
朝の慌ただしいなか、出発直前にまさかの鍵が見当たらない。海外出張先で、ふとバッグの中を確認すると財布がないことに気づき、血の気が引く。私たちは日々、大切なものを失うリスクと隣り合わせに生きている。
特に、出張や旅行など普段とは違う環境に行く際に、大事なものを紛失することが多い。そんなトラブルを未然に防ぐことができるのが、スマートタグ(紛失防止タグ)だ。
今回、昨年12月に国内上陸を果たした「Pebblebee」の販売代理店であるソースネクストから「Pebblebee ユニバーサル」3モデルの実機を提供いただき、数ヶ月にわたり様々な状況で活用してきた。
Pebblebeeは、私たちの「見つからない」を「見つける」に変えることができるのだろうか?実際に使ってみて感じた、その実力をじっくりお伝えしたいと思う。
Appleの「探す」、Googleの「検索ハブ」両方に対応したスマートタグ

「Pebblebee」は、米国PB Inc.社が開発したスマートタグで、Appleの「探す」とGoogleの「検索ハブ(旧:デバイスを探す)」の両方のネットワークに対応しているのが特徴。対応OSを選ばず、iPhoneでもAndroidでもフル機能を活用できる点が最大の強みだ。
まず注目したいのは、そのネットワークの仕組みだ。PebblebeeはiPhoneやAndroid端末の標準機能をそのまま活用しており、Apple製品なら「探す」アプリ、Androidなら「検索ハブ」アプリを使えばよく、専用アプリをインストールする必要はない。この純正サービスとの連携のスムーズさは、他社製スマートタグにはないメリットと言えるだろう。
一応、Pebblebee公式アプリも存在するが、まだ日本語に対応しておらず、Pebblebeeを利用するために本アプリは必須ではないため、純正の「探す」「検索ハブ」アプリでのみ管理する形でもOKだ。

Pebblebeeには「クリップ型」「カード型」「タグ型」の3タイプがラインナップされている。いずれも搭載されている機能に差はなく、形状の違いによって用途を分けられるようになっている。
たとえばクリップ型はカラビナ付きで、鍵やバッグへの取り付けに向いたスタンダードなタイプのスマートタグ。カラビナは外に開くのではなく中に押し込むようにして開けるタイプのため、無理に外に開けようとして壊さないように注意。

カード型は財布のカードスロットにぴったり収まる薄さとサイズ感。邪魔にならず、紛失防止にはもってこいだ。

タグ型はコンパクトサイズで、両面テープで固定したり、付属のシリコンストラップを使えば、色々なものに取り付けられる。最も自由度が高い形状のため、発想次第でどんな使い方もできる万能型とも言える。


本体はいずれもIPX6の防水性能が備わっているため、雨や水濡れによる故障を心配する必要がなく、アウトドアでも安心して使うことができる。


スマートタグは使い捨て式のものと電池交換式のもの、そして充電式のものが一般的だが、Pebblebeeは3タイプすべてが充電式。しかも、クリップ型は汎用的なUSB-Cで充電でき、他のデバイスと充電器を併用しやすいのが嬉しいポイント。カード型・タグ型は専用ケーブルでの充電となるため、ケーブルの紛失には注意していただきたい。
一度の充電での連続使用期間も優秀。クリップ型は最大12カ月、カード型は最大18カ月、タグ型は最大8カ月と、いずれも長期間の運用が可能だ。バッテリー残量を気にせず安心して持ち歩けるのは大きな魅力と言えるだろう。
セットアップは非常にシンプルで、iPhoneなら「探す」アプリの「その他の持ち物を追加」から、Pebblebee本体のハチのロゴを2回押してペアリングモードにすればOK。Androidでも「検索ハブ」アプリから同様の手順で登録できる。自動検出には対応しないが、ペアリング操作自体は直感的で迷うことはない。
ただし、iPhoneの「探す」とAndroidの「検索ハブ」の両方を使うことはできず、「探す」に登録した場合は「検索ハブ」のネットワークは利用できないため、OSをまたいでの連携ができないことは覚えておこう。

ペアリング後には、「探す」アプリ上でPebblebeeのリアルタイムの場所、もしくは一番最後にネットワークに引っかかった場所が表示される。
先日立ち寄った中国の上海浦東国際空港では、Pebblebeeを入れておいた旅行カバンが無事上海に到着している(=同じ飛行機に乗ってきた)ことが確認でき、アプリの位置情報のおかげでターンテーブルでもスムーズに荷物をピックアップすることができた。
また、帰国のときには上海浦東国際空港に到着してから数時間で成田空港行きに乗り継いだため、途中での荷物のピックアップはなかったのだが、アプリでチェックしたところ無事上海浦東国際空港に旅行カバンが到着していることが確認できた。
同じように、フランクフルト国際空港、香港国際空港、台北松山空港など複数の国際空港でアプリを開いてチェックしてみたところ、いずれの空港でもPebblebeeを入れた旅行カバンをきちんとトラッキングできていたことから、旅行用としても安心して使うことができそう。ロストバゲージ対策としてもオススメだ。

純正の「探す」アプリが利用できると、持ち物が離れたときに通知する機能やサウンド再生機能などの純正機能も問題なく利用でき、AirTagユーザーにとっては操作感に大きな違いがないのも嬉しいポイントだ。
サウンド再生機能は、LEDライトの点滅と本体からの音で場所を教えてくれる。音量はかなり大きめで、旅行カバンの中に入っていても耳をすませば音を確認できるくらい。また、一般的なスマートタグは音だけで通知するものが多いが、Pebblebeeの場合はライトの点滅で視覚的にも位置を探せるのが便利だ。
Pebblebeeの唯一惜しい点は、UWB(超広帯域無線通信)に対応していないこと。AirTagのように方向と距離を細かくガイドしてくれる機能は使えないため、近距離での精密な捜索にはやや劣ると言えるが、音だけでなく光でも場所を教えてくれる仕様のおかげで、今のところ困ったことはない。この点に関しては大きなデメリットにはならなそうだ。
ここまでお伝えしてきたとおり、PebblebeeはApple/Google両対応、充電式、3タイプの本体形状、防水性能と、非常にバランスのとれたスマートタグだ。AirTagやそのほかのスマートタグでは取り付けられないけどトラッキングしておきたい、そんな持ち物があれば、ぜひPebblebeeを検討してみてはどうだろうか。
Pebblebee ユニバーサルはいずれのモデルも4,980円(税込)で購入可能だ。