
アマゾンジャパンは、メッシュWi-Fiルーターを手がける傘下ブランド 「eero (イーロ)」 から、5つのメッシュWi-Fiシステムを販売中だ。
その5モデルとは、「eero 6+」 「eero Pro 6E」 「eero 7」 「eero 7 Pro」 「eero Max 7」 。これらのモデルは、Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E/Wi-Fi 7に対応しており、ユーザーのニーズに応じた選択肢を提供できるラインアップになっている。
本稿では、それぞれのモデルの特長をチェックし、性能の違いを比較してみた。どのモデルがあなたの生活やビジネスに最適なのか一緒に探っていこう。
メッシュWi-Fiとは
メッシュWi-Fiは、複数のWi-Fiルーターや中継機をメッシュ(網目)状に連携させることで、家の隅々まで強いWi-Fi信号を届け、電波の死角や速度低下を最小限に抑えて家中どこでも安定したインターネット接続を実現する仕組み。子機を買い足すことでネットワークを拡張することもでき、セットアップも簡単なものが多い。
各モデルの性能について
eero 6+

最大1ギガビットの通信速度を手頃な価格で提供する、「Wi-Fi 6」 エントリーモデル。
最大のカバー範囲は、1ユニットで140平方メートル、2ユニットで280平方メートル、3ユニットで420平方メートル。2.4GHz帯と5GHz帯 (160MHzチャネルをサポート) のデュアルバンドで安定したネットワークを提供し、約75台のデバイスとの同時接続をサポートする。
ワンルームで多くの機器を使用する方や、1LDK/2LDKに住む2~3人の家族などでの使用におすすめ。
eero Pro 6E

2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯でギガビット以上の速度を実現する、「Wi-Fi 6E」 中級モデル。
最大カバー範囲は、1ユニットで190平方メートル、2ユニットで380平方メートル、3ユニットで560平方メートル。1ユニットで約100台のデバイスとの同時接続をサポート。
最新規格の 「Wi-Fi 7」 には対応しないものの、トライバンド対応で 「Wi-Fi 6E」 対応デバイスを6GHz帯へ接続し、2.4GHz、5GHz帯のデバイス干渉を減らすことで、Wi-Fi 6E非対応デバイス含むネットワーク全体での遅延を解消し、快適なネットワーク環境を実現する。
戸建てなどの広めの居住スペースに住んでいて、Wi-Fi 6E対応デバイスを含め多数の機器でAR/VR、4K〜8K動画などのネットワークに負荷がかかるようなコンテンツを楽しみたい方におすすめ。
eero 7

最新規格のパフォーマンスを手頃な価格で実現する 「Wi-Fi 7」 中級モデル。本体はコンパクトデザインで、本棚、デスク、テレビ台など様々な生活空間に収まる丁度良い大きさを実現した。
最大カバー範囲は、1ユニットで190平方メートル、2ユニットで380平方メートル、3ユニットで560平方メートル。2.4GHzと5GHzのデュアルバンドシステムに対応し、2つの2.5GbEポートを通じて最大1.8Gbpsの無線速度と最大2.3Gbpsの有線速度を提供する。
最新の 「Wi-Fi 7」 に対応するものの、デュアルバンド対応とすることで価格を抑えたモデル。アパートや戸建てに少人数で住んでいて、接続デバイス数は少ないものの、高速かつ安定した通信を得たい人にオススメ。
eero Pro 7

最新規格 「Wi-Fi 7」 に対応し、2.4GHz、5GHz、6GHzの3つの周波数帯に対応したトライバンドシステムが利用できる上級モデル。
最大カバー範囲は、1ユニットで190平方メートル、2ユニットで380平方メートル、3ユニットで560平方メートル。トライバンドシステムによってネットワーク容量を増加させて混雑を解消し、たくさんのデバイスが接続していても常に高いパフォーマンスを保ち続ける。約200台のデバイスとの同時接続をサポートし、本体の2つの5GbEポートを通じて最大3.9Gbpsの無線速度と最大4.7Gbpsの有線速度を提供する。
高速インターネットプランを契約していて、日頃から100台以上のデバイスが同時にインターネットに接続し、動画ストリーミングやオンラインゲーム、オンライン会議などを絶えず行っているような環境にオススメのモデルだ。
eero Max 7

最新規格 「Wi-Fi 7」 に対応し、2.4GHz/5GHz/6GHzの無線周波数帯域に対応するトライバンドシステムが利用できる最上級モデル。カバーできる範囲は、1ユニットで230平方メートル、2ユニットで460平方メートル。2つの10Gbpsイーサネットポートで、有線で最大9.4Gbps、無線で最大4.3Gbpsの速さを実現する。約200台のデバイスとの同時接続をサポート。
ゲーマーやストリーマー、コンテンツ・クリエーターなど高負荷なネットワーク接続を求めるユーザーに加えて、小規模なカフェやショップ等でWi-Fiサービスを提供する経営者やSOHO事業者、今後の接続機器の増大やWi-Fi 7対応デバイスへの備えとして上位機種を求めるユーザーにおすすめ。
Wi-Fi規格

項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6 (IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) | Wi-Fi 6E (IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) | Wi-Fi 7 (IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be) |
対応するWi-Fi規格は、「eero 6+」 がWi-Fi 6 (802.11ax)、「eero Pro 6E」 がWi-Fi 6E (802.11ax)、 「eero 7」 「eero Pro 7」 「eero Max 7」 がWi-Fi 7 (802.11be)。Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6の拡張版として従来の2.4GHz帯と5GHz帯に加えて6GHz帯の周波数帯を利用できるようになったことで、他デバイスとの干渉が少なく、より多くのデバイスが高速に通信することが可能。
一方で、Wi-Fi 7はWi-Fi 6Eを基盤に約3.7倍の通信を可能にした最新規格だ。最大320MHzの帯域幅をサポートしており、より多くのデータを同時に送信できる。
バンドの構成

バンド構成は 「eero 6+」 「eero 7」 がデュアルバンド (2.4GHz, 5GHz) で、「eero Pro 6E」 「eero Pro 7」 「eero Max 7」 がトライバンド (2.4GHz, 5GHz, 6GHz)。対応デバイスがあれば、高速・低遅延の6GHz帯の周波数が利用できる 「eero Pro 6E」 「eero Pro 7」 「eero Max 7」 の方が快適な通信を利用できる。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
バンド構成 | デュアルバンド | トライバンド | デュアルバンド | トライバンド | トライバンド |
対応周波数帯 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 6GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 6GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:4×4 6GHz:4×4 |

また、最新iPhoneなどMIMO (Multiple Input Multiple Output) に対応するデバイスを使用する場合は、送受信アンテナの数にも注目だ。「eero 6+」 「eero Pro 6E」 「eero 7」 「eero Pro 7」 はいずれの周波数帯も2×2 MIMO (送信アンテナが2本、受信アンテナが2本) で、「eero Max 7」 のみ2.4GHz帯は2×2 MIMOであるものの、5GHz帯と6GHz帯は4×4 MIMO (送信アンテナが4本、受信アンテナが4本) 。
送受信アンテナが多いほどより高速で安定した通信が利用できるため、4×4 MIMO対応デバイスが大量にあるオフィスなどで利用する場合は 「eero Max 7」 がおすすめだ。
イーサネットポート


イーサネットポートは 「eero Max 7」 のみ4ポートで、それ以外のモデルが2ポート。いずれのポートも入出力に対応するため、モデムとの接続が可能だ。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
イーサネットポート | 2 (1Gbps x2) | 2 (2.5Gbps, 1Gbps) | 2 (2.5Gbps) | 2 (5Gbps) | 4 (2.5Gbps x2, 10Gbps x2) |
ただし搭載するイーサネットポートのデータ転送速度がそれぞれ異なっていて、「eero 6+」 が2ポートとも1Gbps、「eero Pro 6E」 は1Gbpsと2.5Gbpsがそれぞれ1ポートずつ、「eero 7」 は2.5Gbpsが2ポート、「eero Pro 7」 は5Gbpsが2ポート、そして 「eero Max 7」 が10Gbpsと2.5Gbpsがそれぞれ2ポートずつとなる。
同時接続数

同時接続台数は、それぞれ 「eero 6+」 が約75台、「eero Pro 6E」 が約100台、「eero 7」 が120台、「eero Pro 7」 と 「eero Max 7」 が約200台。同時に接続するデバイスが増えると、各デバイスに割り当てられる帯域幅が減少し、通信速度が低下する可能性があるため、快適な通信を実現するためにはしっかりと考慮する必要がある。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
同時接続台数 | 約75台 | 約100台 | 約120台 | 約200台 | 約200台 |
一般家庭においては 「eero 6+」 の約75台でも十分過ぎるくらいだが、カフェやオフィスなどたくさんの人が接続する環境での利用を想定しているなら、同時接続数が多い上位モデルを選ぶべきだろう。
通信範囲

eeroデバイスはメッシュWi-Fiシステムのため、ユニットを追加することでWi-Fi通信の最大範囲が広がる仕組みだ。
1ユニットでの通信範囲は、それぞれ 「eero 6+」 が140㎡、「eero Pro 6E」 「eero 7」 「eero Pro 7」 が190㎡、「eero Max 7」 が230㎡。さらに2つのユニットを追加して合計3台で運用した場合、通信範囲はそれぞれ420㎡、560㎡、698㎡まで拡大する。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E/eero 7/eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|
通信範囲:1ユニット | 140㎡ | 190㎡ | 230㎡ |
通信範囲:2ユニット | 280㎡ | 380㎡ | 460㎡ |
通信範囲:3ユニット | 420㎡ | 560㎡ | 698㎡ |
ちなみに、参考として1Kが約20~25㎡、2Kが約30~40㎡、1LDKが約35~50㎡、2LDKが約55~80㎡、3LDKが約60~125㎡とされているため、一般的な家庭であれば1〜2台あれば十分なはずだが、階数が異なると通信しづらくなることも多いため、ご自宅が階数が多いならば少し多めに購入したほうが良いかもしれない。
eeroビルトイン

eeroデバイスは、対応するAmazon Echoデバイスを中継機として利用することで、Wi-Fiの範囲を拡張できる 「eeroビルトイン」 機能が提供される。現在販売中のeeroデバイス全モデルで利用可能だ。
現時点で対応するEchoデバイスは、Echo Pop、Echo Dot (第4/第5世代) 、Echo Dot with clock (第4/第5世代) 、Echo (第4世代) だ。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
eeroビルトイン機能 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
同機能は5GHz帯のみ対応し、eeroルーターのWi-Fiネットワークにおいて最大範囲92㎡、最大速度100Mbps、約10台のデバイスの同時接続をサポートする。すでに対応するEchoデバイスを持っている場合は、手軽にeeroルーターのWi-Fiネットワークを拡張することが可能だ。ただし、Alexaホームシアターとの同時使用はできないので注意していただきたい。
スマートホームハブ

eeroデバイスはいずれのモデルもスマートホームハブが内蔵されていて、Zigbee、Matter、Thread対応のスマートホーム製品をAlexaとペアリング可能。ただし、eeroデバイスはAlexaを搭載していないため、スマートホーム製品をコントロールするにはEchoなどのデバイスとAlexaアプリが必要だ。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero 7 Pro | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
Zigbeeスマートホームハブ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Thread | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Matter | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
全スペック比較表
以下がすべてのスペック比較表だ。5モデルを一挙に比較したい場合に利用してみてほしい。
項目 | eero 6+ | eero Pro 6E | eero 7 | eero Pro 7 | eero Max 7 |
---|---|---|---|---|---|
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 7 | Wi-Fi 7 | Wi-Fi 7 |
バンド構成 | デュアルバンド | トライバンド | デュアルバンド | トライバンド | トライバンド |
対応周波数帯 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 6GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:2×2 6GHz:2×2 | 2.4GHz:2×2 5GHz:4×4 6GHz:4×4 |
最大速度 | 無線:1Gbps 有線:1Gbps | 無線:1.6Gbps 有線:1Gbps | 無線:1.8Gbps 有線:2.3Gbps | 無線:3.9Gbps 有線:4.7Gbps | 無線:4.3Gbps 有線:9.4Gbps |
IPV6 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
IPoE対応 | 2025年6月10日出荷分より対応 (既存製品は2025年夏にアップデートで対応予定) | 2025年6月10日出荷分より対応 (既存製品は2025年夏にアップデートで対応予定) | ◯ | ◯ | 2025年6月10日出荷分より対応 (既存製品は2025年夏にアップデートで対応予定) |
暗号化規格 | WPA3, WPA2 | WPA3, WPA2 | WPA3, WPA2 | WPA3, WPA2 | WPA3, WPA2 |
イーサネットポート | 2 (1Gbps x2) | 2 (2.5Gbps, 1Gbps) | 2 (2.5Gbps) | 2 (5Gbps) | 4 (2.5Gbps x2, 10Gbps x2) |
同時接続台数 | 約75台 | 約100台 | 約120台 | 約200台 | 約200台 |
通信範囲:1ユニット | 140㎡ | 190㎡ | 190㎡ | 190㎡ | 230㎡ |
通信範囲:2ユニット | 280㎡ | 380㎡ | 380㎡ | 380㎡ | 460㎡ |
通信範囲:3ユニット | 420㎡ | 560㎡ | 560㎡ | 560㎡ | 698㎡ |
eeroビルトイン機能 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Zigbeeスマートホームハブ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Thread | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Matter | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Bluetooth | Bluetooth Low Energy 5.0 | Bluetooth Low Energy 5.0 | Bluetooth Low Energy 5.0 | Bluetooth Low Energy 5.0 | Bluetooth Low Energy 5.0 |
本体サイズ | 99.4 x 97 x 65.9mm | 139 x 139 x 55.23mm | 130 x 130 x 64mm | 146.6 x 180.4 x 78.7mm | 183.9 x 221.89 x 89.9mm |
税込価格 | 1ユニット:15,800円 2ユニット:27,800円 3ユニット:39,800円 | 1ユニット:34,800円 2ユニット:58,800円 3ユニット:79,800円 | 1ユニット:19,800円 2ユニット:34,800円 3ユニット:49,800円 | 1ユニット:44,800円 2ユニット:75,800円 3ユニット:99,800円 | 1ユニット:89,800円 |
なお、eeroのルーターには、別途有料のサブスクリプションサービス 「eero Plus」 が用意される。高度なオンラインセキュリティ機能やペアレンタルコントロール (コンテンツフィルターや特定のアプリへのアクセスのブロックなど) 、パスワード管理の 「1Password」 、マルウェア保護の 「Malwarebytes」 、DNSFilter社が提供するVPN機能 「Guardian」 、ウェブサイト閲覧時のポップアップなど一部の広告をブロックする機能といったサービスが利用できるため、これらの機能が欲しい方はあわせてご検討いただきたい。
(画像提供:アマゾンジャパン)