GeForce NOW、RTX 5080相当対応で最大5K/120fps実現。実際のゲームで新機能を体験してきた

NVIDIAは今年9月、同社が提供するクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」のサーバーに、最新のBlackwellアーキテクチャGPUを導入する「GeForce NOW Blackwell RTX アップグレード」を実施した。

同社はこのアップグレードにあわせて、メディア向けの説明会および体験会を開催。実際にゲームをプレイしながら、新世代クラウドゲーミングの実力を体感することができた。本稿はそのレポート記事となる。

(提供:NVIDIA)

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新サーバーでより高画質・高フレームレートでのゲームプレイが可能に

GeForce NOWは、NVIDIAの高性能サーバー上でゲームを動かし、プレイ映像をストリーミングするクラウドゲーミングサービスだ。ユーザーは自分のPCやスマートフォンから操作するだけで、ローカルのハイエンドPC並みのグラフィックとレスポンスを得られる。

そして、今回のアップグレードにより、最上位プラン「Ultimate」において「GeForce RTX 5080」相当のGPUを搭載した新サーバー「GeForce RTX 5080 SuperPod」が利用できるようになった。

新サーバーのGPUは、理論上の性能がPlayStation 5 Proの約3倍に達し、システムメモリは2倍、VRAMは48GBへと拡張された。AI処理を担うTensorコアも2倍に増強され、CPUにはAMD Ryzen Threadripper Pro(8コア16スレッド)を採用。従来サーバー比で約30%のCPU性能向上を実現している。

この新サーバーによって、Ultimateユーザーは最大5K/120fpsでの映像ストリーミングが可能となり、DLSS 4のマルチフレーム生成や新機能「Cinematic-Quality Streaming(CQS)」など、最新の技術を利用できるようになった。

ちなみに「GeForce Now」には、1ヶ月プランと12ヶ月プランが用意されていて、各プランの中で「Free(無料)」、「Performance(月額1,790円/年額17,990円)」、「Ultimate(月額3,580円/年額35,990円)」の3つのプランを選ぶことができる。ちなみに、1日だけ使える「Day Pass」も提供中で、「Performance Day(650円/日)」と「Ultimate Day(1,300円/日)」という2種類のプランが選べる。

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新機能「Install-to-Play」で対応タイトルが大幅増加

今回のアップグレードで注目すべき機能のひとつが「Install-to-Play」だ。従来、GeForce NOW側が提供するゲームは「Ready-to-Play」と呼ばれており、NVIDIAのリソースを使ってテストや社内作業を経てサーバーにゲームがプリインストールされ、ユーザーが即座にゲームをプレイできるという仕組みだった。

しかし、今回のアップグレードで「Install-to-Play」という機能が導入。NVIDIA側ではなく、ユーザー側でサーバーへのインストール作業をすることで、「Ready-to-Play」で対応していないSteamタイトルも遊べるように。

本機能の導入により、新たに約2,500タイトルがGeForce NOWでプレイできるようになり、「Ready-to-Play」対応タイトルと合わせると合計4,500タイトル以上がプレイできるようになった。

本機能は最上位プランの「Ultimate」だけでなく、「Performance」プランのユーザーも利用できる。どちらも100GBのストレージが用意され、このストレージにゲームをインストールしてプレイする仕組みだ。

Steam Cloud対応ゲームでは、セーブデータは別サーバーでアカウントごとに保存されるため、ゲームの進行状況がリセットされることはないが、「Install-to-Play」用のストレージは、標準ではセッションごとのストレージとなっており、セッションを切断するとインストールしたゲームデータは消える。再度プレイするにはもう一度インストールし直す必要があるので、「Ready-to-Play」のようにすぐにゲームをプレイし始めることはできない点に注意が必要だ。

もしセッション切断後に毎回インストールをするのが面倒なら、永続ストレージをアドオンとして別途購入することもできる。永続ストレージはセッション切断後もインストール済みのゲームデータがクラウド上に残ったままになるため、インストール作業なしでゲームを再開できる。永続ストレージの月額料金は200GBで490円、500GBで840円、1TBで1,390円だ(いずれも税込)。

新機能「Cinematic-Quality Streaming」で暗い部分の色表現が改善

デモ会場では、まずは新機能「Cinematic-Quality Streaming(CQS)」を体験することができた。

2つのディスプレイのうち、左がCQSオフ、右がCQSオンの状態だ。ゲーム内オーバーレイのCodecを見ると、CQSオフの方が「YUV 4:2:0」、CQSオンの方が「YUV 4:4:4」と書かれているのが確認できる。

YUVとは、画像や動画の色情報を、輝度・青方向の色差・赤方向の色差で表現したもので、YUV 4:2:0の場合は4つのピクセル(2×2)に対して輝度は4つ記録するが、青と赤の色情報は1つずつしか記録しないため、暗いシーンの細かいディテールが潰れたり、色が滲むことがあった。

これに対し、YUV 4:4:4は4つのピクセルに対して、輝度も色情報もすべて記録するため、暗い場所の色の表現が大きく改善されている。

CQSオフだと手前の岩場の部分にブロックノイズが入ってしまっている

こちらはアクションRPG『黒神話:悟空』のワンシーン。CQSオフでも明るい部分は全体的に綺麗だが、岩場の影になっている暗い部分にはブロックノイズが入ってしまっている。

CQSオンだときちんと描写されている

対して、CQSオンの方では、同じく岩場の影になっている部分もブロックノイズが入らず、綺麗に描写できている。地下や洞窟などの暗いシーンでも、ローカルPCと遜色ないグラフィックでプレイすることが可能だ。

CQSをオンにすると、その分より多くの色情報を扱うことで転送データ量は約1.5倍に増加するが、高速なネットワーク環境があれば問題なく動作するとしている。

最大5K/120fpsでのストリーミングに対応

新サーバーでは、DLSS 4マルチフレーム生成への対応により、最大5K/120fpsでのストリーミングができるように。デモ会場では、LGの5KウルトラワイドOLEDディスプレイで、アクションアドベンチャー『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』をプレイすることができた。

ゲーム内オーバーレイを確認すると、Resolution(解像度)が5120×2160になっていて、5Kディスプレイにきちんと対応していることが分かる。また、オーバーレイの情報から、ゲーム自体は約165fpsで動作しているものの、ストリーミングとしては約120fpsで転送されていることが確認できる。

今回のデモでは、ゲーム序盤のインディの研究室からイタリア・サンタンジェロ城に至るまでをプレイ。ウルトラワイドディスプレイと高フレームレートのおかげで、敵との殴り合いや建物をよじ登るシーンで高い没入感を感じながらプレイすることができ、クラウドストリーミングとは思えないゲーム体験をすることができた。

ちなみに、『Apex Legends』などの競技向けのゲームをプレイする際には、フレームレートを優先する「Competitive Mode」を選ぶことで、フルHD(1080p)では最大360fps、1440pでは最大240fpsでのストリーミングが可能。「Cinematic Mode」に比べると解像度は落ちてしまうが、フレームレートを優先させたいときには活用したいところだ。

Steam Deck・Lenovo Legion Go Sでフレームレートが向上

今回のアップグレードでは、SteamOSを搭載するハンドヘルドデバイスでのストリーミングのフレームレートも向上している。具体的には、Steam Deckは最大90fps、Lenovo Legion Go Sは最大120fpsでゲームプレイが可能だ。

デモ会場では、Steam DeckでオープンワールドRPG『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』をプレイすることができた。

Steam Deckは、今春にGeForce NOWのネイティブアプリが登場したが、リリース当時は最大60fpsにしか対応していなかった。今回最大90fpsに対応したことで、Steam Deckの90Hzディスプレイを最大限に利用できるように。デモ機のゲーム内オーバーレイでは、実際に90fpsで動作していることが確認できた。

ロジクールのハンコン「G29」「G920」に対応

今回の新サーバーの導入に伴うアップグレードでは、新たに周辺機器のサポートが拡大し、GeForce NOWでロジクールのハンコン(レーシングホイール)「G29」「G920」が利用できるようになった。

デモ会場では、レーシングゲーム『ザ・クルー:モーターフェス』をLogicool G29でプレイすることができた。

G29はフォースフィードバックに対応しており、コースアウトしたときや、急にハンドルを切ったときなどタイヤに抵抗が加わるシーンで手に振動が伝わってくる。

レースゲームでは、映像とフィードバックのタイミングがズレると違和感が出てしまうが、GeForce NOWならほぼズレなくフィードバックが伝わってきて、ローカルPCに匹敵する感覚でゲームを楽しむことができた。今回のデモ会場には用意されていなかったが、シフターにも対応するとのことだ。

クラウドゲーミングは次なるフェーズへ。ローカル環境と変わらない時代へ

GeForce NOWは、「GeForce NOW Blackwell RTX アップグレード」によって、クラウドゲーミングの常識をさらに塗り替えた。新サーバー「GeForce RTX 5080 SuperPod」の導入によって、いまではローカルPCと遜色ない感覚でゲームを楽しめるようになっている。

「Cinematic-Quality Streaming」による高画質化や、「Install-to-Play」での対応タイトル拡大により、これまでクラウドの弱点とされてきた柔軟性や画質が大きく改善されたのもポイントだ。通信環境さえ安定していれば、あらゆるデバイスから最大5K/120fpsというハイエンドな映像でプレイできるのは、ユーザーにとって大きな魅力だろう。

さらに、Steam DeckやLenovo Legion Go Sなどのハンドヘルドデバイスでフレームレートが向上したほか、ロジクールのハンコン「G29」「G920」にも対応。携帯型や周辺機器でも快適に遊べる環境が整ってきたことで、GeForce NOWのプレイスタイルはこれまで以上に自由になった。

どこでも遊べる手軽さと、ローカル環境に匹敵する描画品質。その両方を兼ね備えた今回のアップグレードは、クラウドゲーミングが次のステージに進んだことを実感させてくれる内容だった。

今回のアップグレードはすでに日本向けに展開されており、各新機能についても利用できる状態になっている。プランの確認・購入は公式サイトから。

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