Appleが開発しているのは、ARメガネかそれともAR HMD(ヘッドセット)なのか。ここ最近、両製品に関する噂情報が交錯しているが、Bloombergの名物記者Mark Gurman(@markgurman)氏の報告から、Appleはどちらか一方ではなく両方のAR製品を開発していることがわかった。
AppleはARメガネとARヘッドセットの両方を開発中
Mark Gurman氏によれば、Apple Glassと言われるARメガネが2022〜23年に発売予定。ARとVRが組み合わせられたヘッドセットは2021年に発表され、2022年に発売する予定だ。
AppleのARメガネとARヘッドセット、両方の詳細について現時点でわかっていることは少ないが、iOSの中からARヘッドセットのものと思わしき情報が発見されるなど、いくつか証拠が見つかっている。また、著名リーカーJon Prosser(@jon_prosser)氏は 「(ARグラスの)プロトタイプをこの目で見た」 とも話しており、両製品の開発が進んでいる様子が窺える。
AppleがARグラスとARヘッドセットを同時に開発しているという情報は2019年末にThe Informationが伝えた情報と一致する。やはりこの情報は事実だったようだ。
Here’s where I think the confusion is: There are two devices: An Apple mixed AR and VR headset (N301) that is planned to be announced as early as 2021 (delayed from 2020) and released in 2022. There is also the pure AR glasses (N421) that won’t launch till end of 2022 or 2023.
— Mark Gurman (@markgurman) May 21, 2020
Apple Glassには特別仕様の 「Steve Jobs Heritage Edition」 が存在?
前述のJon Prosser氏の報告から、ARメガネ 「Apple Glass」 には特別仕様の限定モデルが用意されている可能性があることがわかった。その名も 「Steve Jobs Heritage Edition」 。かのスティーブ・ジョブズの名を冠したモデルだ。
この情報は海外Apple系メディアCult of Macのポッドキャスト番組 「The CultCast」 に出演したJon Prosser氏が伝えたものだ。同氏は最近好調なリーカーで、iPhone SE(第2世代)やMacBook Pro(2020,13-inch)の発売日をズバリと言い当てた人物。
同氏によれば、Apple Glassの 「Steve Jobs Heritage Edition」 はスティーブ・ジョブズが着けていた丸メガネのデザインを採用したApple Glassになる可能性があるとのこと。通常モデルとは形から異なるようだ。
初代Apple Watchに用意されていた18金製 「Apple Watch Edition」 と同じ位置付けの製品、と捉えればイメージしやすいのではないだろうか。ただし価格や使用される素材など詳細についてはよくわかっていないという。
また、Jon Prosser氏は通常モデルのApple Glassのデザインについても言及しており、Ray-Ban(レイバン)のWAYFARER、もしくはAppleのCEOティム・クック氏がかけているメガネにも似ているという。
Jon Prosser氏は以前、Apple Glassについて左右両方のレンズがディスプレイになった製品と伝えていた。ディスプレイに映し出される映像のUIは 「Starboard」 と呼ばれ、ヘッドセット前でハンドジェスチャーをすることでコントロールできるようになっているという。また、Apple独自のQRコードを読み取ることができるという。
iPhoneから送られるデータによって動作される仕組みで、初代Apple Watchと同じくスタンドアロンでは動作できない設計になっているようだ。
また、メガネ型デバイスということでサングラス機能を切望する声も上がっていたが、着色レンズでは同ARメガネはうまく動作しないため、サングラス版は用意されないとのことだ。
メガネのツルの部分にはLiDARスキャナが搭載されていたとのこと。そのほかのカメラについては、プライバシー配慮のため現在は搭載されていないという。充電はワイヤレス充電によって行うとのこと。プラスチックのスタンドが用意されており、そこにApple Glassを裏返すように置いて充電するのだとか。
価格は499ドルで、度入りレンズも装着できる設計になっているという。発表は2020年第4四半期~2021年第1四半期 (2020年9月~2021年3月) 。発売は2021年第4四半期以降になる見通しだ。
「Kuo氏は間違っている」 とする ”Jon Prosser氏の指摘” は間違い
ちなみにApple Glassについて、Jon Prosser氏は著名アナリストMing-Chi Kuo氏の情報を間違っていると指摘していた。しかし今回のMark Gurman氏の発言から、”Kuo氏が伝えていた情報”と “Jon Prosser氏が伝えていた情報” は完全に別の製品のものであったことがわかった。
Jon Prosser氏はARメガネ、つまりApple Glassのことを指しており、Kuo氏はARヘッドセットのことを指して発言していた。
Kuo氏によれば、Appleが開発するARヘッドセットはVRも利用できる仕様になっていて、Oculus Questのようなデザインになることを予想している。Kuo氏は2022年にARヘッドセットが登場すると伝えており、Mark Gurman氏と一部分の予想が一致している。
AppleのAR製品に関する情報には大きな混乱が生じていたが、Mark Gurman氏の発言のおかげで無事に整理することができた。AppleはARメガネとARヘッドセットを開発している。
関連記事
・Apple Glassは2021年に発売か。少量生産が2021年前半に開始との情報
・AppleのARグラス 「Apple Glass」、価格は499ドルから 発表は早くて2020年Q4、発売は2021年Q1~2022年Q2