HHKB生誕30周年記念モデル「Professional Elite」発表。アルミ削り出し筐体を採用、価格は33万円で世界限定300台

株式会社PFUは10月22日、プログラマーズキーボード「Happy Hacking Keyboard(HHKB)」の生誕30周年を記念した特別モデル「HHKB Professional Elite」を発表した。

一塊のアルミニウムブロックから削り出した専用筐体を採用し、内部構造も新たに設計した特別仕様のキーボード。価格は33万円(税込)で、世界限定300台を受注生産で販売する。

HHKBは1996年12月、東京大学名誉教授の和田英一氏が掲げた「キーボードは手に馴染んだ一生の道具であってほしい」という考えを出発点に、PFUの技術力を組み合わせて誕生した。プロフェッショナルが思考に集中できる入力環境を目指し、キーの数を絞った60%レイアウトと、長く使い続けられる道具としての設計思想を追求してきた。

今回の記念モデルは、そうしたHHKBの歴史を振り返りながら、素材や構造、仕上げに至るまでこだわり抜いた特別な製品となる。「Elite」という名称は、静電容量無接点方式を採用した2003年発売の初代「HHKB Professional」を開発する際に使われていたコードネームに由来する。シリーズの原点に立ち返り、30周年にふさわしい最高峰のモデルを目指したという。

HHKBでは、2006年の10周年記念モデルとして、アルミフレームや漆塗りのキートップを採用した「HHKB Professional HG」を発売した実績がある。今回の開発では、近年開催してきた全国のファンとの交流会などで、ユーザーから「現代の技術で作られたアルミ削り出しモデルを使ってみたい」という声が寄せられたことも後押しとなった。

筐体には、一塊のアルミニウムブロックから精密に削り出した部品を採用する。表面にはブラスト加工を施した後、アルマイト染色で仕上げており、金属ならではの質感を生かしながら、指紋が付きにくい表面を目指した。素材の選定にあたっては、軽量かつ高剛性なカーボン素材も検討したものの、加工などによって生じる微細な炭素粉末が内部の基板に付着すると、短絡を引き起こす恐れがあることから採用を見送り、最終的に剛性や安全性、加工性などを考慮してアルミニウムを選んでいる。

デザインは、治田将之氏と青木亮作氏によるクリエイティブユニット「TENT」と協創した。TENTは象印マホービンの「STAN.」や、伸長ポールブランド「DRAW A LINE」などの企画・デザインを手掛けてきたユニットで、PFUとはiPhoneをデスクライトに取り付けてスキャンする製品「SnapLite」などでも協業している。HHKBシリーズでは、初代Bluetoothモデル「HHKB BT」のデザイン調整にも携わった。

今回のデザインでは、タイピング時の快適さに加え、使っていないときにもデスクに置いておきたくなる佇まいを追求した。本体正面からブランドロゴを取り除き、アルミニウムの質感とシンプルな形状を際立たせている。底面には「HHKB Professional Elite」のロゴと、1/300から始まる個別のシリアルナンバーをレーザー刻印した。

底面の左右には空間を設け、見た目の軽やかさを生み出すとともに、本体を持ち上げやすくしている。

角度調整用のレッグパーツもアルミニウム製で、本体に合わせて専用設計した。標準装着のショートレッグに加え、ロングレッグが付属する。付属の六角レンチでねじを外し、レッグの種類や取り付け方向を変更することで、0度、2度、4度、6度の4段階に角度を調整できる。パーツを自分で組み替える工程も、長く使う道具を手入れする楽しみのひとつとして取り入れた。

キースイッチには、HHKB Professionalシリーズで採用されてきた静電容量無接点方式の静音モデル「Type-S」を搭載する。押下圧は45g、キーストロークは3.8mmで、シリーズ伝統の仕様を受け継いだ。

打鍵感を左右する内部構造も新たに設計している。従来のProfessionalシリーズでは樹脂製のハウジングを使った構造を採用していたが、本機では冷間圧延鋼板(SPCC)を使った金属プレートを内部に配置し、スイッチを固定する「トップマウント方式」を取り入れた。電子基板のレイアウトも、この構造に合わせて見直している。

近年のカスタムキーボードで採用例が増えているガスケットマウント方式については、柔軟な構造が静電容量無接点方式のラバー構造と組み合わさることで、打鍵時に指先へ微細なブレが伝わる可能性を考慮し、採用を見送った。金属プレートでスイッチをしっかりと支え、キーを押したときの感触が安定して伝わる構造を目指している。

本体サイズは幅294mm、奥行き110mm、高さ40mmで、通常の「HHKB Professional Classic」と同等のコンパクトさを維持した。重量は約970gで、標準モデルの約530gから増加している。アルミニウム製の筐体と内部の金属プレートによって重量が増した分、デスク上での安定感も高めている。

接続方式はUSB Type-Cによる有線接続のみ。通信の安定性を重視し、Bluetoothなどの無線機能やバッテリーは搭載していない。配列も英語配列に限定し、HHKBが初代モデルから受け継いできた設計思想を反映した。

カラーバリエーションは「墨」「白」「雪」の3色で、それぞれキートップの刻印あり・無刻印を選択できる。全6パターンを用意し、刻印ありモデルには、長期間使用しても文字が消えにくい昇華印刷方式を採用した。

付属品は、0.9mのUSB Type-Cケーブル、ロングレッグ、六角レンチ、スペアねじ、シリアルナンバーを記載したオーナーズカード。本機専用のサポート体制も用意し、量産モデルの一般的な交換対応とは異なり、個別のシリアル番号で管理しながら、基板や筐体の状態に応じた修理対応を行う。

価格は税込33万円(税抜30万円)。世界限定300台のうち、国内向けに250台、中国向けに50台を販売する。国内販売はPFUの公式オンラインショップ「PFUダイレクト本店」で行い、抽選による先行販売と、先着順の一般販売に分けて受け付け、国内向け250台のうち、先行抽選販売には約200台、一般販売には約50台を割り当てる。

先行販売の抽選申し込み期間は、10月22日から10月28日23時59分まで。申し込みは1人につき1台で、1メールアドレスから1件までとなる。当選発表は11月5日以降を予定しており、当選者は12月1日から12月6日までに購入手続きを行う。

一般販売は12月7日午前11時に開始する。予定台数に達した場合、または最終注文期限の2027年6月30日を迎えた場合に受付を終了する。出荷は先行販売分が2027年3月頃から順次始まり、一般販売分は注文完了から約4〜5か月後に発送する予定だ。受注生産品のため、注文手続き完了後のキャンセルや、購入者都合による返品には対応しない。

また、2026年12月1日には、コクヨの東京品川オフィスにあるホール「THE CAMPUS HALL “CORE”」でファン交流イベント「HHKBユーザーミートアップVol.10」を開催する。会場では「HHKB Professional Elite」の実機展示を予定しており、HHKBの生みの親である和田英一氏も登壇する。95歳を迎えた和田氏とともに、30年にわたって支持されてきたキーボードの歩みを振り返る機会となりそうだ。

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