
FPSというゲームジャンルを確立した伝説的タイトル『DOOM』。その最新作『DOOM: The Dark Ages』が、ベセスダ・ソフトワークスから5月15日に発売する。シリーズの原点回帰を目指し、シリーズ恒例のSFとダークファンタジーが融合した世界で、プレイヤーに新たな恐怖と興奮をもたらす作品だ。
『DOOM (2016)』や『DOOM Eternal』の前日譚にあたる本作では、プレイヤーは伝説の兵士 「ドゥームスレイヤー」 となり、広大な戦場で繰り広げられる地獄のデーモンとの戦いに身を投じる。
中世風の武器を駆使しながらデーモンを殲滅する爽快感は、まさに『DOOM』シリーズならでは。しかし、本作は単なる過去作の焼き直しではない。新たなゲームシステム、強敵となるデーモンたち、そして壮大なストーリーが、シリーズに新たな息吹を吹き込んでいる。
発売に先立ち、香港のマイクロソフトオフィスにてメディア向けプレビューイベントが開催され、押し寄せるデーモンとの戦いをひと足先に体験する機会を得た。
本稿では、そのプレビュー体験をもとに 『DOOM: The Dark Ages』でプレイヤーが味わうことができる戦場の興奮をお届けする。
「シールドソー」 と 「パリィ」 をうまく使いこなし、地獄のデーモンたちを薙ぎ払え

『DOOM: The Dark Ages』は、2016年発売のリブート版『DOOM (2016)』、2020年発売の『DOOM Eternal』に続く 「DOOM」 近代シリーズの第3弾となる作品だ。作品の時系列としては『DOOM (2016)』や『DOOM Eternal』の前日譚にあたり、怒れるドゥームスレイヤーのオリジンストーリーが描かれる。開発はid Softwareが手がける。
本作の舞台となるのは、現実世界のすぐ外側にある異次元の世界 「アージャント・ドヌール」 。神々と王たちの比類なき武器になることを運命づけられたドゥームスレイヤーは、地獄のデーモンに侵略されつつあるこの世界で、襲い来る敵やデーモンの大群に立ち向かう。
今回のプレビューイベントでは、本作の第1章の一部を体験してくることができた。ムービーなどはカットされた状態でのプレイとなったため、主にデーモンとの戦闘について紹介していきたいと思う。

近年の 「DOOM」 シリーズの特徴といえば、ハイスピードでアグレッシブな戦闘。プレイヤーは、デーモンの群れの中を縦横無尽に駆け抜け、強力な武器を駆使して敵を殲滅していく。遮蔽物に隠れて敵の攻撃を待つような従来のFPSとは異なり、常に動き続け敵を圧倒することが求められた。
しかし、今回の『DOOM: The Dark Ages』では、これらの要素を多く継承しながらも、『DOOM (2016)』や『DOOM Eternal』に比べてスピード感は少し抑えつつ、重厚感マシマシの動きになっているのが特徴だ。
歩くだけでもドスンドスンと重々しい音が足元から鳴り、高所から飛び降りたときには周囲に衝撃波を放ちながら着地する。実はこの落下時にも攻撃判定があって、落下地点に敵がいる場合はダメージを与えつつ吹っ飛ばすことができる。
しかし、重厚だからといって動きが遅いわけではなく、ダッシュを駆使すればスムーズにフィールドを駆け回ることができる。従来の 「DOOM」 シリーズのようなスピーディーな動きとは少し異なるが、それでも快適な操作性は健在だ。

また、『DOOM (2016)』や『DOOM Eternal』では、空中を飛び回るアクロバットな動きを多用することが多かったと思うが、本作の戦闘はドッシリと盾を構えて敵と正面から対峙し、ショットガンや近接武器を駆使しながら次々と敵をなぎ倒していく、クラシックな 「DOOM」 のスタイルに回帰した印象を受ける。結果として、スピード感よりも重厚感や力強さが際立った、独自のプレイフィールに仕上がっている。

本作の戦闘で最も重要になるのが、武器としても防具としても活躍してくれる新兵器 「シールドソー」 だ。名前のとおり、「シールド (盾)」 と 「ソー (ノコギリ)」 を組み合わせたものになっていて、敵の攻撃を防いだり、跳ね返したりするのはもちろん、ブーメランのように投げたり、構えた状態で勢いよく突進するといった攻撃にも活用できる。
まずは 「盾」 としての特徴から。シールドソーは敵の攻撃を防ぐだけでなく、タイミングよく構えることで攻撃を弾く (パリィする) ことができる。先に言っておくと、本作は敵の攻撃を弾くことでこちらが有利に攻撃できる仕組みになっているため、この 「攻撃を弾く」 という行動がとても重要だ。


弾ける攻撃かどうかは緑色のエフェクトで判断でき、近距離・遠距離のどちらの攻撃もタイミングよくシールドソーを構えるだけで簡単に弾くことが可能だ。うまく攻撃を弾くと敵がよろけて大きな隙が生まれるため、そのままシールドソーで突進したり、右手武器を使って敵を盛大に吹っ飛ばそう。
実際にプレイしていると、緑色のエフェクトが出る攻撃はかなり頻繁に発生していたことから、基本はシールドソーで防御しつつ、緑色の攻撃が来たらタイミングよく構え直して弾く→追撃を繰り返す 「待ちの姿勢」 を意識することで、ダメージを最小限に抑えながら効率よく敵を倒すことができた。

大量の敵がいる場面では、四方八方から攻撃に晒されてテンパってしまいがちだが、壁や障害物を背にしながら落ち着いて防御と弾きを繰り返すことで、突破口を見出すことができるはずだ。

遠距離攻撃は、通常の弾に紛れるようにして緑色の弾が飛んでくるため、往年のストレイフ (左右移動しながら攻撃を回避するテクニック) を駆使して通常の弾を避けつつ、緑色の弾を跳ね返すことが求められる。「マンキュバス」 という敵が撃つ、ゆっくりとプレイヤーに向かってくる弾が練習しやすいので、序盤のうちに基本となるストレイフの動きを体に覚えさせる (過去作をプレイしているなら思い出しておく) のがオススメだ。

次はシールドソーの 「武器」 としての特徴について。シールドソーは遠くの敵に向かって投げることができ、投げたあとは周囲の敵を攻撃してブーメランのように手元に戻ってくる。耐久力のある敵に向かって投げると、チェーンソーのように敵の体をしばらく切り刻んで敵を怯ませるという効果もある。

シールドソーを投げたときの攻撃範囲は意外と広く、敵が密集しているところに投げるとその一帯の敵を一掃できる。強い敵を足止めする牽制用としても便利だ。

ただし、調子に乗ってシールドソーを投げまくっていたら、マシンガンのような高速連射の銃を持った敵にバリバリと撃たれアッサリとダウンしてしまったので、シールドソーが手元に戻ってくるまで防御ができなくなるというデメリットは常に頭に入れておこう。
シールドソーは近接武器としても優秀で、構えた状態で突進して敵を吹っ飛ばすことができる。高いところで突進攻撃をして敵を遠くまで吹っ飛ばすと爽快感MAXなので、高いところでの戦闘時にはぜひ多用したいところだ。

敵を攻撃するための武器はシールドソーだけにあらず。強力なダブルバレルショットガンや敵を麻痺させるエネルギーガン、頭蓋骨を砕いて周囲に小さな弾としてばら撒くマシンガンなどの銃系の武器に加えて、巨大なスパイク付きのアイアンフレイル、敵を麻痺させるエレクトリックガントレット、中世を彷彿とさせるトゲ付きメイスといった様々な近接武器も装備でき、状況によって切り替えながら戦うことができる。


中でも筆者のお気に入りはアイアンフレイル。1回だけでなく複数回連続で敵を殴ることができるコンボが爽快感があってとても気持ちよかった。シールドソーで突進→アイアンフレイルで殴る、のコンボも強力でオススメだ。
怪獣大戦争のようなシーンも楽しめる。ドラゴンのパートは慣れが必要かも

「DOOM」 シリーズのファンで、かつ戦隊モノや怪獣映画が好きという方に朗報。本作では、過去作でもその存在が明らかにされていた巨大メカ 「アトラン」 を操縦して建物を破壊しつつ進んだり、巨大なデーモンに立ち向かうことができる。
アトランの操作時には、敵に何度もパンチを当て続けるとフィニッシャーメーターが徐々に溜まっていき、ゲージが溜まり切った後に強力なフィニッシャー攻撃を繰り出すことができる。


敵が攻撃してきたときには、通常の戦闘と同様に緑色のエフェクトが表示されるため、それをタイミングよく避けるとパーフェクトドッジが発生し、攻撃を叩き込むチャンスが生まれる。このフィニッシャー攻撃とパーフェクトドッジを繰り返して、巨大デーモンを粉砕していくのがアトランでの基本的な戦い方となる。

アトランに加えて、ファンタジーな新兵器 「ドラゴン」 も用意されている。このドラゴンはガトリングガンを装備したサイボーグドラゴンとなっていて、これまでの 「DOOM」 シリーズにはなかった空中戦を楽しめる。


ドラゴンはターゲットをロックオンすると、そのターゲットに向かって自動でガトリングガンを放つ。敵の攻撃のうち、緑色のエフェクトが出たものをパーフェクトドッジを使って避けると攻撃が強化されるため、いかに敵の攻撃をうまく避けるかが勝利の鍵となる。

アトランとドラゴンにおける戦闘に関しては、従来のシリーズにはなかった新しい感覚で戦闘を楽しめるが、基本的な戦い方は敵の攻撃タイミングを見計らってパーフェクトドッジを成功させ、強力な攻撃を叩き込むという、通常の戦闘とほとんど変わらない。

筆者がプレイしてみた感じでは、ドラゴンのパーフェクトドッジのタイミングが少し難しく感じたが、何度か練習すればどうにかタイミングをマスターできそう。最初は苦戦するかもしれないが、諦めないでプレイしていただきたい。
『DOOM: The Dark Ages』4時間のデモプレイはあっという間。正式リリースが待ち遠しく感じられる

『DOOM: The Dark Ages』は、シリーズの特徴である激しい戦闘と爽快なアクションを継承しつつ、重厚感のある操作性や中世風の武器・シールドソーを活かした新たな戦闘スタイルを取り入れた意欲作だ。
従来のハイスピードな立ち回りとはすこし異なり、盾を駆使して敵の攻撃を弾きながら戦うプレイスタイルが求められ、より戦略的な戦闘が楽しめるようになっている。また、アトランを操縦しての巨大デーモンとの戦いや、ドラゴンを使った空中戦など、新たな要素も豊富で、「DOOM」 シリーズに新たな魅力をもたらしている。
今回のプレビューイベントは、計4時間程度の体験となり、主に敵との戦闘に重きを置いたプレイとなったが、その4時間はどっぷりとゲームに集中でき、気づけば体験終了の時間になっていた。それほど夢中になれる没入感があったのだろう。
FPSを日常的にプレイしているわけではない筆者が瞬く間にゲームに入り込めてしまった理由は、おそらく『DOOM: The Dark Ages』の独特な世界観と、シンプルながらも奥深いアクション性にある。

例えば、ボタンひとつで 「シールドソー」 を構え、押し寄せてくる敵の攻撃をタイミングよく防いだり、弾き返したりする。盾を投げる攻撃も、相手の耐久力によってモーションが変化するが、プレイヤー側の操作としては同じボタンを押すだけ。さまざまなボタンを入力する煩わしさがなく、直感的にプレイできる。
本作はとにかく敵の数が多いため、周囲の敵を片っ端からちぎっては投げ、ちぎっては投げ……を繰り返すのが基本となる。そのため、プレイフィールとしては銃で敵を高速撃破していくというものではないことは伝えておかなければいけないだろう。時にはパリィゲーと感じられる瞬間もあるかもしれない。
一方で、シールドソーや武器を駆使して敵を吹き飛ばす爽快感や、複雑な敵の攻撃をうまく弾いたときの達成感がプレイにちょうど良い楽しみを与えてくれて、同じ行動を繰り返しているにも関わらず飽きが来ることはなかった。また、アトランやドラゴンでの戦闘パートも通常の戦闘とは違った面白さがあり、プレイにメリハリを与えてくれたように思えた。


上記の理由もあって、本作は往年のファンはもちろん、「DOOM」 シリーズに初めて触れる人にもオススメできる作品だと感じた。ストーリーも『DOOM (2016)』や『DOOM Eternal』の前日譚ということで、これまでのストーリーが分からなくても入り込みやすいハズだ。
ちなみに、難易度はすこし高め。途中でどうしても進めなくなり難易度を落とした場面もあったが、それでも十分な手応えを感じられた。難易度は設定からゲームプレイの途中から細かく変更することができるため、FPSの経験があまりない方の場合は低めの難易度でプレイしはじめ、慣れてきたらより高い難易度に挑戦することで、本作の奥深さを存分に楽しめるだろう。
『DOOM: The Dark Ages』の対応プラットフォームは、Xbox Series X|S、PlayStation 5、PC。価格は9,680円(税込)〜。発売は2025年5月15日を予定している。
(取材協力:ベセスダ・ソフトワークス)