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日本HP、今年度は法人向け製品を中心にAI PCを拡充。現在のAI PC販売比率は15%、27年には50%到達を目指す

日本HPは今月16日、東京都内で報道関係者向けに事業説明会を開催。AI技術を活用した個人・法人向けのPC製品やソリューション等を発表するとともに、自社PC製品のなかで 「AI PC」 の販売比率が15%に達したことなどを明らかにした。

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AI PCの販売比率は15%、2027年までに50%到達を目指す

プレゼンテーションの冒頭では、まず日本HPの代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏が登壇し、日本HPの各事業の戦略や取り組みに関する説明を行った。

まず2024年度の業績について。売上高は約536億ドル、利益は約45.2億ドル、フリーキャッシュフローは約33億ドルだった。

前年度業績と比較すると売上高・利益ともに同水準 (前年度業績は売上537億ドル、利益45.7億ドル、フリーキャッシュフロー31億ドル) となったものの、第3四半期、第4四半期の2期連続で前年同期を上回ることができ、目標としていた数値を達成することができたという。

さらに、同社PC製品の売上に占めるAI PCの割合も15%に到達したという。その上で、岡戸社長は今年度の取り組みとして 「Future of Work」 を提唱し、企業の成長と従業員の充実感を満たす働き方を実現していきたいと話した。

「Future of Work」 は、AIテクノロジーを搭載した製品やソリューションを強化することで、社内のダイバーシティを推進していくというもの。

これを実現するための核として、「AIを活用したITプラットフォーム」 「スマートテクノロジーとパーソナライズ体験」 「高いコラボレーション体験」 の3つを挙げた。

「AIを活用したITプラットフォーム」 は、AIを活用しデバイスの管理や生産性を高めていくプラットフォームを提供していくこと。「スマートテクノロジーとパーソナライズ体験」 は、まさにAI PCを軸としたもので、PCが利用者に寄り添うパーソナライズされた体験を提供するというもの。そして、「高いコラボレーション体験」 は同社グループ傘下の会議システムブランド 「Poly」 の技術をAI PCにも盛り込んでいくという。

「スマートテクノロジーとパーソナライズ体験」 のひとつの事例として、岡戸社長は米国でベータ版として提供している業界初のインテリジェントな印刷体験 「HP Print AI」 を紹介した。

たとえば、スプレッドシートを印刷する際に用紙が意図せず分かれてしまったり、WEBコンテンツを印刷しようした際に余分な広告が入ってしまうことがあるが、「HP Print AI」 では本来複数枚に分割されてしまうスプレッドシートの印刷ジョブでも、AIが一枚の紙にまとめて印刷することを可能にする。

日本HPは、昨年 「AI PC 元年」 になると宣言していたが、今年はより一層AI PCのポートフォリオを拡充していくという。昨年は主に個人向けのAI PCを展開してきたが、今年はHPが開発したAIアプリケーション 「HP AI Companion」 や最新のセキュリティ機能 「Wolf Security」 を搭載した法人向けAI PCを拡充していく。

また、ゲーミングPCにもAIがゲームのパフォーマンスを最適化する 「OMEN AI」 を実装した新製品を投入していくほか、GIGAスクール構想 第2期に向けた製品の販売も計画しているという。

製造業のDX支援にも力を入れていく。参考事例として、大型デジタル印刷機を導入したKADOKAWAの事例が紹介された。KADOKAWAが埼玉県所沢市と共同で進めるポップカルチャーの発信拠点 「ところざわサクラタウン」 にHPのデジタル印刷機を8台設置し、すでに3000万部以上の書籍を印刷したという。

本デジタル印刷機を導入したことで、必要な部数を必要な分だけすぐ印刷することが可能になり、返本率を従来から10ポイント引き下げることができたほか、印刷から配荷まで10日かかっていたところ1日〜3日で届けることが可能になったという。

新たに投入するAI PC製品に関しては、日本HP執行役員パーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏が詳しく紹介した。今回発表された製品は以下。

個人向けPCとしては、HPのオールインワンデスクトップPC 「HP OmniStudio X 32 AI PC」 や、ゲーミングノートPC 「OMEN MAX 16 Gaming Laptop」 を追加投入する。拡充すると宣言した法人向けPCとしては、「HP EliteBook X G1a 14」 「HP EliteBook X G1i 14」 や 「HP ZBook Ultra G1a」、ミニワークステーション 「HP Z2 Mini G1a」 などを展開していく。 各製品の特徴は以下記事から。

OMEN MAX 16

ゲーミング製品には、より最適なゲーミングパフォーマンスを発揮できるようにするAI機能 「OMEN AI」 が用意される。本機能は、ゲーミング用のユーティリティソフト 「OMEN Gaming Hub」 に蓄積されたデータと機械学習モデルを組み合わせることで、ゲーム内の設定だけでなくシステム全体の最適化を実施するというものだ。現状では『Counter-Strike 2』が対応しており、今後対応タイトルは徐々に追加予定とのことだ。

そして、法人向け製品には、HP独自のAIソリューション 「HP AI Companion」 を提供する。「ChatGPT 4o」 をベースに開発したモデルを採用したツールで、プロンプトを入力することでQ&Aやインサイト情報を得られたり、個人ファイルの分析や比較、レポートの要約や下書きが作成できたり、PCのパフォーマンスを可視化できたりする。

続けて、日本HPのワークフォースソリューション事業本部長を務める前田悦也氏が、法人向けのクラウドベース管理プラットフォーム 「HP Workforce Experience Platform (WXP)」 および、法人向けのセキュリティソリューション 「HP Wolf Security」 のポートフォリオに関する説明が行われた。

日本HPは法人向けに、PCやプリンター、Poly製品などの導入から保守、修理、廃棄に至るまで、企業規模に応じた幅広いサービスを展開しており、そのなかにはソフトウェア分野のソリューション提供も含まれている。前田氏によると、今年度はこのソフトウェア領域を強化していきたいという。

そのひとつが、「HP Workforce Experience Platform (WXP)」 だ。クラウドベースの管理プラットフォームになっており、PCやプリンタ等のテレメトリ情報を可視化することで、各端末の利用状況やパフォーマンスを監視。さらに、利用者のユースケースや生産性を考慮しながら、製品構成や入れ替えのタイミングをマネジメントしていくことを可能にする支援ツールになる。提供は2025年春の提供を予定。

そして 「HP Wolf Security」 は、法人や自治体向けに提供しているセキュリティ製品で、中堅・中小企業向けには 「HP Wolf Pro Security」、大企業・自治体向けには 「HP Wolf Enterprise Security」 を提供している。今回の事業説明会では自治体での導入実績が紹介され、沖縄県那覇市や石垣市役所など複数の自治体が同システムを導入しているという。

大企業・自治体向けに提供されている 「HP Wolf Enterprise Security」 には、マイクロ仮想マシンによる脅威の封じ込めや、認証情報保護機能などが提供されており、HP製品以外の他社製のPCでも利用することが可能だ。

また、2023年12月に発表したMDMソリューション 「HP Protect and Trace with Wolf Connect」 も好調とのこと。本ソリューションは、電源オフあるいはオフラインの状態でもPCの位置情報を特定し、ロックやデータ消去ができるというもの。紛失時や盗難時に役立つため、セキュリティを重視する会社には引き合いがあるという。

前述したように、日本HPが展開するPC製品の全体の売上に占めるAI PCの割合は15%になっているが、この数字について岡戸社長は 「想定通り」 と話す。今後ハードウェアとソフトウェアの両方でAIを活用するソリューションを提供していくなかで、AI PCの販売数を伸ばす考え。今後2025年までに25%、2027年までに50%を目指す意向を示している。

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