M2チップ搭載Macのベンチマークスコアまとめ。M1チップからどう進化した?

Appleの次世代シリコンチップ 「M2チップ」 を搭載した、新型MacBook Proが今月24日に発売した。

非常に高性能だと話題になった 「M1チップ」 の後継SoCということで、新たに登場した 「M2チップ」 の実力が気になっている方も多いのではないだろうか。

本製品の発売に伴い、実機で各種ベンチマークスコアを計測してみた。M2チップを搭載したMacの購入を検討している方は是非参考にしていただければと思う。また、CPU性能についてはM1チップ搭載モデルとも比較してみたので、そちらもご参考になればと思う。

関連記事:MacBook AirとMacBook Proを徹底比較

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M2チップとは

M2チップとは、AppleのMac向け自社製チップ 「Apple Silicon」 の第2世代モデルにあたる最新チップ。

5nmプロセスを採用しており、搭載トランジスタは200億個。8コアCPU/10コアGPUを搭載しており、CPUパフォーマンスは最大18%、GPUパフォーマンスは最大35%向上している。また、40%高速になったNeural Engineも搭載されている。

また、M1に比べてメモリ帯域幅が50%高くなっており、最大24GBの高速ユニファイドメモリが搭載可能だ。

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CPUベンチマーク

まずはCPU性能について。ベンチマークは、Apple Siliconにネイティブ対応済みの 「Geekbench 5」 で計測した。6月24日に発売した13インチMacBook Proの数値となり、7月に発売予定のMacBook Airについては発売以降に計測の上、掲載する。

各モデルのシングルコアスコア/マルチコアスコアは以下のとおり。

製品名 プロセッサ コア構成 シングルコア マルチコア
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
??? ???
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1910 8803

以下はM1チップを搭載したMacBook Air/MacBook Pro/Mac miniiMacとの比較。さらに、M1シリーズの上位プロセッサであるM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraチップを搭載したMacBook ProMac Studioとも比較してみた。

製品名 プロセッサ コア構成 シングルコア マルチコア
MacBook Air
(M1, 2022)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1705 7220
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1717 7602
Mac mini
(M1, 2020)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1718 7573
iMac
(M1, 2021)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1714 7255
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
??? ???
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1910 8803
MacBook Pro
(14-inch, 2021)
M1 Pro 合計8コア
・高性能x6
・高効率x2
1761 9897
M1 Pro 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1765 12505
MacBook Pro
(16-inch, 2021)
M1 Pro 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1747 12502
M1 Max 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1782 12775
Mac Studio
(2022)
M1 Max 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1744 12138
M1 Ultra 合計20コア
・高性能x16
・高効率x4
1782 22726

Appleによれば、M2チップは先代のM1チップからCPUパフォーマンスが最大18%向上しているとのことだったが、筆者の計測では16%前後の性能向上となっており、Appleの説明はおおよそ正しいことが確認できた。M2チップのコア数と構成はM1チップと同じ。それにもかかわらずベンチマークスコアが向上しているということは、各コアの処理性能が向上したことの証拠だと思われる。

M1シリーズのチップ比較

コア数の多いM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraにはマルチコア性能では劣ることから、やはりM2チップはエントリーモデル向けのチップであることには代わりない。ハイエンドモデルが欲しい方には依然としてM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraを搭載したMacBook ProMac Studioの購入がオススメとなるが、注目したいのはM2チップのシングルコアスコアの高さ。

M1シリーズはおおよそ1700台だったのに対して、M2チップは1900台をマークしている。もし、M2をベースにした上位プロセッサM2 Pro/M2 Max/M2 Ultraが登場した場合にはM1 → M2の性能向上と同等あるいはそれ以上の性能向上が見込めるだろう。

なお、参考としてIntelプロセッサを搭載したモデルとも比較してみた。IntelモデルからApple Siliconモデルへの買い替えを検討している方に参考になればと思う。

製品名 プロセッサ コア構成 シングルコア マルチコア
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
??? ???
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1910 8803
MacBook Pro
(13-inch, 2020)
Intel
(i5-8257U)
合計4コア 925 3852
MacBook Air
(2020)
Intel
(i3-1000G4)
合計4コア 1102 2842
Mac mini
(2020)
Intel
(i3-8100B)
合計4コア 897 3202
MacBook Pro
(16-inch, 2019)
Intel Core i9
(2.4GHz)
合計8コア 1095 6869
iMac
(27-inch Retina 2020)
Intel Core i9
(3.6GHz)
合計10コア 1251 9021
Mac Pro
(2019)
Intel
(Xeon W-3265M)
合計24コア 1116 18960

Intelプロセッサを搭載したモデルとApple Siliconを搭載したモデルを比較すると、大幅に性能が向上していることが確認できる。また、注目すべきなのはiMacやMac Proといった上位プロセッサを搭載したモデルと比較したとき。Apple Siliconは現状最上位モデル 「M1 Ultra」 がシングルコア1782、マルチコア22726と驚異的な数字を叩き出しており、これは2019年に発売したMac Proのほぼすべての構成を上回る性能になっている。

プロ向けのワークステーションとして使用するなら、IntelベースかApple Siliconベースかは重要なポイントとなり得るため必ずしも数字がすべてではないとは思うが、数字上ではすでにMac Proを凌駕するものになっているということは知っておくべきだろう。

ちなみに、おなじM1チップを搭載したMacBook Air/MacBook Pro/Mac miniのなかでMacBook Airのスコアがシングル/マルチともにすこし低く出ているのは、MacBook Airがファンレス仕様であることが影響しているものと予想される。また、逆にMac miniのマルチコアスコアがすこし高めに出ているのは、バッテリー駆動であるMacBook ProやMacBook Airのように高い省電力性が求められていないからであると推測できる。

GPUベンチマーク

ここからはGPU性能についてチェックしていく。ベンチマークスコアはApple Siliconにネイティブ対応済みの 「Geekbench 5」 で計測した。結果は以下のとおり。

製品名 プロセッサ GPUコア数 OpenCL Metal
MacBook Air
(2020)
M1 8コア 16026 18897
M1 8コア 16925 19755
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
M1 8コア 18622 21452
Mac mini
(M1, 2020)
M1 8コア 19619 21832
iMac
(M1, 2021)
M1 8コア 19024 21332
MacBook Air
(2022)
M2 8コア ??? ???
M2 10コア ??? ???
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 10コア 27649 30420
MacBook Pro
(14-inch, 2021)
M1 Pro 14コア 31503 35463
M1 Pro 16コア 38214 40721
M1 Max 24コア 50612 58219
M1 Max 32コア 63341 70202
MacBook Pro
(16-inch, 2021)
M1 Pro 16コア 34778 38042
M1 Max 24コア 51267 59480
M1 Max 32コア 59541 67524
Mac Studio
(2022)
M1 Max 24コア 50094 61078
M1 Max 32コア 58995 67429
M1 Ultra 48コア 78421 98023
M1 Ultra 64コア 82445 100035

CPU性能については “順当な進化” と評したが、GPU性能についてはM1チップから大幅に性能が向上していたことが確認できた。

Geekbenchのベンチマークスコアを参考にするとOpenCLで約48%、Metalで約42%の性能向上となる。

そのパワーは、14インチMacBook Proの下位グレードモデル (M1 Pro/14コアGPU) にあともう少しで届きそうなくらい。実機を触ってみると以前はRAW写真の現像や4K動画の編集が実用ギリギリだったのが、すこし余裕ができたのかモタツキが軽減されており、以前よりも快適に作業できるようになっている。

M2チップはM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraチップに実施されたメディアエンジン強化が行われており、8K (H.264/HEVC) 動画対応のビデオデコーダー、およびProResビデオエンジンを搭載した関係で、最大11ストリームの4Kビデオ、最大2ストリームの8K動画の再生が可能になった。Final Cut Proにおいては最大40%の処理高速化が図られており、Apple ProResの変換速度についても先代のM1チップ比で約300%高速化されるため、映像関係の作業をする機会が多い場合にはスコア以上の変化が感じられるかもしれない。

とはいえ、M1 Pro/M1 Max/M1 Ultraチップに比べるとM2チップは基礎力という点で力及ばずなので、より高いGPU性能を求めるユーザーであればやはり14インチ/16インチMacBook ProMac Studioを購入するという選択肢が最も安心できるはずだ。

まとめ

以上が、現時点で明らかになっている各種ベンチマークスコアだ。今回より新たに登場したM2チップ搭載MacBook Pro (おそらくMacBook Airも) は、いずれもM1チップから順当に進化していることが確認できた。

ただし、CPU・GPUコア数が多いM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraには (CPUのシングルコアスコア以外では) やはり力の差を感じる場面もある。筆者は14インチMacBook ProMac Studioを所有しているが、やはりM2チップ搭載MacBook Proよりも快適に動作することが多い。

M1チップとM2チップを搭載したモデルはエントリーモデルとして優秀なデバイスであることは間違いなく、一般的なユーザーであれば満足できるだろうが、高いCPU・GPU性能が必要となる重処理をするハイエンドユーザーには、やはりM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraを搭載したMacBook ProMac Studioの購入がオススメとなる。

各モデルの比較は、Apple公式サイトにて詳しく行うことが可能だ。また、各モデルのレビューについては当サイトで公開しているため、そちらも合わせてチェックいただきたい。

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