Audible日本上陸10周年、湊かなえの新作『暁星』ほか大型ラインナップを発表

Amazon傘下の音声コンテンツサービス「Audible(オーディブル)」が、日本でのサービス開始から10周年を迎えた。

これを記念し、同社は「日本10周年記念スペシャルラインナップ」を発表。湊かなえ氏によるオーディオファースト新作『暁星(あけぼし)』を筆頭に、村上春樹氏、恩田陸氏、村上龍氏、朝井リョウ氏、宇山佳佑氏といった人気作家の代表作が続々とオーディオブック化される。配信は10月21日から順次スタートする。

今回の発表に伴い、報道関係者向けにプレス発表会が実施。発表会にはAudible カントリーマネージャーの逢阪志麻氏が登壇し、Audibleのこれまでの10年間の歩みを振り返ったほか、Audible APACコンテンツシニアディレクターの宮川もとみ氏が登壇し、日本10周年記念スペシャルラインナップを紹介した。

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湊かなえの新作『暁星』がオーディオ先行で登場

この10周年を記念し、Audibleは自社制作作品を前年比40%増とし、より豊富なコンテンツを制作・配信していく。その一環として提供されるのが、「Audible 10周年記念スペシャルラインナップ」だ。

中でも注目は、独自制作シリーズ「オーディオファースト作品」に登場する湊かなえ氏の最新作『暁星』。人気声優の櫻井孝宏氏と早見沙織氏が朗読を担当しており、10月21日より予約受付を開始し、11月11日に配信を予定している。年明けには英語版『The Star at Dawn』も世界中で配信される。

さらに、林真理子氏のオーディオファースト作品『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』が10月31日に、スコット・アラン氏の『200 GENTLE HABITS 1日1ページ、人生をひらく小さな習慣』が12月に配信予定と、話題作が続く。

オーディオファースト作品は書籍に先行して音声でリリースされ、耳で聴くことを前提に構成されるため、セリフのテンポや語りの抑揚、静寂の演出まで緻密に作り込まれている。日本語で28作品が既に配信され、作家たちの“聴かせる物語”の場として定着している。

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名作が次々と音声化、Audibleの“10年目の進化”

10周年の節目に合わせ、Audibleでは日本文学を代表する作家たちの名作・話題作を、本日10月21日から年末にかけて順次配信する。

村上春樹氏の最新作『街とその不確かな壁』、恩田陸氏の『Q&A』『蜜蜂と遠雷』、村上龍氏の『イン・ザ・ミソスープ』『半島を出よ』など、文学史に名を刻む作品が耳で味わえる。各作品の配信日は以下。

カテゴリー作品タイトル著者配信日予約開始日
オーディオファースト作品暁星湊かなえ11月11日10月21日
80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間林真理子10月31日10月21日
200 GENTLE HABITS 1日1ページ、人生をひらく 小さな習慣スコット・アラン12月12日10月21日
ベストセラー作家による人気タイトル月の裏側恩田陸10月21日
不連続の世界10月21日
愚かな薔薇(下)10月24日予約受付開始済
上と外 新装版(上)11月7日10月21日
上と外 新装版(下)11月7日10月21日
Q&A11月28日10月21日
鈍色幻視行12月5日10月21日
夜果つるところ12月5日10月21日
消滅 VANISHING POINT(上)2026年春10月21日
消滅 VANISHING POINT(下)2026年春10月21日
珈琲怪談2026年春10月21日
蜜蜂と遠雷(上)2026年秋10月21日
蜜蜂と遠雷(下)2026年秋10月21日
祝祭と予感2026年秋10月21日
酒亭 DARKNESS2026年春10月21日
新13歳のハローワーク村上龍2026年春10月21日
五分後の世界2026年春10月21日
ユーチューバー2026年春10月21日
イン・ザ・ミソスープ2026年春10月21日
55歳からのハローライフ2026年夏10月21日
ピアッシング2026年夏10月21日
ヒュウガ・ウイルス 五分後の世界22026年秋10月21日
ラブ&ポップ2026年秋10月21日
半島を出よ(上)2026年冬10月21日
半島を出よ(下)2026年冬10月21日
街とその不確かな壁(上)村上春樹10月21日
街とその不確かな壁(下)2026年春10月21日
桐島、部活やめるってよ朝井リョウ10月27日予約受付開始済
生殖記11月21日予約受付開始済
桜のような僕の恋人宇山佳祐10月21日予約受付開始済
Audible オリジナル ポッドキャストA University
ゲスト講師:吉本ばなな “物語”
平野啓一郎10月21日
有田哲平 耳笑有田哲平10月21日
くりぃむ上田とアンタ柴田の心はいつも半ズボン上田晋也、柴田英嗣10月21日
斉藤壮馬の本心斉藤壮馬10月21日

さらに、第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウ氏のデビュー作『桐島、部活やめるってよ』や、宇山佳佑氏の『桜のような僕の恋人』など、若い世代に支持される小説も配信ラインナップに加わる。従来の読書スタイルを拡張し、通勤時間や家事の合間に “物語を聴く” 新しい体験を提供する狙いだ。

オリジナルポッドキャストも刷新。作家・平野啓一郎氏監修の新シリーズ『A University』では、渡辺直美氏や建築家・安藤忠雄氏らが講師として登場。ジャンルを越えた知を“耳で学ぶ授業”として展開する。

また、有田哲平氏の音声コント番組『耳笑(みみわらい)』、上田晋也氏×柴田英嗣氏の『心はいつも半ズボン』、声優・斉藤壮馬氏のトーク番組『本心(ほんごころ)』など、エンタメ性の高い番組も揃う。また、ポッドキャストや生成AIナレーションなどの新たな潮流にも対応していく。

発表会の後半には、作家の中山七里氏、俳優の濱田岳氏(恩田陸氏『Q&A』や村上龍氏『イン・ザ・ミソスープ』の朗読担当)、Audibleの宮川もとみ氏が登壇し、トークセッションが行われた。

濱田氏にとっては今回が初めての朗読だったとのことだが、俳優としての経験を活かしつつ、朗読ならではの難しさについて語った。

一人で複数のキャラクターを想像しながら演じる必要があること、緊迫した場面では自分の気持ちを高めながら演じなければならなかったこと、『イン ザ・ミソスープ』ではアメリカ人キャラクターの行動の理解に苦労したこと、女性キャラクターを演じる際にはやりすぎないようバランスに気をつけたことなど、挑戦は多岐にわたった。濱田氏はまた、「聴く読書」には紙の本とは違う没入感があると感じたという。

濱田氏は朗読を「作家の苦労に寄り添う感覚」と表現し、緊張感も含めて楽しさの一つだと語った。

セッション中には『Q&A』の冒頭部分が特別に公開され、濱田氏自身も初めて聴く体験となった。宮川氏は、濱田氏の朗読について「聴いている人を物語の世界に引き込み、すごい世界に連れて行ってくれる力がある」と評価した。

中山氏は、文字だけだった原作が音声になることで物語の輪郭がよりはっきり見えてくると述べ、朗読を「声の芸術」と表現した。

さらに、中山氏は現在執筆中のオーディオ向け作品について、「火災原因調査員」をテーマにした内容で、朗読を前提に書く場合は「読みやすい文章は聴きやすい」と指摘した。Audibleが広まることで、作家が朗読しやすい文章を意識するようになり、結果として紙の本でも読みやすい文章が増える可能性があると示唆した。

濱田氏が異なる作家の作品を連続で収録したのは珍しいことで、宮川氏もその技量を称賛した。中山氏も自身の作品の朗読をお願いしたことがあるが、もともと一人で全部やるのは難しく、最終的には3人で分けた経験があったという。これと比べ、濱田氏の驚くべき体力と表現力に敬意を示した。

最後に登壇者たちはリスナーに向けてメッセージを送った。中山氏は「Audibleのこれからの20年、30年に向けて少しでもお手伝いしたい」と述べ、濱田氏は「朗読は責任のある仕事だと改めて感じ、クライマックスに向けて気を引き締めて臨みたい」と語った。宮川氏は「クリエイターや演者の理解が深まることで、新しい音声コンテンツが生まれると確信した」と締めくくった。

発表会の最後には、11月に実施する「エキナカAudible体験」についての案内があった。本イベントは駅という日常の中でAudibleを試すことができる日本初の大規模イベントで、それぞれ渋谷駅では11月7日〜9日、梅田駅では11月14日〜16日の期間中、11月11日に配信を開始する『暁星』を先行試聴できる。同期間中に渋谷や梅田を訪れる方は、ぜひ体験してみてはどうだろうか。

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