
Appleは米国時間6月9日、年次開発者会議「WWDC25」の基調講演において、Apple Vision Pro向けのOS最新版「visionOS 26」を発表した。中でも注目を集めたのが、ソニーの「PlayStation VR2 Senseコントローラー」に正式対応するという発表だ。
Apple Vision ProがPS VR2コントローラーをサポート
Vision Proはこれまで、コントローラーを排した手と視線による独自UIを特徴としていたため、実質的に3DoFデバイスとしての利用シーンが多かった。
しかし、今秋のvisionOS 26で「PlayStation VR2 Senseコントローラー」が利用できるようになることで、ついに本格的な6DoF入力に対応することに。

PS VR2 Senseコントローラーは、2023年2月に発売した「PlayStation VR 2」向けのコントローラー。空間認識、フィンガータッチ検知、ハプティックフィードバックといった高度な機能を搭載している。
Appleは、Apple Vision Proを発表した2023年当時、「コントローラーへの対応予定はない」と明言していたためこの方針を転換したかたちだが、ゲーム開発者にとっては、UnityやUnreal Engineベースの既存VRタイトルをVision Pro向けに移植する道が開けたことになる。ハンドトラッキングだけでは難しかったゲーム操作やアクションが、コントローラーの導入によって大幅に改善されることが期待される。
Appleは現時点で具体的な対応ゲームタイトルを明かしていないが、AAA級VRゲームがVision Proに本格参入する可能性が十分にある。これまで「見る・触れる」「コミュニケーション」が中心だったVision Proの体験は、今後「遊ぶ・操作する」というアクティブな方向へと大きく舵を切ることになるだろう。
空間スタイラス「Logitech Muse」サポート。空間で描くMRクリエイティブ

もうひとつの注目すべきハードウェアは、Logitechが発表したVision Pro専用スタイラス「Logitech Muse」だ。
これは、6DoFトラッキングに加えて圧力感知、ハプティック、ジェスチャー入力といった多機能を備える空間入力デバイスで、主にクリエイティブ用途やコラボレーションツールでの活用が想定されている。
たとえば、アプリ「Spatial Analogue」では、空間上に図形を描いたり、ホワイトボードに手書きで注釈を加えたりといった直感的な操作が可能になる。

Logitechにとっては、Meta Quest向けに展開する「MX Ink」のノウハウを活かし、Vision Pro市場にも本格参入したかたちだが、Appleにとってはより多くのユーザーにVision Proの購入意欲を刺激するチャンスとなるだろう。
なお、「visionOS 26」では法人・教育現場での利用を想定し、複数ユーザー間で共有する機能の実装も予定している。たとえば、法人ではエンジニアリングやデザインレビュー、医療トレーニングなど、精緻な操作と空間的な再現性が求められる業務において、より実用的なMR環境の構築を支援できるはずだ。
関連リンク
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(画像:Apple)