12月9日、ハリウッド映画 「インディ・ジョーンズ」 シリーズを原作にしたアクションアドベンチャーゲーム『インディ・ジョーンズ/大いなる円環 (原題:Indiana Jones and the Great Circle)』が、Xbox Series X|S、PC向けに遂に発売した (PlayStation 5版は2025年春の発売を予定) 。
本作でプレイヤーは伝説の考古学者 「インディ・ジョーンズ」 になり、知識と機転を生かして世界中に散らばる古代の謎を解き明かし、古代の力の秘密を求める邪悪な勢力たちに挑むことになる。
本作の発売に合わせて、開発を担当したMachine Gamesのクリエイティブ・ディレクターであるAxel Torvenius氏へインタビューする機会に恵まれ、『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』の開発に関するエピソードや、発売直前の心境などを聞くことができた。本作の開発の裏話的なものが見たい方はぜひご覧いただきたい。
なお、本稿とは別に『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』のレビューも公開している。作品の特徴を知りたい方は併せてチェックいただきたい。
ハリソン・フォード氏が演じる当時の 「インディ・ジョーンズ」 の再現に苦労した本作
筆者:
開発も完了して、いよいよリリース間近ということで、今の心境を教えてください (※本インタビューは発売日直前に実施した)。
Axel Torvenius氏:
まず最初に、このような機会をいただいてありがとうございます。現在はアーリーアクセスということで一部ユーザーがプレイ可能になっていますが、今月9日がいよいよ正式ローンチとなります。非常に長い時間と情熱をかけて作ってきたこの作品が、やっとこの世に出る、いよいよ世界のプレイヤーの手に届くということで、私たちはとてもワクワクしています。情熱を持ってやってきました。これが世界の皆さんの手元に届くということでとてもワクワクしています。
筆者:
「インディ・ジョーンズ」 のゲームを作るにあたって、どういう表現をすることで 「インディ・ジョーンズ」 らしさを表現できると考えたのでしょうか。
Axel Torvenius氏:
いい質問ですね。これに回答するだけでもう何十時間も話すことができると思いますが、まず重視したのはできるだけオリジナルを尊重し、再現することに注力しました。これは開発の早い段階から考えていて、なるべく『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の当時のインディに近づけることにチームとして心がけてやってきました。そして、本作はアドベンチャーゲームということでストーリー性がとても重要であるということ。アクションもありますが、よりストーリーを大事に開発しました。
筆者:
本作では、映画版の 「インディ・ジョーンズ」 を再現することに注力したと思うのですが、一方でゲームだけのオリジナルの要素があったら教えてください。
Axel Torvenius氏:
私たちが追加したものはいくつかあります。それらはいずれもチャレンジングなものでした。というのも、「インディ・ジョーンズ」 は世界的に有名なキャラクターであり、そのゲーム化においては、プレイヤーが自由に選択できるインタラクティブな体験を提供しながら、オリジナルのキャラクターとブランドの本質を維持する必要があったからです。
その一例として、インディにカメラを持たせました。プレイヤーは進行に必要なヒントを撮影し、ジャーナルに記録することができます。原作の映画にもヒントの要素は存在しましたが、本作は完全なオリジナルストーリーであるため、カメラがヒントを提供する重要なツールとして機能します。
筆者:
ほかのインタビューで、1人称視点での操作を基本とした理由として、Machine Gamesが1人称視点のゲーム制作に長けていること、そしてプレイヤーがインディになりきることができることの2点が挙げられていましたが、一方で3人称視点でプレイしたかったという声もチラホラ見受けられます。これについてはどう感じていますか。
Axel Torvenius氏:
他のインタビューでも述べたとおり、我々はこの1人称視点での制作が最も優れた体験を提供できると考えてきました。世の中には様々なゲーマーがいて、特定のゲームは特定の視点でプレイするべきだと考える人や、他のアドベンチャーゲームが3人称視点だから本作も3人称の方が良いと考える人もいるでしょう。しかし、我々はそういったトレンドにとらわれない集団であり、常に新しいものを追求します。その結果、最適だと判断した形で実現してきました。そして、Machine Gamesの興味として 「インディ・ジョーンズ」 を1人称で作ることを選びました。ただし、すべてを1人称視点にしたわけではありません。鞭を使って登る場面や寺院の端を歩くシーン、カットシーンなどでは3人称視点を採用し、両方の視点をバランスよく取り入れた作品に仕上げています。
リボルバーは携えるがそれを使うことが必ずしもベスト解ではない
筆者:
本作でインディは銃と肉弾戦を駆使して戦いますが、映画のインディは銃をひたすら撃ちまくっている印象はあまりないです。同じように、ゲームでプレイヤーが銃よりも肉弾戦を選択するように工夫していることがあったら教えてください。
Axel Torvenius氏:
この課題については開発の早い段階から取り組んできました。銃の扱いには特に慎重でした。我々の過去の作品はシューティングが多かったのですが、インディ・ジョーンズはそういったキャラクターではありません。おっしゃる通り、ゲーム内でも銃をあまり使わないキャラクターとして描きたかったのです。そのため、肉弾戦や鞭の使用、敵を回避するなど、他の方法を重視して設計しました。もちろんプレイヤーの選択肢としてリボルバーも用意していますが。
我々は、銃の使用が状況を悪化させるように設計しています。銃を撃てば敵も応戦し、自分への危険度が増すため、他の方法での切り抜けを推奨しています。テストプレイでは、プレイヤーの皆さんがこれをすぐに理解してくれました。銃を使うことがベストな選択ではないと。我々が目指したのは、まさにそのようなバランスの取れたプレイ体験でした。
筆者:
鞭についてお聞きします。鞭は 「インディ・ジョーンズ」 シリーズを象徴するアイテムで、あれがなければ、おそらく 「インディ・ジョーンズ」 を名乗ること自体難しくなる存在だったと思うのですが、あの鞭をゲーム内で再現し、ゲームシステムに組み込むことは難しかったのでしょうか。
Axel Torvenius氏:
おっしゃるとおり。鞭と帽子は 「インディ・ジョーンズ」 という作品の象徴的なアイテムであり、欠かすことのできない重要な要素です。口で言い表すことができないほど努力が必要でした。
プログラマー、エンジニア、コーダー、アニメーターなど様々な部門が4年の歳月をかけて取り組み、鞭が使える環境を構築し、どのように鞭をキャラクターが使えるようにするか、これをゲーム内でいかに楽しく使えるものにするかなど、想像を超えるほどの時間と工夫を重ねました。
鞭は3Dモデリングを構築し、その感触・音に至るまで徹底的にこだわりました。音に関しては、スウェーデンの鞭コンテストのチャンピオンのもとへ実際に赴き、本物の鞭の音を収録したんですよ。
筆者:
ゲーム開発中における、ユニークなエピソードや、苦労したエピソードなどがあったらぜひ教えてください。
Axel Torvenius氏:とても多くの挑戦が伴う作業でした。少人数のスタジオで規模の大きなゲームを制作するのは本当に大変でした。ただ、ルーカスフィルムゲームズと協力してゲームを開発できたことは、とても楽しく貴重な経験でした。
一方で、これほど有名なIPを高品質なゲームとして形にすることには、非常に大きなプレッシャーがありました。たとえば、「インディ・ジョーンズ」 の映画にどれだけ近づけるか、動きや音をどうするかなど、細部にわたって考え抜く必要がありました。特に、インディらしい見た目を再現することには苦労しましたね。
印象的なエピソードとしては、素晴らしいミーティングがいくつもありました。その中でも特に、俳優の方々が声優として参加してくれた時のことが思い出に残っています。彼らがミーティングに参加してくれたことは、とても特別な経験でした。
筆者:
最後に、本作を楽しみにしている日本のユーザーに対してコメントをいただけると嬉しいです。
Axel Torvenius氏:
まず、このようなインタビューの機会をいただきありがとうございます。そしてMachine Gamesのファンの皆さん、このゲームをプレイする機会を持っていただきたいと期待しています。我々は、このゲームに対して愛と情熱をこめて一生懸命作ってきました。「インディ・ジョーンズ」 を知っている人はとても楽しんでいただけると思いますし、知らない人も 「インディ・ジョーンズ」 を知る良い機会になると思います。この品質の高いゲームをぜひ楽しんでいただければと思います。
筆者:
こちらこそありがとうございました!
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(画像提供:Bethesda Japan)