当メディアはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Apple、Apple Watchチタニウムケースを3Dプリントで量産化。iPhone Airへの応用も

Appleは、Apple Watch Ultra 3とApple Watch Series 11 (チタニウムモデル) のケース製造において、再生チタニウム粉末を使った3Dプリントを導入している。

従来はプロトタイプ向けに限られていた技術を、大規模量産に拡張したもので、材料使用量は従来の半分に削減することができたという。

これまではチタニウムのブロックから削り出し加工でケースを作っていたことから、1つのケースを作るのに多くの廃材が生まれてしまっていた。3Dプリンタを使用したことが地球に優しいということではなく、3Dプリンタを用いて製造することで廃材を産む量を減らすことができたということだ。

Appleによれば、2025年だけでApple Watchの製造に使うチタニウム原料を年間400トン以上節約できる見込みだという。

製造プロセスは高度で、1つのケースを作るために直径50ミクロンのチタニウム粉末をレーザー6基で同時照射し、900回以上の層を積層。粉末除去、切断、自動光学検査、仕上げ加工を経て最終形状に仕上げる。粉末は100%再生された航空宇宙産業レベルのチタニウムで、酸素含有量も極限まで抑えられている。

Apple Watchの製造電力はすでにすべて再生可能エネルギーで賄われており、材料効率の向上は環境負荷低減に直結する。Appleの環境・サプライチェーン担当、サラ・チャンドラーは「3DプリントはApple 2030のカーボンニュートラル目標達成に不可欠な技術」と語る。

3Dプリントにより、従来の鍛造では作れなかった複雑な内部構造も形成可能になった。GPS + Cellularモデルのアンテナハウジングでは、防水性能が改善され、金属とプラスチック部材の接合精度も向上した。

さらに、同技術は新型iPhone AirのUSB-Cポートにも応用され、薄型ながら堅牢な筐体を実現。バージェロンは「デザインの自由度が広がり、持続可能な方法で必要な外観と構造を実現できた」と述べる。内部テクスチャの形成や精密接合の向上により、従来よりも防水性や耐久性が高まったのも副次的なメリットだ。

今回の3Dプリント量産化は、単に新しいApple Watchを作る以上の意味を持つ。

  • 材料使用量50%削減、再生チタニウム100%
  • 年間400トン以上のチタニウム節約
  • 内部構造精度の向上とデザイン自由度拡大
  • アンテナ防水性能改善
  • Apple 2030脱炭素目標への貢献

Apple Watch Ultra 3とSeries 11は、製品自体の魅力に加えて、Appleが描く「脱炭素×製造革新」の象徴となる製品であり、今後はiPhoneや他の製品への応用拡大も期待される。

関連リンク

(画像:Apple)