
Obsidian Entertainmentは、巨大な昆虫と戦いながら生き残るサバイバルアクションゲーム『Grounded 2』のアーリーアクセスを7月29日から開始している。
本作は『Grounded』の続編で、子供たちが昆虫サイズまで小さくなり、広大な公園を舞台に巨大な昆虫と戦いながら生き延びるゲーム。食料や資源を集めて道具や拠点をクラフトできるほか、今作では昆虫を孵化させて乗り物として利用できる新要素も追加されており、ソロプレイとオンライン協力プレイの両方が楽しめる。
本作については、初のボスキャラクターや日本語のサポートが追加される小規模なアップデートが9月30日に予定されており、今冬には新たなバギー「てんとう虫」の追加やSteam Deckへの最適化などが含まれる大型アップデートが配信予定だ。
今回、これらのアップデートの配信を控えた『Grounded 2』の開発陣へのグループインタビューの機会があり、本作やアップデート内容についてお話を聞くことができた。また、9月30日のアップデートで追加されるボス「アクセル」との戦いも体験してくることができたので、それについても紹介したい。
『Grounded 2』開発の背景や現在の状況、今後のアップデートについて
まずはオペレーション担当副社長兼エグゼクティブプロデューサーを務めるMarcus Morgan氏から、『Grounded 2』についてのプレゼンテーションが行われた。
Obsidian Entertainmentにとって、今年は三本のゲーム (『Avowed』『Grounded 2』『The Outer Worlds 2』) をリリースする非常に多忙な一年であると同時に、大きなチャレンジと喜びに満ちた一年になると考えているとのこと。
Marcus氏は日本のゲームが大好きで、多くの刺激を受けてきたという。この日はゲームディレクターのChris Parker氏も来日しており、彼についての紹介もあった。
Chris Parker氏はObsidian Entertainmentの創設メンバーの一人であり、これまで数々のプロジェクトに携わってきた。たとえば、セガがパブリッシャーを務めた『Alpha Protocol』や、『South Park: The Stick of Truth』のゲームディレクターも務めている。
『Grounded 2』の前作にあたる『Grounded』は、2020年7月にリリースされたサバイバルゲームで、世界中で1,000万人以上がプレイするヒット作となった。この成功を受け、「続編を作ろう」という流れになったという。
『Grounded 2』と前作の大きな違いは二つ。一つは舞台で、前作は科学者の家の裏庭だったが、『Grounded 2』ではより広大な「ブルックホローパーク」という公園が舞台だ。
二つ目はキャラクター設定。プレイヤーキャラクターは前作と同じ4人のティーンエイジャーではあるが、少し年齢が上がっており、プレイヤーと共に成長している姿が描かれている。
基本的なゲームプレイは前作同様、サバイバルを中心に、クラフトや建築、戦闘、探索を楽しむことができる。
新要素としては、新たに「バギー」が登場。虫たちを乗り物のように使い、移動や戦闘に活用できるようになった。アーリーアクセスでは、最初に「レッドソルジャーアント(赤アリ)」と「スパイダー」の2種類が追加されている。
また、『Grounded』シリーズの大きな特徴として、コミュニティの声を非常に重視している点があるという。プレイヤーと一緒にゲームを作り上げていくことを大切にしており、『Grounded 2』でもアーリーアクセスを通じてフィードバックを取り入れていくとしている。
『Grounded 2』は今年7月29日にリリースされてから、わずか2週間で300万人以上のユーザーがプレイしている。これは順調な滑り出しで、フィードバックも非常にポジティブなものが多いという。
今後もさまざまなアップデートを予定しており、直近では9月30日に「Hairly & Scary (毛深くて恐ろしい)」というアップデートを実施する。
本アップデートでは、巨大なボスキャラクター・タランチュラの「アクセル」が登場。プレイヤーは仲間やバギーと協力して、この強大な敵に挑むことになる。勝利すると、タランチュラ由来の防具や、巨大な弓と槍といった新たな武器を入手可能だ。
さらに、ベース建設に関わるインターフェースも刷新。『Grounded』において拠点構築は非常に重要な要素であり、コミュニティからも大きな関心が寄せられている。より快適に建設できるよう改良を加えているとのことだ。
また、言語対応についても力を入れており、今回のアップデートで新たに日本語とブラジル語、ポルトガル語が追加。今回、Chris氏らが来日したのもそのためであるという。
特に冬には大型アップデートも控えており、新たに「ガーデンエリア」が追加されるほか、バギーには「てんとう虫」が仲間入りする予定だ。
Marcus氏のプレゼンの後には、少ない時間ではあったがQ&Aセッションが設けられた。「ボスのアクセルは一人でも倒せる?」という質問に対しては、Marcus氏は「一人でも倒せるが、一人で戦うよりは友達と一緒に戦った方がいい」とアドバイスがあった。
また、当日は同じくObsidian Entertainmentの新作タイトル『The Outer Worlds 2』のエグゼクティブプロデューサーを務めるJustin Britch氏のプレゼンが同時に実施され、Q&AセッションにJustin氏も同席していたこともあり、記者からは「『Grounded 2』のアップデートもあるし、さらに10月29日には『The Outer Worlds 2』も発売するしで、ファンはとても忙しくなりそうだけど、どちらも最大限に楽しむにはどうすればいい?」という質問が。
これについては、Marcus氏もJustin氏も「まずはできるだけ早く『Grounded 2』を始めて!『The Outer Worlds 2』の発売まで1ヶ月フルに楽しめる。その後『The Outer Worlds 2』に行くべき」と笑いながら答えてくれた。
巨大タランチュラ「アクセル」とのバトルを体験
今回の取材会では、9月30日のアップデートで追加予定の巨大タランチュラ「アクセル」とのバトルに挑戦することができた。
筆者が参加した会は、筆者ともう一人の記者の2名に加えて、『Grounded 2』の開発陣から1名がサポートとして参加し、計3名でのプレイとなった。
アクセルは大きな体にも関わらず意外と動きが素早く、攻撃の隙を見計らうのがとても難しい。筆者は操作方法にまだ慣れていない上に、武器の交換やアイテムの使用方法もままならない状態での参加となったため、何度も倒れて周囲の2人に迷惑をかけてしまった。
ネタバレにならないように少しだけ解説すると、アクセルは一定量のダメージを受けると攻撃パターンが変化し、プレイヤー側はこれまでとは違う行動が求められる。慣れないうちは回復アイテム (状態異常回復用も) を豊富に持っていくことをお忘れなく。
また、今作はバギーとプレイヤーで分かれて戦うこともできるし、バギーに乗った状態で戦うこともできる。アクセルとの戦いにおいては、相手の動きのパターンによってバギーとプレイヤーと分かれて戦った方が良いパターンと、乗った状態で戦った方が良いパターンがあるように感じたので、そのあたりを突き詰めていくことが勝利につながるはずだ。
『Grounded 2』について、ユーザーからの反応は?新バギー「てんとう虫」の特徴もちょっぴり紹介
アクセルとのバトルの後には、本作のゲームディレクターを務めるChris Parker氏のグループインタビューに参加することができた。
記者:
アーリーアクセスがスタートしてしばらく経ちましたが、ユーザーからのフィードバックはどのような内容が多いですか?また、コンテンツ拡張の優先順位はどのように考えていますか?
Chris Parker氏:
ユーザーからのフィードバックは、全般的にポジティブなものが多いと感じています。多くのユーザーがゲームを楽しんでくれていて、大好きだと言ってもらうことも多い。
その中でも大きく議論になっているのは「オムニツール」についてです。初代『Grounded』で4つに分かれていたツールを、今作では「オムニツール」という1つのツールにまとめたのですが、それを気に入ってくれている人もいれば、良くないと感じている人もいる。
今後はツールの機能をもっと良くしていき、より多くのユーザーに気に入ってもらえるように改善に取り組んでいきたいと思っています。
コンテンツの拡張についての優先順位は、Discordやその他のソーシャルツールを分析して、数百のフィードバックの中で重要度をランク付けして決定しています。ユーザーがどんなことについて議論しているのか、何について情熱を感じているのか。
あまりにも悪いコメントが多かったり、ユーザーを苛立たせている問題点がある場合には、それを無くすように対応するというのをこれまでもやってきました。
9月30日のアップデートでは、アクセルの登場や日本語への対応もありますが、そのタイミングで色々と議論されている細かい問題についても修正する予定です。
記者:
オムニツールについて、一元化されているのは良いのですが、ユーザーが工夫すべき点と便利にすべき点はどのように分けて考えているのでしょうか?
Chris氏:
とても難しい質問ですね。オムニツールについては、主観によるところが多い話であり、色々なアプローチがあると思います。
このゲームはObsidianのメンバーはもちろん、初代『Grounded』のチームやEidos Montréalも開発に参加しているし、それぞれの考えをぶつけ合って議論して解決するソリューリョンを取っています。
オムニツールが気に入らないという人がいるのを認識した上で、「なぜ嫌われているのか」「どうすれば修正できるのか」を議論し、問題があればそれを修正してより多くの人に好きになってもらえるように改善したいと思ってます。
アーリーアクセスは、試行錯誤の結果、最初の試みがうまくいなかった場合にも、後にそれを修正できるチャンスができるというのが利点だと考えています。より多くの人に楽しんでもらえるような仕組みにするために、これからも議論を続けていきます。
記者:
今冬のアップデートで、新しく「てんとう虫」のバギーが追加されるとのことですが、どんな特徴があるのでしょうか?飛んだりはできますか?
Chris氏:
てんとう虫のバギーについては、現在開発チームがプロトタイプを作って機能を検討している最中でして、必ずしも「この機能が登場する」ということはお約束できないのですが、現時点で有力なものについて共有します。
てんとう虫の背中には大砲のような武器があって、プレイヤーがその大砲に乗って攻撃できる、というものを検討しています。
また、基地の一部をインベントリーとして長距離にわたって持ち運ぶことができるというものも想定しています。プレイヤーは基地の部品は1つずつしか持ち運べないので、より簡単かつ迅速に基地を構築できるようになるはずです。ただし、これについては少し難しいかもしれないとも考えていまして、現在調整中です。
てんとう虫は年明けのアップデート (今冬) での実装を予定していますが、その段階では空は飛べません。もちろん空が飛べるバギーについても検討はしているのですが、詳細については年末くらいのタイミングで皆さんに共有できればと思っています。
記者:
クラフティングについては、初代『Grounded』から今回の『Grounded 2』にかけて、どんなものが追加されましたか?
Chris氏:
クラフティングについては、初代『Grounded』でも色々なものを作ることができましたが、そのすべてを『Grounded 2』に移行できているわけではないので、今後も継続的に追加していきます。
今作では、初代にはなかった新しい防具や武器、家具、ビルディングセットも追加していく予定で、ビルディングセットには床や壁、屋根を作ることができる素材が追加されます。毎回のアップデートで新しいものが追加されていくことになります。
記者:
9月30日のアップデートの中で、特にユーザーに注目してもらいたいのはどの部分ですか?
Chris氏:
目玉はやはり巨大なボス「アクセル」の登場ですね。これまで作ってきたキャラクターの中でも一番大きなもので、通常の虫の3〜4倍の大きさがあります。
ステージは3つあるので、ユーザーの皆さんには頑張って倒していただいて。倒した後に、タランチュラの素材を使った新しい防具や武器、家具を得ることができます。ここが大きな注目ポイントになると思います。
また、ベース建設に関わるインターフェースを刷新したことで、より簡単かつ素早く基地を作ることができるようになったのも、ユーザーの皆さんに受け入れてもらえる部分だと思います。
さらに重要なのが日本語サポートが入ってくることです。初代よりも早い段階でのサポートになったので、日本の皆さんも格段にプレイしやすくなるはずです。日本の皆さんにプレイしてもらうのを私たちもとても楽しみにしています。
(画像提供:Microsoft/Obsidian Entertainment)