アプリ開発者たちは、より優位な立場でAppleと交渉できるようになることを望んでいるようだ。Wiredによると、一部のiOSアプリ開発者たちが「Developer Union」という団体を設立し、徐々に同団体の発言力が増してきている。
この「Developer Union」は設立からまだ日が浅いが、会員数はすでに数千人に拡大。今年6月の開発者向けイベント「WWDC 2018」の開催までに、2万人の会員を集めることを目指しているという。
一部のiOSアプリ開発者が「Developer Union」を結成
同団体の創設者はJake Schumacher氏、Roger Ogden氏、Loren Morris氏、Brent Simmons氏の四人。最後のBrent Simmons氏はMarsEditなどの有名アプリを開発した人物だ。
「Developer Union」に加入するための資格や条件などは一切なく、会費なども存在しない。また、投票などを行う機会も存在せず、あくまでも「伝統的な組合」とは異なる。
それでは、なぜ「Developer Union」は誕生したのか。この団体の目的は、Union(組合)の規模を大きくすることで、Appleに対する要望を通りやすくするため。具体的な要望等が掲げられているわけではないものの、おそらくいくつかの要望があるのだろう。
考えられるのはApp Storeで配信するiOSアプリ等に「トライアル(お試し)期間」を設定できるように変更させること。高価なアプリケーションはなかなか手が出しづらいものだが、「お試し期間」を設定することで購入までのハードルを下げることができると期待される。有料アプリを開発する開発者にとっては、とても重要な変更だ。
ちなみに、2018年1月から「有料サブスクリプション(定期購読)」制を導入しているアプリについてはトライアル期間を利用することが可能になっているが、これを買い切りアプリにも拡大することをユニオンは望んでいるのかもしれない。
また、App Storeの収益配分率の変更についても要求することを視野に入れている。
現在のApp Storeの収益分配率は開発者70% なのに対し、Appleの取り分は30% となっているが、「Developer Union」はこの配分率をより開発者に収益を生むものにしたいと考えているようだ。
この収益配分率に関しては2016年6月から、サブスクリプション(定期購読)制を導入したアプリの場合は「85:15」に変更されているが、買い切りアプリに関してはまだ以前の分配率から変更はない。
ちなみに他社の収益分配率について触れると、Googleの場合はAppleと同じ分配率を掲げているが、Microsoftに関しては先日の発表で「95:5」に変更することを明らかにしている(一定の条件下において)。
Appleにとって、アプリ開発者はApp StoreやMac App Storeを豊かにするための重要なパートナーだ。もし、開発者たちの団体が規模を拡大した場合、当然ながら無視できない存在となり得るだろう。そうなった場合に、どこかのタイミングで同団体の要望を汲み取る必要があるはずだ。