
分散型ソーシャルネットワークとして着実にユーザー基盤を広げてきたBlueskyが4月21日、プラットフォーム上の信頼性向上を目的とした新たな認証システムの導入を発表した。
新機能として加わったのは、認証済みアカウントに青いチェックマークを表示するという仕組みで、旧Twitter (現X) の 「ブルーバッジ」 を想起させるものとなっている。
Blueskyが認証済みアカウントに青いチェックマークを表示する機能を提供開始

これまでBlueskyでは、ユーザーが自ら所有するドメインをハンドルネームに設定することで、アカウントの真正性を示す分散的な認証手段を提供してきた。これは自己証明に近い仕組みであり、中央集権的な管理から距離を置くBlueskyの思想に即したものだった。事実、2023年の導入以降、27万件を超えるアカウントがこの方式を通じて自らを認証してきた。
しかし、同時にこうしたドメイン認証は視覚的なインパクトに欠けるという課題を抱えていた。誰が信頼できる人物なのか、ひと目で判断しづらいというユーザーからのフィードバックを受け、今回の青い認証マークの導入に至ったという。
青いチェックマークは、Blueskyのモデレーションチームが選定した「本物であると認められる著名人や組織」に対して付与される。これにより、ユーザーは視覚的に明確な指標をもとに、アカウントの信頼性を判断できるようになる。
さらにBlueskyは、「Trusted Verifier (信頼できる認証者)」という制度も導入した。これは、Blueskyが認定した一部の外部組織が、自身に関連するアカウントを直接認証できる仕組み。認証を行った組織には、縁が波打つようなスカラップ状の青いバッジが表示される。

この新たな制度によって、たとえばThe New York Timesが社内の記者に対して直接バッジを発行することが可能になった。認証されたアカウントのバッジをタップすると、どの団体がその認証を行ったのかが確認できる設計となっており、透明性の確保にも配慮されている。
一方で、このTrusted Verifier制度には懸念も残る。たとえば海外メディア 「Social Media Today」 は、「すべての認証機関が責任を持ってバッジを配布するとは限らない」 と指摘しており、組織内部の人事異動や退職者による認証の残存といった運用上の問題が想定される。信頼性の向上を目的とした制度が、新たな管理の難しさを生む可能性も否定できない。
また、認証マークの配布が一部の組織に委ねられる構造が、分散型SNSとしての本来の理念に反するのではないかという批判もある。従来のBlueskyは、中央集権的な仕組みに依存せずに、ユーザー同士の関係性や技術的なリンクによって信頼を構築することを重視してきたことから、今回の制度はその方向性からやや逸脱しているように映る。
特に、認証が運営と選定された団体に限定され、ユーザーが自由に申請できない点は、開かれたSNSを志向する人々から懸念の声が上がる要因となっている。なお、現段階ではユーザーからの直接申請は受け付けていないが、今後この機能が安定した段階で、著名で信頼性の高いアカウント向けにリクエストフォームを公開する予定だという。
Blueskyの今回の認証マーク導入は、単なる視覚的なアップデートにとどまらず、SNSにおける 「信頼とは何か」 を再定義する試みでもある。中央集権と分散化という二律背反の間で、プラットフォームとしてどのような舵取りをしていくのか。今回の動きは、Blueskyにとって大きな転換点となるかもしれない。
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(画像:Bluesky)