
Appleは10月20日、折りたたみ式スマートフォン「iPhone Duo」に使用するチタンや、「iPhone 18 Pro」のカメラシステムに採用する可変絞り機構に関連した部材について、米国内での生産を拡大すると発表した。米ペンシルベニア州に拠点を置くチタンメーカーのPerryman Companyと新たに提携するほか、米デラウェア州に本社を置くQnity Electronicsとの協力も拡大し、iPhone 18 Proのカメラ技術を支える部材の生産を米国内で進める。
今回の取り組みは、Appleが米国内の製造業を支援するために進めている「American Manufacturing Program(AMP)」の一環だ。同社は米国の製造業と技術革新に向け、4年間で総額6000億ドルを投じる計画を掲げており、先端材料や重要部品の生産を米国内で拡大しようとしている。
Appleの最高執行責任者(COO)を務めるサビ・カーン氏は、同日公開したプレスリリースのなかで、米国企業との協業を拡大し、最新のiPhoneシリーズに使われる先端材料や部品を米国内で生産できることに期待を示した。iPhone Duoに使われるチタンからiPhone 18 Proのカメラ技術まで、米国の技術力が同社製品を支えていると説明し、今回の提携を通じて米国内の雇用も支えていく考えを明らかにしている。

今回の発表で注目したいのは、Appleが米国内での生産を完成品の組み立てだけでなく、スマートフォンの耐久性やカメラ性能を左右する素材・部材にまで広げていることだ。製造拠点を増やすだけでなく、製品の品質や機能を支える部品の供給網そのものを米国内で強化しようとしている。
iPhone Duo向けのチタンを供給するPerryman Companyは、特殊チタン製品の製造を手がける家族経営の企業で、世界的なチタンメーカーの一つとして知られる。Appleは同社に対し、今後3年間で最大1億ドルを投資する計画だ。
Perrymanが製造するチタンは、iPhone Duoの筐体に使用される。同機には「グレード5」と呼ばれるチタン合金が採用されており、折りたたみ式端末に求められる強度と耐久性を支える。折りたたみスマートフォンは、開閉を繰り返す構造に加え、薄型化や軽量化も求められるため、筐体に使う素材の選択が製品設計を左右する重要な要素となる。
ここで見逃せないのが、iPhone Duo向けのチタンにリサイクル原料が80%以上含まれている点だ。Perrymanはペンシルベニア州ヒューストンの施設でチタンの溶解、鍛造、圧延を行い、製品に使用する素材を製造している。Appleは同社への投資によってチタンの供給体制を整えるとともに、再生資源を活用した素材の調達も進める。

一方、iPhone 18 Pro向けの部材を供給するQnity Electronicsは、カメラの可変絞り機構に欠かせない先端フィルムを米国内で生産する。同社は2026年3月にAMPへ参加しており、今回の発表でAppleとの協力をさらに拡大することが明らかになった。
iPhone 18 Proでは、4800万画素の「Fusionメインカメラ」に可変絞り機構を採用している。カメラの絞りを調整することで、レンズから取り込む光の量を変えられるほか、ピントが合って見える範囲である被写界深度も制御できる。Appleによると、端末上で動作するAI技術を使い、暗い場所ではより多くの光を取り込み、明るい場所では細部をより鮮明に捉えられるよう、絞りを自動的に調整するという。
スマートフォンのカメラというと、画素数やセンサーサイズ、画像処理の性能に目が向きがちだが、撮影時に取り込む光の量を物理的に調整する仕組みも、写真の仕上がりを左右する要素の一つだ。iPhone 18 Proでは、可変絞り機構と端末上のAI技術を組み合わせ、撮影環境に応じて光の取り込み方を調整する。今回の提携拡大によって、こうしたカメラ機能を支える部材の生産にも米国企業が関わることになる。
Appleによると、iPhone DuoとiPhone 18 Proには、無線通信チップから端末の主要機能を支える半導体まで、米国企業が製造した約100種類の部品が使われている。これらの部品は米国内の12州を超える地域にあるサプライヤーから供給されており、Appleは今後も国内の供給網を拡充していく方針だ。
こうした生産体制の拡大は、Appleが掲げる環境目標とも結び付いている。同社は2030年までに事業活動全体でカーボンニュートラルを達成することを目指しており、すべての直接取引先に対して、Apple製品の製造に使用する電力を2030年末までに再生可能エネルギーで賄うよう求めている。iPhone Duo向けのチタンにリサイクル原料を80%以上使用することも、資源の有効活用を進める方針に沿った取り組みだ。

Appleは米国内での製造拡大に加え、製造技術を担う人材の育成にも力を入れている。同社は全米50州のサプライヤーと取引し、45万人以上の米国人の雇用を支えている。
その取り組みの一環として、Appleは2026年8月、テキサス州ヒューストンに「Advanced Manufacturing Center(AMC)」を開設した。同社にとって米国内で2カ所目となる製造技術の学習拠点で、約2万平方フィート(約1858平方メートル)の施設を備える。
AMCでは、Appleのエンジニアが中小企業を対象に、同社製品の製造に使われる技術や工程を指導する。製品の最終組み立てに向けた先端製造技術の基本から、プリント基板の組み立てを考慮した設計まで、幅広い内容を扱う。Appleが自社製品の製造ノウハウを中小企業に共有することで、米国内の製造業全体の技術力向上につなげる狙いがある。
このAMCは、Appleの先端AIサーバーを製造するヒューストンの施設内に設けられている。同社は同じ拠点で、2026年中に「Mac mini」の製造も開始する予定だ。iPhone向けの素材やカメラ部品に加え、AIサーバーやMacの生産にも米国内で取り組むことで、幅広い製品を支える製造基盤を整えている。
情報ソース
(画像:Apple)





