
Valveは11月13日、新しいSteamハードウェア製品としてVRヘッドセット「Steam Frame」を発表した。2026年初頭に出荷開始予定で、価格や詳細な発売日については未定。日本では公式販売パートナーのKOMODOから販売される。
Steam DeckのDNAを受け継ぐ、SteamOS搭載スタンドアロンVR

Steam Frameは、Snapdragon 8 Gen 3 (4nm) と16GB LPDDR5X RAMを搭載するスタンドアロン型のVRヘッドセットだ。
OSにはSteam Deckと同じ「SteamOS」を採用しており、VRタイトルはもちろん、Steamライブラリにある非VRゲームのプレイにも対応する。つまり、PCを用意しなくても、この1台でSteamの世界をまるごと楽しめる。
本体はヘッドストラップとバッテリー込みで約440gと軽量。モジュラー構造により、コア部分だけならわずか185gに抑えられている。内蔵ストレージは256GBまたは1TBの2モデルが用意され、microSDカードでの拡張も可能だ。
ディスプレイは片目あたり2160×2160ピクセルの液晶パネルで、最大144Hzのリフレッシュレートを実現。視野角は最大110度。パンケーキレンズを採用することで、軽量化と歪みの少ない映像表示を両立した。
さらに、内蔵のアイトラッキング機構を活用したフォビエイテッドレンダリングに対応しており、ユーザーの視線に合わせて描画解像度を動的に最適化する。
Valveによれば、この機能により映像品質と帯域効率が最大10倍向上するという。ストリーミングにも対応しており、同梱の6GHzワイヤレスアダプターをPCに接続することで、低遅延かつ高品質なワイヤレスプレイを実現する。
新設計の「Steam Frame Controller」も同梱

Steam Frameには、新型の専用コントローラー「Steam Frame Controller」が付属する。
6DoFトラッキングとIMU(慣性計測装置)による空間追跡に対応し、フィンガートラッキングや触覚フィードバック(ハプティック)機能も搭載。アナログスティックには、従来のSteamコントローラーにも採用された高精度な磁気センサー方式(TMR)を採用している。
さらに、ボタンを押し込まなくても指の接触を検知できる静電容量式センサーも備え、ジェスチャー操作にも対応。電源は単三電池駆動で、最大40時間の連続使用が可能だ。
音響面でも、両サイドに配置されたステレオスピーカーが高音質再生を実現。左右が逆向きに配置されており、振動を打ち消すことでトラッキング精度を損なわない工夫がなされている。
Valveは2019年に「Valve Index」を発売して以来、VR市場から一定の距離を置いていた。だが、Steam Deckの成功とSteamOSの成熟を背景に、同社は再びハードウェア領域へと本格的に踏み出した形だ。
Steam Frameは、スタンドアロンVRとPC接続型のハイブリッド設計を持つ“デュアルモードデバイス”として、Meta Questシリーズの強力な競合となる可能性が高い。Steamの巨大なゲームライブラリを、PCなしで、あるいはワイヤレスで楽しめる新しい選択肢の提供は、Valveの新たな武器になりそうだ。
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(画像:Valve)






