現地時間6月4日、Appleの年次開発者会議「WWDC 2018」が米サンノゼで開幕した。イベント初日の基調講演では注目の「iOS 12」が発表されているが、同時に次期macOSの正式発表も行われている。
次期macOSの名称は「macOS 10.14 Mojave(モハーヴェ)」。アメリカのカリフォルニア州・ユタ州・ネバダ州・アリゾナ州に広がる大きな砂漠「モハーヴェ砂漠」の名前が採用された。「Mojave」という名称に関しては、Appleが複数国で商標登録をしていたことが事前のリークで明らかになっていたが、これはやはり次期macOSで使うためだったようだ。
「macOS 10.14 Mojave」では、ユーザーインターフェイスを黒を基調とした色調に変更する「ダークモード」が新たに搭載。また、Appleが昨年リリースした新ファイルシステム「APFS」がFusion Driveを搭載したMacでも利用できるようになるなどの変更が行われる予定だ。
上記を含めた「macOS Mojave」の新機能や変更点を以下にまとめてみた。Macをお持ちの方は是非確認していただきたい。
- 真の「ダークモード」が搭載
- デスクトップ自動整理機能「デスクトップ・スタックス」
- ギャラリービュー
- スクリーンショット機能の強化
- Continuity Camera
- セキュリティ向上・不正トラッキング防止
- Home・株価・ボイスメモアプリが利用可能に
- Mac App Storeの大改革
- 「APFS」がFusion Drive/HDDでも利用可能に
- 「News」アプリがmacOSに登場
- 2019年以降にiOSアプリがMacでも動作
UIを黒を基調とした色調に変更する「ダークモード」
「macOS 10.14 Mojave」の最大の目玉機能とも言える「ダークモード」。これは、macOSの基本UIを「白」から「黒」に変更することができる機能。
現行の「macOS 10.13」ではメニューバーやドックを黒くすることができたが、次期macOSではウィンドウ全体をブラックにすることができる。ある意味、Appleらしからぬデザインではあるものの、WWDC基調講演の参加者をはじめ世界中のユーザーから「カッコいい」と高評価を得ることができているようだ。
ちなみに以下の画像は、純正の「メール」アプリと「カレンダー」アプリ。当初は純正アプリと一部の大手アプリのみが対応していることが予想されるが、サードパーティ製アプリも徐々に「ダークモード」に対応していくものと予想される。
また、デスクトップの壁紙に関しては「朝」「昼」「夜」で自動的に切り替えできるようになっているとのこと。基調講演では、夜の時間帯になると同時に自動的に「夜のモハーヴェ砂漠」の壁紙に切り替わる様子がデモンストレーションされていた。
ゴチャゴチャしたデスクトップを片付ける「デスクトップ・スタックス」
ショートカットや画像ファイル、メモや旅行の写真、資料が詰まった無数のフォルダ。あなたのMacのデスクトップはこれらでゴチャゴチャになってないだろうか。
もしそうなら新機能の「デスクトップ・スタックス」がきっと役に立つだろう。同機能は、デスクトップにあるファイルを自動的にスタック、つまり「重ねてくれる」というものだ。
それぞれのファイルを日付ごと、あるいは種類ごとに自動的に分類。デスクトップの右端に置いておくことが可能だ。ゴチャゴチャしたファイルを常に整理整頓、面倒くさがりなあなたもこれで快適な環境で仕事ができるように。
「ギャラリービュー」機能の搭載
Macのファイルマネージャー「Finder」に、新しくギャラリー表示機能が搭載される。
またクイックアクションが増え、複数のファイルを自動的にまとめるなどスマート機能が充実。動画であれば簡単な動画編集も可能となる。また、写真のメタデータなどもサイドバーに表示することができるという。
さらに「クイックルック」にも便利なアップデート、「マークアップ機能」を利用することが可能になっている。実際の使用例は上記の画像。ドキュメントの右下に「クレイグ・フェデリギ」という署名を挿入することができている。
そのほか、アプリケーションを立ち上げることなく画像編集ができたりと地味に便利な機能が搭載。動画であればトリミングも可能だ。
スクリーンショット機能の強化
スクリーンショットの撮影はiOSと同じく、撮影したプレビューが画面右下に表示される仕組み変更に。撮影後のスクリーンショットはすぐにマークアップ(編集)することができるという。
また、これまでは静止画しか保存できなかったスクリーンショットも、これからは動画で押さえることができるように。
iPhoneのカメラと連携強化「Continuity Camera」
Macで行う作業を、iPhoneのカメラを使ってもっと素早くできるように。次期macOSで導入される「Continuity Camera」は、iPhoneのカメラで撮影した画像を、すぐにMacに送って加工したり、資料に挿入することができるという機能。
Macのアプリ側から「iPhoneで写真を撮影する」といったオプションを選択することで、iPhoneのカメラが起動し利用可能になるという。ちなみに、iPhoneで撮影したスクリーンショットやカメラアプリで撮影したドキュメントのスキャン画像でも利用可能だ。
セキュリティ向上・不正トラッキング防止
次期macOSはセキュリティ・プライバシー機能が向上、Appleの純正アプリ「Safari」は、トラッキングからユーザーを守ることができるようになる。具体的には各サイトのSNSボタンやコメントなどをシャットアウトすることができるだけでなく、クッキー情報を利用しているサイトを検知することもできるとのこと。
さらにセキュリティの範囲を拡大し、マイクやカメラといったコンポーネントも保護対象に含まれるように変更されている。また、最新の「MacBook Pro」では「Touch ID」による指紋認証が可能だが、この指紋のトラッキングを防止する機能も搭載される。
Home / 株価 / ボイスメモアプリが利用可能に
これまでiOS専用アプリだった「Home」アプリ、そして「株価」アプリと「ボイスメモ」アプリがいよいよMacでも利用可能になる。
特に嬉しいのは「Home」アプリが利用できるようになったこと。「HomeKit」がiOSに導入されてからというもの、Appleの製品は様々なスマート家電と連携できるようになった。しかし、Macだけは例外で「Home」アプリがないばかりにスマート家電にアクセスするのは難しく、「スマートホーム」のエコシステムに加わることができていなかった。
「Home」アプリが導入されることで、ようやくMacからもスマート家電を操作できるようになる。Appleはスマートスピーカー「HomePod」を一部の国で販売しているが、同デバイスとの連携も今まで以上にできるようになるはずだ。
以下は、ボイスメモアプリと株価アプリのスクリーンショット。
ニュースアプリもMacに登場。ただし、日本は未だ未対応となっている。
Mac App Storeの大改革
「Mac App Store」は2011年にリリースされて以降、ほとんど手が加えられていない古いサービスだ。お世辞にも使い勝手は良いとはいえず、一部のアプリ開発者が同ストアから撤退を表明したこともあった。
しかし、ようやくMac App Storeにもメスが入ることに。今回の発表で、Mac App Storeは、iOS版のApp Storeライクなデザインに変更されることが明らかにされた。「Discover」や「Create」「Work」「Play」「Develop」「Categories」など複数のタブが用意され、ユーザーがアプリを探しやすくなるという。また、大きな画像やプレビュー動画を掲載できるようになりビジュアル的にもアプリの魅力をアピールできるようになりそうだ。
番外編:2019年以降にiOSアプリがMacでも動作
ちなみに、今回の発表で「iOSアプリ」が「macOS」で動作するクロスプラットフォームの仕組みを開発していることを明かした。ただし、iOSとmacOSの融合があり得るのか、という質問に対しては「No.」を突きつけている。
「iOSアプリ」で動作させる機能については、段階を踏んで実装する考えであるようだ。具体的には開発者向けには2019年以降に提供を開始する予定で、それまではまず自社の公式アプリを使ってテストをしていくとのことだ。
今回の「macOS 10.14 Mojave」では前述の「株価」「Home」「ボイスメモ」「ニュース」アプリをMacに導入することを決定したようだ。
「macOS 10.14 Mojave」が利用できるデバイスは以下のとおり。
・MacBook Air (Mid 2012以降)
・MacBook Pro (Mid 2012以降)
・Mac mini (Late 2012以降)
・iMac (Late 2012以降)
・iMac Pro (2017)
・Mac Pro (Late 2013またはMetal対応GPUを搭載したMid 2010 or Mid 2012)
「macOS 10.14 Mojave」の正式リリースは「iOS 12」と同じく2018年秋。基調講演終了後すぐに開発者向けにデベロッパー版が公開されているので、開発者の方々は早速インストールしてみよう。
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