な性能と言えるだろう。

マイクは取り外し可能

マイク品質に関しても、「Cloud III」 と同等の性能を持っている。

「Cloud III」 のレビューでは、同ヘッドセットを装着したユーザー同士でボイスチャットをしながら『フォートナイト』をプレイするというテストをしたとお伝えしたが、そのときに感じたフィーリングと 「HyperX Cloud III Wireless」 ではあまり違いはなかったように感じている。

相手の声はかなりハッキリとクリアに聞き取ることができており、バ行やパ行などポップノイズが入りやすい単語も、メタルメッシュフィルターのおかげか不快感を感じることなく聞くことができた。

指向性の高さも十分で、ボイスチャットの相手の近くで第三者に声を発してもらっても、ボイスチャットに音が混じることはほぼなかった。さすがに大きな声だとわずかに音が混じってしまうのだが、耳元で第三者に大声を出されながらゲームをプレイするという状況はほとんど考えられないため、この点に関しては心配はいらないだろう。

ワイヤレスヘッドホンといえば気になる遅延、果たして?

最後に、ワイヤレスヘッドセットといえば気になるのが音声の 「遅延」 。有線に比べるとどうしても遅延が発生してしまうものだが、実際のゲームプレイのなかで遅延が感じられることはあるのだろうか。

結論から言うと、「HyperX Cloud III Wireless」 で遅延が感じられることはほとんどない。デバイスとの接続に専用の2.4GHzのワイヤレス伝送を利用していることもあり、有線とほとんど変わらない感覚で音声を聴くことが可能だ。通信も筆者の環境では安定しており、ゲーム内音声が途切れたり通話相手の声がロボ声になったりすることもなかった。

FPSなどのコンマ1秒を争うようなタイトルやリズムゲームなども本製品は安心して使用することができるのではないだろうか。

「HyperX Cloud III Wireless」 レビュー総評

今回は 「HyperX Cloud III Wireless」 をレビューした。

以前レビューした有線の 「HyperX Cloud III」 の仕様をそのままに、ワイヤレス化を果たした 「HyperX Cloud III Wireless」 は、付け心地がより快適になっただけでなく、音質やマイク品質がしっかりと向上。さらに、音量調節ダイヤルや洗練された新デザインなど、先代モデルから細部に至るまで改良が行われた結果、約2.2万円の製品とは思えないような高いクオリティのゲーミングヘッドセットへと進化していた。

また、有線モデルの 「HyperX Cloud III」 と無線モデルの 「HyperX Cloud III Wireless」 の使用感は限りなく似ており、仕様の違いもかなりシンプルなので、ざっくり 「有線か無線か」 の違いだけで選べるのも同シリーズの良いところだ。

有線モデルを選ぶメリットは、若干だが軽量であること、バッテリーを充電する必要性が一切ないこと、3.5mmオーディオジャックにも繋げられること。一方で、無線タイプの 「Cloud III Wireless」 はケーブルに縛られないというメリットが挙げられる。両者の間に音質や遅延の差は若干はあろうかと思われるが、実機を試す限りではその差はほとんど感じられなかったので、この点はあまり気にする必要はないと思う。

個人的にはワイヤレスヘッドセットで慣れていることもあり、今後は 「HyperX Cloud III Wireless」 を多用していく予定。筆者には珍しくベタ褒めレビューになった気がするが、(お世辞抜きで) この製品には満足しているのかもしれない。

「HyperX Cloud III Wireless」 の販売価格は21,980円、9月11日に発売予定。本日より予約受付が開始されている。

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