
本誌の長年の読者の一人に、Karagana(@Krgn1002)氏という人物がいる。彼は、Appleに強い愛着を持ち、常にAppleに関する最新の情報を追いかけている。
世間一般的にはいわゆる 「Apple信者」 とも言える存在だが、単にApple製品を楽しむだけでなく、Appleの “内なる事情” に関する情報収集にも熱心。自らを 「Apple高濃度ユーザ」 と称し、時にユーモアを交えながらX(旧Twitter)で自身の意見を発信している。
実は、筆者は同氏と古くから親交があり、たまにApple製品に関する意見交換をさせてもらったりしている。そこで、このたび同氏のこれまでの体験を深掘りするインタビューをさせてもらう運びになった。
また、そのオファーのなかで「今後弊誌に何かしらの寄稿をしてもらう機会も設けられたら」という話になった。もしかすると今後Karagana氏による記事が上がることもあるかもしれない。この機会にぜひ知っておいていただけたら幸いだ。
なお、今回のインタビュー企画をはじめた背景について簡単に紹介しておく。通常であれば、企業の要職にある方々にお話を伺い、その内容をインタビュー記事としてお届けしている。しかし、「本誌を読んでくださっているのはどのような方々なのか?」という視点もまた興味深いのではないかと考えたことが、今回の企画につながった。
ちなみに、本稿の裏では、Karagara氏の運営する「Karagana Park」において、筆者がインタビュイーとして質問に答えた別インタビュー記事も公開されている。筆者のこれまでの経歴や、本誌を通じてどのような発信を行っているのかについて語っているので、関心のある方はぜひそちらもご覧いただきたい。
Karagana氏が歩んできた “Appleと人生”ーー。
筆者:
きょうはよろしくお願いします。それでは早速ですが、自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
Karagana氏:
改めまして、Appleを高濃度に考察したいハト「Karagana」と申します(※編集部注釈:Karagana氏は自身のプロフィールアイコンとしてハトの画像を使用している)。
昔からAppleに対して強い興味があり、四六時中Appleのことを考えています。そうする中で感じたことであったり、過去の例を参考にした予想などを普段からX(旧Twitter)上で発信しています。
また一昨年に「Karagana Park」というブログも開設しました。独自と言ったら大げさですが、皆さんが興味をもって見ていただけるような記事を書いていければと思っています。
筆者:
普段はどういうことをされているのでしょうか。
Karagana氏:
いつもAppleに関することばかり投稿しているので、「Appleなどのテック業界に身を置いているのでは?」と思われる方もいるかもしれないですが、私はテックとはまったく異なる業界の者ですので、あくまでAppleの追っかけは仕事ではなく「趣味」とやっています。また、Appleやその関連企業に属していたこともありませんので、「関係者」ではもちろんありません。
筆者:
私とどういう経緯で繋がったか、当時のことって覚えていますか?
Karagana氏:
@Krgn1002を開設した時、Appleに関する情報を発信している方々(NANAさんを含む)をフォローしていったところ、まだ私のフォロワーさんが2桁になったばかりの頃にNANAさんがフォローを返してくれたのが始まりだったと思います。もう9年以上前の話ですね(笑)
筆者:
KaraganaさんがAppleについて興味があることは以前より知っているのですが、なぜAppleのことが好きなのか、改めて聞いても良いでしょうか。
Karagana氏:
まず一番大きいのは、生まれた時からApple ComputerのMacコンピュータ「Macintosh Performa」が自宅にあったことだと思います。同年代の人が任天堂やソニーのコンソールで遊んでいた時に、私はMacにゲームが収録されたCD-ROMを入れて遊んでいた記憶があります。
そして二番目に大きいのは、Appleサマーキャンプに度々参加していたことだと思います。そこではMac上でiLifeを触ってみて、「Macが自分の生活をどのように豊かにしてくれるのか」を学ぶことができました。今振り返ってみても、非常によい経験だったと感じます。
実際にこれに参加した後、旅行中に撮影した動画をiMovieで編集して、完成した映像をiDVDを使ってDVDに焼いたりするのが趣味になっていました。この「コンテンツ消費以外の目的でApple製品を使ってみる」という経験は、過去と比べてもより貴重なものとなってきている気がします。
筆者:
Karaganaさんは、Apple製品をどの程度お持ちですか?普段使っているデバイスはもちろん、過去に購入してきたものの中で気に入っているものがあれば、そちらも教えてください。
Karagana氏:
私は皆さんが思っているほどたくさんのApple製品を持っている訳ではありません。昔とある方から譲り受けた90年代から00年代の古いApple製品たち(80アイテムくらい?)が私のコレクションの一部となっていますが、それ以外の直近10年ほどの製品たちは、あくまで「普通」の範囲内の量だと思います。
普段使っている製品は、MacBook Air (M1, 2020)、13インチiPad Pro (M4)、iPhone 17 Pro Max、iPhone Pocket、Apple Watch Ultra 2、AirPods Pro 2、AirPods 4、Apple TV 4K、HomePod miniです。
唯一所持していないカテゴリと言えばApple Visionですが、Vision Proは様々思うことがあるので所持していません。また、購入してきた製品の中でも気に入っているものは、MacBook Pro(Retina, 15-inch, Mid 2014)です。Appleシリコンという要素を除けば、MacBook Proという製品そのものはこの時期にほとんど完成されていたと感じます。
私自身にコレクション欲がほとんどないため、新たに昔の製品を中古で手に入れるなどして、「すべてのカラーを手元に置いておきたい」というようにはあまり感じません。
もし私がApple製品の収集を始めるならば徹底的にやりたくなるタイプなのですが、もうすぐ50年になるApple製品の歴史を考えれば、一旦集めだすとコンテナ倉庫でも複数借りないと置いておけないので、キリがないと感じます。また、どんな製品であっても使わずに押入れに眠らせることになるのであれば「その製品を持っていないのと同じ」という気もしてしまい、基本的には「今の自分に必要な製品かどうか」という基準を普段から持っています。
「Appleを考察する」という “高濃度ユーザ” の楽しみ方
筆者:
これまでAppleが発売してきた製品のなかで、好きな製品はありますか?
Karagana氏:
Mac Pro(Late 2013)です。拡張性をThunderbolt 2に託し、これまでには考えられなかった小さく効率的な筐体に、ハイエンドデスクトップコンピュータを収めたところに魅力を感じます。
Appleを去ったJony Iveや、故Steve Jobsも設計に関わっていたとされており、デザインチームの意向が今よりも大きな影響力を持っていた頃を思い起こさせてくれるコンピュータです。
筆者:
Apple製品に関して「ここが便利!」または「ここが不満!」と感じることを教えてください。
Karagana氏:
私が便利と思うのは、世間一般でもよく言われるApple製品間の「連係」だと思います。ただあえて皆があまり意識していない点を挙げるならば、SF Symbolsを始めとした「デザイン言語」とも呼べるものがどのOSにも共通して採用されていることだと思います。
これのメリット(便利さ)は、visionOSのようなまったく新しいOSが出てきたとしても、すでにiOSやmacOSに触れたことがあれば、すぐに親しみを持って使い始められるところです。MacBook Airの公式ページに「iPhoneが好きなら、Macも好きになるはず。」との記載がありますが、Appleがこう言い切れるのはこれが理由です。
不満点を挙げるとすれば、ユーザーからのソフトウェアに対するフィードバックが、実際の製品に反映されるまでに時間がかかる場合があることでしょうか。
過去に私が「もっと早くこの機能を実装させられたのでは?」と思ってしまった例としては、iOS 16で実装された「Face IDを搭載したiPhoneのバッテリー残量(%)の表示」、iOS 17で実装されたカメラアプリの「水平」機能がパッと思いつきます。
確かにユーザーからのフィードバックの中には、Appleの信条上実現が難しい要望が数多くあると推察しますし、それらすべてを実現するべきだとはまったく思いませんが、上で挙げたような機能であればなるべく早く実装してもらいたいと感じます。
筆者:
Appleに関する投稿を普段されていますが、どうしてそのような発信をしようと考えたのでしょうか。
Karagana氏:
ある日突然「Appleについての発信をしよう」と思い立った訳ではありませんが、普段からAppleについて四六時中考えている者として、頭の中の内容を投稿し始めたのがスタートです。自分の周りにこうした話ができる人がまずいなかったのもあり、無意識的にアウトプットしたかったのだと今になって感じます。
実際に現在のような投稿をし始めてから思ったのは、意外にもAppleについての考察であったり、ある程度根拠に基づいた予想をしているアカウントは(少なくとも日本語圏だと)少ないということです。自分が唯一無二の発信をしている気ではいませんが、リーク情報を発信したり、新しい製品や機能を紹介している人の方が多くいらっしゃるのは事実なので、そうした中で「自分ができることはなんだろう」という意識は常に持っています。
筆者:
Appleについて好きなエピソードはありますか?
Karagana氏:
何かひとつ挙げるとすれば、「Thoughts on Flash」になると思います。世の中やライバル企業が何と言おうとも、Appleが「自分たちの正しいと信じていること」を曲げない、Steve Jobs亡き後の現在のAppleにも受け継がれている行動原理が垣間見えます。気になった方は是非調べてみてください。
筆者:
いまのAppleについてどんな感想を抱いていますか?
Karagana氏:
難しい質問ですね。新製品が発表される度にSteve Jobsの時代と比較されたりと、様々な意見が飛び交う昨今のAppleですが、私は今も昔も変わらぬ一貫性を持った会社だと思っています。
この一貫性があるからこそ、Appleをウォッチすることの面白さが倍増すると言っても決して過言ではありませんし、たまに「 ? 」と思うような発表があった時にも「きっと大丈夫」と安心して見ていられる材料になっています。
Steve Jobs亡き後の難しい舵取りをしてきたTim Cookも近いうちにCEOを退任という報道もなされている中で、もし新しいCEOが今後就任した際にも「この一貫性だけは持ち続けてほしい」という願望は持っていますが、これは私が心配することでもない気がします(笑)
筆者:
最後にテック系の話題で、Apple以外に好きなものはありますか?
Karagana氏:
テック分野以外で言うと登山が好きです。最近まで忙しくしていた関係であまり行けていませんが、せっかくApple Watch Ultra 2を持っているので、今年は同製品を連れて沢山冒険したいですね。
テックとは直接関係のない分野にも視野を持っておくことで、手広く製品やサービスを展開するAppleを多角的視点で見ることができると思います。それを狙って登山を始めた訳ではないですが(笑)
筆者:
ありがとうございました!
おわりに:本企画について
今回のインタビューでは、Karagana氏がこれまでどのようにAppleと向き合ってきたのか、その歩みをうかがうことができた。
幼少期からMacに親しみ、さらにAppleサマーキャンプでの体験を通じて、製品を使うだけでなく「自分で試し、考える」姿勢を身につけていったことが、現在の発信スタイルにつながっているという。単にリーク情報を追いかけるのではなく、過去の事例やAppleの思想を踏まえて意見を発信している点がとても印象的だった。
また、必要以上に製品を集めるということはせずに「いまの自分に必要なものを使う」という考え方、そしてMac Pro(Late 2013)への強い思い入れからは、Appleという企業を長年見続けてきたユーザーならではの「距離感」が感じられた。
本誌の読者の一人でもあるKaragana氏だが、今後は「寄稿」という形で登場する機会があるかもしれない。Karagana氏がどのような視点でAppleを語ってくれるのか、楽しみにしていただきたい。
なお、今回のインタビュー企画は、「企業の要職にある方々」だけでなく、「本誌を読んでくださっている読者の方々」にも目を向けてみたい、という思いから生まれたものだ。
今後も、今回のように「話してもいいよ」という方がいれば、読者へのインタビューを行っていきたいと考えている。もしご興味のある方がいれば、筆者(X:@NANA_CoRRiENTE あるいは メール:press@corriente.top)までご連絡いただければ幸いだ。
また、Karagana氏と同様に、弊誌への寄稿に興味のある方(プロ・アマ問わず)からのご連絡も歓迎したい。本誌を支えてくださっている読者の声を、少しずつでも記事という形で紹介していければと思う。
