ASUS JAPANは、新型スマートフォン 「Zenfone 10」 を9月8日(水)に国内発売する。
「Zenfone 10」 は、片手で操作できるコンパクトさとハイエンドモデル級の性能を実現した 「Zenfone 9」 の良い点はそのままに、新機能や従来機能のアップデートなどを盛り込んだ最新モデルだ。
発売に先駆け、ASUS JAPANからZenfone 10の実機をお借りし、使用感などをチェックすることができたので当記事でご紹介したい。
なお、「Zenfone 10」 にはRAM/ストレージ容量別に3モデル用意されており、それぞれ8GB+128GBモデルが99,800円、8GB+256GBモデルが112,800円、16GB+512GBモデルが134,800円。今回レビューに試用したのは8GB+256GBモデルとなっている。
「Zenfone 10」 のデザインをチェック
Zenfone 10は、先代モデルのZenfone 9とほぼ同じサイズ・デザインを採用したことで、引き続き片手で使えるコンパクトさを実現している。
具体的には、高さ146.5 × 幅68.1 × 厚さ9.4mmで、重量は172g。厚さと重量がほんのわずかに増えた (厚さ9.1mm→9.4mm、重量169g→172g) ものの、実際に触って感じられるほどではなかったので誤差の範囲と言えるだろう。
昨今は大型のスマートフォンが一般化しているなか、Zenfoneシリーズは片手に収まるくらいの取り回ししやすいコンパクトなサイズを採用。服のポケットやカバンなどに収納しやすく、持ち運びやすいため、最小限の荷物でお出かけしたい人にはとてもオススメだ。
前面には、ベゼルレスで広々と使うことができる5.9インチのディスプレイが搭載。画面左上にはフロントカメラを避けるようにパンチホールが設けられている。
本体カラーは、先代モデルでも用意されたスターリーブルーとミッドナイトブラックに加えて、新たにオーロラグリーン、エクリプスレッド、コメットホワイトという宇宙に関連した名前がついた3色が追加された。
今回レビューに使用したのは、そのうちのコメットホワイト。ホワイトの色味は純白というよりも若干シルバーがかった色味で、金属味もありカッコいい。
背面は和紙のようにザラザラとした感触のポリカーボネート素材が用いられている。多くのスマートフォンが(ガラスなどの)ツルツルとした素材を背面に使用していて滑りやすいのに対し、Zenfone 10はグリップ力があって滑りにくい。指紋もつきにくく、日々のお手入れも楽ちん。
背面左上には引き続き、広角+超広角のデュアルカメラが搭載。広角カメラが5000万画素、超広角カメラが1300万画素。カメラレンズは本体からそれなりに出っ張っているため、保護ケースをつけない場合は、カバンに入れたとき他のデバイスの画面を傷つけたりしないよう注意したい。
本体側面には、「ZenTouch」 と呼ばれるボタンと音量調節ボタンが搭載。ZenTouchは電源ボタンにスマートキー機能と指紋認証センサーが融合した画期的なボタンで、高速で指紋認証ができたり、お気に入りのアプリをショートカットで素早く起動することができる。
ZenTouchは先代モデルでも搭載されていたボタンだが、今回のZenfone 10で 「ZenTouch 2.0」 になり、さらに便利に使えるようアップデートが施されている。「ZenTouch 2.0」 に関する詳細はのちほど。
生体認証は、ZenTouchによる指紋認証と顔認証の2種類に対応している。いまや多くのAndroidスマートフォンが指紋認証と顔認証の両方を採用しているが、やはり使用シーンに応じて柔軟に認証方法を変更できるのは便利だ。顔認証はマスクやメガネをつけていても認証できるなど、花粉症の人やメガネユーザーにとっても優しい仕様。実際に使ってみた感触としては、認証速度も早く精度も問題なさそうだった。
本体下部には、SIMスロットと通信・充電用のUSB Type-C (USB 2.0) ポートが搭載されている。
SIMスロットはnanoSIMが2枚挿入可能で、デュアルSIMに対応。eSIMには非対応だ。また、外部ストレージ (microSD等) には対応せず、ストレージ容量の拡張はできないので注意していただきたい。
本体上部には、3.5mmオーディオジャックが搭載。ドラマの音ズレが気になるとき、音楽ゲームのプレイ時などに、ほぼ遅延がない有線イヤホンを使うことができる。
また、本製品はFeliCaを搭載しているため、買い物や通勤・通学時の交通機関でタッチ決済が利用できる。
Zenfone 10はコンパクトながら耐久性にも優れる。ディスプレイはCorning Gorilla Glass Victusで保護されているほか、IP65/68相当の防水・防塵に対応する。画面割れや水没による故障は発生しにくいはずだ。
本体にはUSBアダプターと充電ケーブルに加えて、専用ハードケースも同梱されてくる。純正ケースということでカメラ穴などの位置も正確なので、気に入ったならそのまま使い続けてもよし、お気に入りのサードパーティメーカーからケースが登場するまでの繋ぎとして使ってもよしだ。
画面:5.9インチ有機ELディスプレイでキレイでクッキリ
Zenfone 10の画面には、HDR10+に対応した5.9インチのAMOLEDディスプレイが搭載されている。解像度は2400×1080ドット (445ppi) で、最大144Hzのリフレッシュレートを実現した。アスペクト比は20:9、最大輝度は1,100ニト。
有機ELディスプレイということもあり発色はとても綺麗。旅行先で撮影した写真などもキレイに表現してくれる。
リフレッシュレートに関しては、設定から自動/120Hz/90Hz/60Hzを選択可能で、144Hzはゲームプレイ中にGame Genieからのみ設定が可能。応答速度も1msと高速なので、レースゲームのような動きの激しいゲームでも快適にプレイできた。
端末がスタンバイ状態でも日付や時間、各種通知などを画面上に常時表示する 「Always-on Panel」 機能も先代モデルに引き続き搭載。わざわざ画面ロックを解除せずとも情報を見ることができて便利だ。
「Always-on Panel」 機能の設定で 「時計スタイル」 を選択すると、常時点灯状態の際に表示される時計をカスタムできる。画像ファイルの設定もでき、GIFアニメの読み込みをサポートするため、アイディア次第でユニークな常時点灯画面を作ることも可能だ。
SoC:最新かつ評判の良い 「Snapdragon 8 Gen 2」 で性能は最高レベル
Zenfone 10は、Qualcommの最新SoC 「Snapdragon 8 Gen 2」 を搭載しており、先代モデルに比べてCPU性能が15%、GPU性能が20%以上向上したほか、電力効率も15%向上している。
AnTuTuベンチマークとGeekbench 6の結果は以下。
やはり最新かつ評判の良いSoCということもあり、スコアは最高レベル。数字上は先日レビューした 「Galaxy Z Flip5」 を上回るため、普段の作業はもちろんのこと、画像編集アプリや3Dゲームなどの負荷の高いアプリでも快適に動作するだろう。
試しに、オープンワールドRPGの『原神』を動かしてみたところ、画質 「中」 だとパフォーマンスは良好で、画面のカクつきなどもなく終始スムーズにプレイすることができていた。
画質 「高」 にすると 「デバイス負荷が非常に高い」 と表示され、実際のゲームプレイ時にもわずかなカクつきが見られた。デバイスへの負荷が気になるところだが、プレイする上でのストレスは低かったので綺麗な映像で楽しみたいなら、この設定でもプレイできそうではあった。
カメラ性能:コンパクトなのにカメラ性能もよし。旅行や出張の記録に最適
ここからは、Zenfone 10に搭載されたカメラの性能をチェックしていきたい。
Zenfone 10には、背面に広角+超広角のデュアルカメラ、前面にシングルカメラを搭載している。画素数はリアカメラの広角が5000万画素、超広角が1300万画素で、インカメラが3200万画素だ。
広角カメラには6軸ジンバルモジュールが搭載されており、強力な手ぶれ補正によりブレの少ない写真や動画を撮影できる。昨日、飛行機に乗る機会があったので利用してみたところ、着陸時のように揺れの大きなシチュエーションでもブレを抑えた動画を撮影することができた。
超広角カメラは、120°の画角で風景を広く撮影するのに適する。建物を映せばダイナミックな写真を撮ることもできる。
カメラアプリには 「被写体検出AI」 機能が搭載されており、AI処理によって被写体を検出し、自動で画像を最適化する。撮影後にほとんど加工の必要がないため、SNSなどにクイックに写真を投稿したいときに便利だ。
実際に撮影してみた写真が以下。昼も夜も全体的に明るい写真が撮影できるので、ライティングを気にせず気軽に写真が撮影できる印象。ご飯の写真もキレイに撮れる。まだ写真は準備中だが、ポートレートモードも人物の輪郭をキレイに写し出すことができた。
ズーム倍率は、デフォルトでx0.6、x1、x2が用意。ピンチアウトで最大8倍ズームが可能だ。
さらにZenfone 10の広角カメラには、デバイスのブレの状態をリアルタイムに検知して最適な画角に自動調整する新機能 「アダプティブ EIS」 機能が搭載されており、滑らかな動画を撮影できる。スキーや自転車などのスポーツをしながら動画を撮影したいときに重宝するだろう。
インカメラは3200万画素と画素数が高く、綺麗なセルフィーが撮影できる。ポートレート写真も撮影可能だ。
インカメラはRGBWセンサーが採用されたことで、従来よりも明るく高画質な自撮りが可能に。ASUSによると、光の取り込みは67%向上したほか、ノイズも50%低減できているとのことだ。
ZenTouch 2.0:先代モデルから引き続き搭載。特定のアプリや機能をショートカットで素早く起動できる 「スマートキー」
Zenfone 10では、先代モデルでも搭載されていた、スマートキー機能と指紋認証センサーが融合した電源ボタン 「ZenTouch」 が引き続き搭載されている。
指紋認証センサーの感度は高く、乾燥肌の影響で指紋認証が苦手な筆者の指でもきちんと認証することができていた。認証スピードも高速で、一瞬でロックを解除できる。登録できる指紋の数は最大5個まで。
今回のZenfone 10では、ZenTouchボタンに新機能が追加されて 「ZenTouch 2.0」 に進化している。
ボタンの長押しやスワイプで特定のアプリや機能をショートカットで素早く起動できる 「スマートキー」 機能には、新たにスワイプで起動できる動作にWebページの前後移動や、YouTubeなどでの動画の早送り・巻き戻しが追加。
直感的に動画の再生位置を変えられる早送り・巻き戻し機能が便利だったが、間違ってスワイプしてしまったときに動画の再生位置が変わってしまうので、各ユーザーの使い方によって好みが分かれる機能かもしれない。
バッテリー持ち:駆動時間は12.9%増加、ワイヤレス充電にも対応
Zenfone 10はバッテリー駆動時間が伸びて、より長時間の使用に耐えられるようになっている。バッテリー容量は4,300mAhと先代モデルと同じ容量ではあるものの、ソフトウェアの最適化などで消費電力が低減したことで、駆動時間が12.9%向上しているという。
実際にZenfone 10で、乗換案内やマップアプリを使ったり、カメラで色々と写真を撮ったり、音楽を聴いたりしながら朝から晩まで使ってみたところ、途中でバッテリーが足りなくなることはなかった。
先代モデルとの正確な比較はできていないものの、少なくとも一般的な使い方をする上でモバイルバッテリーが必要になることはなさそうだ。
Zenfone 10は充電まわりにもアップデートがあり、新たにQi規格のワイヤレス充電に対応。最大15Wでのワイヤレス充電が利用できる。
自分のデスクなどにワイヤレス充電器を備え付けておけば、充電器の上にポンと本体を置くだけで充電できるように。これがなかなか便利なので、まだワイヤレス充電を体験したことがない人はZenfone 10と一緒にワイヤレス充電器も購入してみてはどうだろうか。
総評:コンパクト筐体そのままにパワーアップした新型Zenfoneは、小型モデルを求めるユーザーに最適の1台
Zenfone 10はコンパクトな本体と最新SoCの組み合わせにより、性能に妥協することなく収納しやすさ・持ち運びやすさの恩恵を得ることができるスマートフォンだ。
昨今は大型のスマートフォンが主流のなか、あえてニッチ気味な小型端末へ舵を切っているZenfoneだが、実際に触ってみると、どんなポケットにも収納できるコンパクトな筐体は持ち運ぶときの負荷が少ないという魅力に気づく。
本体が小さいと基本片手だけで操作することができ、親指だけで文字入力もこなせる。満員電車など狭いところでテキストを打ったり、メッセージに返信することも可能だ。
すべてのユーザーのニーズを満たせるわけではないと思うが、小型モデルを欲するユーザーにはきっと刺さる製品なのではないだろうか。
また、先代モデルからすでに導入されていた機能ではあるが、1台の端末で同じアプリを2つ使えるようになる 「ツインアプリ」 機能や、画面を見ている間は画面スリープの開始時間が自動で延長される 「スマートスクリーン」 機能など、ユニークで便利な機能が利用できるのも面白い点。ユーザーからも好評の機能だと聞く。
若干ニッチ寄りな分野の製品でありながらも、性能・機能はしっかりと作り込まれているところを見ると、顧客のニーズを深く理解し顧客の立場になって製品作りを行うASUSのデザイン理念が垣間見える。とても好印象なスマートフォンだった。
本当は小さいスマートフォンが欲しいのに、高い性能を得るため大きなスマートフォンで妥協してきたという人は、ぜひ小さくて軽いのに高い性能を持ったZenfone 10に乗り換えてみてはどうだろうか。