米Reutersは、iPhoneの組み立て会社で知られるFoxconnが、インドで最新iPhoneの生産を開始すると伝えている。生産を開始するのは2019年の早い時期。Foxconnがインドで最新iPhoneを生産するのは、米中貿易摩擦の緩和とAppleのApple Storeインド進出など、いくつかの”狙い”が透けて見える。
今回のReuterの報道によると、Foxconnがインドで製造するのは 「フラグシップモデル」 。これまでも台湾Wistronが、インド国内でiPhoneの製造をしており、現地の雇用を創出してきた。しかし、インドで製造されてきたのは主にiPhone SEなどの安価で旧型のモデルだったため、iPhone XS/XS Maxが初めてインド国内で生産されることになる見込み。
最新iPhoneがインドでも生産開始へ
Foxconnはインド国内のiPhone製造拡大のため、250億ルピー (約395億円) を投資すると、タミル・ナードゥ州の工業大臣M C Sampath氏がReuterのインタビューに対して答えている。Foxconnはすでにインド国内で中国Xiaomiのスマートフォンを製造しているが、それとは別にiPhoneの製造を開始するとみられる。インドの現地紙も伝えている。
この動きは、主に米国と中国の間に発生している、米中貿易摩擦問題を緩和するためのものと予想される。また、Appleは成長著しいインド国内にApple Storeをオープンさせるべく、国内生産比率を30%まで引き上げる必要があることも影響しているのだろう。
インドでは、特定のブランドのみを扱う店舗を出店するには、店舗に並ぶ商品の30%を国内で生産する必要があるという規制がある。多くの製品を中国で製造するAppleは同規制をクリアすることができておらず、いまだにApple Storeをインドにオープンすることができていない。最新iPhoneをインドで製造開始することで、悲願のApple Storeインド進出への一歩となるかもしれない。
ただし、問題はiPhone XS/XS Maxの売れ行きがあまり良くない、ということ。世界全体でも販売が落ちていると報じられているだけでなく、インドでは依然としてiPhone 8よりも前の端末が人気であるため、仮にiPhone XS/XS Maxの製造を開始したとしても国内製造比率の引き上げに大きく影響することはなさそうだ。ちなみに、インド国内のスマートフォン市場で、iPhoneは全体の1%のシェアと厳しい結果も出ており、Appleはインドでのビジネスに苦戦している。