
サムスン電子ジャパンは今年4月、エントリークラスのタブレット製品「Galaxy Tab S10 FE」「Galaxy Tab S10 FE+」を国内発売した。
両モデルとも、Galaxy Tab S FEシリーズ史上最大のディスプレイを搭載し、スリムなベゼルにより画面を広々と活用できるのが特徴だ。本体は薄型設計となっており、持ち運びやすさにも配慮されている。
今回はそのうち、より大画面の「Galaxy Tab S10 FE+」をサムスン電子ジャパンからお借りし、日常生活の中で実際に使ってみた。本モデルがどのような使い方に適しているのか、どんなユーザーにおすすめできるのかをレビューしていく。
シリーズ最大の13.1インチディスプレイを搭載
サムスン電子が販売している「FE」モデルは、人気ハイエンドモデルの要素を一部取り入れつつも、価格を抑えてコストパフォーマンスを重視しているのが特徴。学生やライトユーザーをメインターゲットに据えたモデルだ。
今回紹介する「Galaxy Tab S10 FE+」も、上位モデルに当たる「Galaxy Tab S10+」から一部の性能を受け継ぎつつ、液晶ディスプレイやミドルレンジのSoCを採用することで、価格を抑えながらも日常用途には十分対応できる構成となっている。
それでは、本体デザインを詳しくチェックしていこう。
まずは画面。「Galaxy Tab S10 FE+」は、シリーズ史上最大の13.1インチディスプレイを搭載しており、8.1mmのスリムなベゼルによって、画面全体を広々と使える点が大きな魅力。
解像度は2880 x 1800(WQXGA+)、リフレッシュレートは90Hzに対応し、高精細で滑らかな表示を実現。800ニトの高輝度表示とビジョンブースターにより、屋外の強い日差しの下でも視認性が確保されている。
本体サイズは高さ194.7mm x 幅300.6mm x 厚さ6.0mmとかなりワイドな設計で、重量は664g。タブレットとして数字上は十分持ち運べる範囲だが、実際に使ってみるとやや縦長のシルエットが手に余る印象を受けた。
特に横向きに持った際にはソフトウェアキーボードの横幅が広く、快適にタイピングするには工夫が必要になる。また、縦向きで使用する場合はバランスが取りづらく感じる場面もあるため、スタンドやキーボードカバーなどのアクセサリーを活用することで、より快適に使えるはずだ。
側面には、音量ボタンと電源ボタンが配置。電源ボタンには指紋認証センサーが内蔵されており、画面ロックの解除もスムーズだ。
カメラは背面と前面にそれぞれ1基ずつ搭載。背面には1,300万画素、前面には1,200万画素のカメラを備え、記録用の撮影やビデオ通話にも十分対応可能な画質を確保している。
さらに、防水・防塵性能はIP68等級に準拠。水回りでの使用や持ち出し時の急な雨にも安心して対応できる。
カラーバリエーションはグレーとシルバーの2色展開。今回試用したのはシルバーで、上位モデルと遜色ない上質な質感が印象的だった。エントリーモデルであっても外装にチープさは感じられないのはグッドなポイントと言えるだろう。
Sペンで検索・手書き・AI活用まで幅広く対応
「Galaxy Tab S10 FE+」には、純正のスタイラスペン「Sペン」が同梱されている。他社製のタブレットではスタイラスが別売であることも多く、別売りで購入する必要がないのは嬉しいポイントだ。
Sペンを使えば、画面上のコンテンツを丸で囲うだけで詳細を検索できる「かこって検索」や、Samsung Notesアプリを活用した手書きメモ作成も非常にスムーズ。さらに、Sペンのエアコマンドメニューから「AIコマンド」を選択することで、指定した範囲の内容を分析し、要約や翻訳、整理といった処理をAIが提案してくれるなど、より高度な活用も可能となっている。
本製品には、手書き文字を自動で整えてくれる「手書き入力のヘルプ」機能も搭載されており、走り書きした内容が自然に読みやすく整形される点も便利。また、書いた数式に「=」をつけると自動的に解答を表示してくれる「数式ソルバー」機能の搭載により、学習用途にも活用できる。
使わないときはSペンを本体側面にマグネットで固定できる設計になっており、収納場所に困ることはない。ただし、完全にロックされるわけではないため、紛失防止のためにも使用後はすぐにくっつけておく習慣をつけておくと安心だ。
日常使いには十分な処理性能、重めのゲームはやや注意
SoCはミドルクラスの「Exynos 1580」を採用。前世代の「Galaxy Tab S9 FE+」に搭載されていた「Exynos 1380」と比較して、CPU・GPUともに性能が向上しており、日常使いにおいては十分に快適な動作を実現している。
パフォーマンスを数値化するため、ベンチマークスコアを計測してみた。AnTuTuベンチマークのスコアは以下の通り。
- 総合スコア:870,613
- CPUスコア:297,111
- GPUスコア:249,076
数値だけを見ると、ハイエンドモデルのSoCに比べてパフォーマンスは下回るものの、SNSやブラウジング、YouTube視聴、マルチタスクといった一般的な使用ではストレスを感じることは少なく、アプリの切り替えや読み込みもスムーズだった。
ただしゲーム用途に関しては、やや注意が必要だ。『ゼンレスゾーンゼロ』を実際にプレイしてみたところ、画質設定を「中」にするとフレームレートが低下して操作にカクつきを感じる場面が多かった。一方で、画質を「低」に落とせば安定してプレイできたため、タイトルや設定によって調整が必要と言えるだろう。
本機はあくまでミドルレンジのタブレットであり、重たい3Dゲームなどの高負荷な映像処理をメインに使うにはやや非力な面もあるが、外出先や出張時にデイリーミッションをこなすサブ端末として活用することはできそうだ。
ストレージ容量は128GB、メモリは8GBを搭載。一般的なアプリの利用や動画の保存には困らないが、大容量のデータを扱う場合はmicroSDカードスロットを活用することで拡張も可能だ。
大容量バッテリーで1日中使える。足りなくなっても高速充電でサッと回復
バッテリーは大容量の10,090mAhを搭載しており、1日中使ってもバッテリー切れの心配は少ない。仕事や学習、エンタメ視聴など幅広いシーンで活躍してくれるはずだ。
充電は最大45Wの急速充電に対応しており、対応する充電器を使えば比較的短時間でのリチャージも可能。バッテリーが減ってもサッと充電してすぐに再利用できるのは、外出時に心強いポイントだ。
通信まわりでは、Wi-Fi 6に対応。高速かつ安定した通信が可能で、大容量ファイルのダウンロードやストリーミング再生時も快適。Bluetoothは5.3に対応しており、ワイヤレスイヤホンや周辺機器との接続もスムーズに行える。
まとめ:大画面を活かした「見る・書く」に強い1台
「Galaxy Tab S10 FE+」は、13.1インチというシリーズ最大級のディスプレイを搭載しながらも、ミドルレンジに位置づけられたモデルとして、バランスの取れた1台に仕上がっている。
Sペンが標準で付属し、手書きメモやかこって検索などの機能も充実しており、「書く・調べる・まとめる」といった情報処理に強いのが魅力だ。
一方で、SoCはミドルクラスであるため、最新の重量級3Dゲームを高画質で快適にプレイするには不向きな場面もある。ただ、ブラウジングや動画視聴、業務アプリの使用といった日常的な使い方であれば、動作も軽快でストレスは少ない。
こうした特性から、「Galaxy Tab S10 FE+」は、動画や電子書籍を大画面で楽しみたい人や外出先でも軽作業をこなせるサブ端末を探している人に加えて、Sペンを活用して、手書きメモや資料への書き込みをしたい人にオススメの端末と言えるだろう。
大画面かつスタイラス対応のタブレットを、コストを抑えて導入したいというニーズにしっかり応えてくれる1台。ライトユースから学習・ビジネスのサブ端末まで、幅広い場面で活躍してくれるはずだ。
「Galaxy Tab S10 FE+」の価格は109,010円(税込)。Samsungオンラインショップをはじめ、Galaxy HarajukuやGalaxy Studio Osaka、各家電量販店などで購入可能だ。