
ECOVACS(エコバックス)は現地時間9月4日、ドイツ・ベルリンで開催されている「IFA 2025」において、自動掃除ロボットの最新フラッグシップモデル「DEEBOT X11 OmniCyclone」を発表した。
今回の新モデルでは、従来モデルにあった課題を解消すると同時に、業界初の機能や改善を積み重ねてきた同社の技術力を結集することで、ユーザーの利便性や掃除効率を大幅に向上。家庭用ロボット掃除機としての新たなスタンダードを打ち立てる。
筆者は「IFA 2025」のプレスデーのなかで、同社の新製品発表会に参加し、実機をこの手でチェックすることができた。
(取材協力:ECOVACS)
従来課題を解消し、業界初の技術を多数搭載した「DEEBOT X11 OmniCyclone」
ECOVACS (Ecovacs Robotics) は、中国・蘇州に本社を構えるロボット家電メーカーで、ロボット掃除機の分野で高い知名度を誇る会社だ。
代表的な製品には、ロボット掃除機シリーズの「DEEBOT (ディーボット)」があり、吸引と水拭きを同時に行えるモデルや、自動ゴミ収集や自動給水、自動洗浄といった機能を備えたステーション一体型モデルが人気を集めている。
また、窓掃除に特化した「WINBOT (ウィンボット)」も展開しており、ガラス面に吸着して自動で清掃を行う点が特徴的だ。
同社の強みは、AIやマッピング技術を活用して部屋の間取りを正確に把握できる点。専用アプリを通じて掃除スケジュールの設定やエリア指定も可能となっている。さらに、Amazon AlexaやGoogle Assistantといったスマートホームサービスとの連携も進化しており、利便性が向上している。
市場展開は中国を中心に欧州、北米、日本など世界各国に広がっており、日本市場においても高機能モデルを積極的に投入。現在では、iRobotのRoombaやRoborockと並び、世界的な主要ブランドの一つとして位置付けられている。
今回、IFA 2025でECOVACSが発表した「DEEBOT X11 OmniCyclone」は、ゴミ吸引と水拭きの両方に対応する「DEEBOT」シリーズの新型フラグシップモデルだ。
開発陣によると、本機は従来のデザイン・機能の制約を打破するため、ステーションの「サンドイッチ構造」を見直し、空気・電力・機構を統合的に再設計。掃除時間の短縮と掃除面積の拡大(最大1,000㎡)を実現した。新しいセンサー配置とAIによる自律判断は、段差や障害物の認識精度を95%以上に向上させている。
吸引力は従来から大幅に強化され、最大19,500Paを実現。カーペットの細かいホコリ除去率は140%、毛髪除去率は262%も向上しており、さらに、フローリングとカーペットの大きなゴミの回収率100%を達成したという。
水拭きに関しては、アップグレードされた高密度ナイロン製OZMOローラーが、3,800Paの圧力で押しながら拭き取る高速スクラブによって、乾いた汚れや油汚れをしっかり除去。
また、強化されたTruEdge 3.0 エッジクリーニングテクノロジーは、従来よりも1.5cm伸びたエアクッション式のローラーを搭載したことにより、部屋の角や隅の掃除性能も向上している。
モップは自動で持ち上がる仕組みを採用しているほか、TruePassアダプティブ4WD乗り越え機能によって段差や敷居も難なく乗り越える。単段で最大2.4cm、連続段差で最大4cmの段差まで安定して通過できる。
新設計「OmniCycloneステーション」で利便性を向上
ステーションも大きく進化した。従来のダストバッグ方式を廃止し、新設計の「OmniCycloneステーション」を採用。2段階サイクロンでゴミを集める「PureCycloneダストコンテナ」により、吸引力低下をわずか1%に抑えながら紙製ダストバッグ不要の仕組みを実現した。ダストコンテナの容量は1.6Lで最大約48日の稼働が可能だ。
さらに、ステーションではローラーの洗浄から乾燥までを自動化。約75℃の熱水でモップを洗浄することで頑固な汚れも溶かして浮かせ、常に衛生的に管理できる。デザインも刷新され、リビング空間に自然に溶け込む外観に仕上げられている。
電源周りの進化も大きなポイントだ。まず、本機には6,400mAhの大容量パウチ型バッテリーを搭載し、安全性と耐久性を従来のセル型バッテリーより大幅に向上させている。さらに、GaNを用いた急速充電技術「PowerBoostテクノロジー」を採用し、わずか約3分の充電でバッテリー残量を6%回復可能。
加えて給電アルゴリズムの再設計も行っており、ロボットが補水やローラー洗浄のためにステーションへ戻る短時間で効率的に充電できるため、充電待ちのロスをほとんど発生させず、最大400平方メートルという広範囲を連続して掃除できる。
この改良の背景にあるのは、これまで利用者から寄せられていた「駆動時間が短い」との声だ。大容量バッテリーと高速充電技術の組み合わせたことで課題を解決し、長時間運転を可能にしている。
さらに、Ecovacs独自の自律型AIホームマネージャー「Agent YIKO」を搭載。ユーザーの生活パターンや部屋のレイアウト、汚れの分布を学習し、清掃ルートを自動最適化する。なお、「Agent Yiko」は国内発売時点では英語のみの対応となり、日本語は今後のアップデートで対応予定であるとのことだ。
今回の発表にあわせて、ECOVACSブランドの副会長兼CEOのDavid Qian (Qian Cheng) 氏は、以下のように述べている。
“Robotics for All(誰もが使えるロボット)”という使命のもと、私たちは本当に人々の生活を豊かにするテクノロジーと製品を開発し続けている。DEEBOTから新たな家庭シナリオへと広がるすべての革新は、消費者のニーズに根ざしており、将来のスマートホームは “見えない” サービスの提供へ進化すべきだ。同時に、強固なサプライチェーンを基盤に、ECOVACSにしかできない価値を届け続けたい。
日本の公式オンラインストアでの販売価格は229,900円(税込)。発売は9月26日を予定しており、9月5日〜9月25日までは初回限定セールで通常の20倍にあたる45,980ポイントが還元される。お得に購入したい人はこの機会をお見逃しなく。
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