日本でも発売 「Copilot+ PC」 とは何か。AI PC世代の本格普及に備えよう

AIとPCの進化の速度が凄まじい。OpenAIの生成AI 「ChatGPT」 が昨年登場し、生成AIの代名詞のような存在になっているが、同AIサービスの登場によって、堰を切ったように続々と生成AIを使用したサービスが登場している。

これらの生成AIの機能をネイティブに使えるようにするには、一定の性能をもったPCが必要だ。Microsoftは “AIファースト” の新しいPCカテゴリとして 「Copilot+ PC」 を発表し、主要ラップトップパートナーからはこの 「Copilot+ PC」 に準拠する新型PCが次々と発表・発売している。

「Copilot+ PC」 の国内発売に先立ち、日本マイクロソフトは6月17日に 「Copilot+ PC 発売記者説明会」 を開催。改めて 「Copilot+ PC」 について紹介するとともに、国内でも発売した 「Surface Laptop」 「Surface Pro」 をはじめ、OEMパートナーのデバイスを国内でいち早く体験できるブースなども用意された。

同説明会に筆者も参加し、最新の 「Copilot+ PC」 に触れるとともに、日本マイクロソフトやOEMパートナー各社の担当者からお話を聞くことができた。本稿では、国内発売を受けて、改めて 「Copilot+ PC」 とはなんなのか、どんなことができるのかをまとめたいと思う。

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「Copilot+ PC」 とは?改めておさらい

まずは 「Copilot+ PC」 について簡単に紹介を。「Copilot+ PC」 は、PCに内蔵するAIハードウェアとOS全体でAI機能をサポートする、いわば “AIファースト” の新しいPCカテゴリのことだ。

「Copilot+ PC」 として認められるためには、Microsoftが定める一定のスペック要件を満たしていることが求められる。まずは40 TOPS以上のパワーを持つNPUを搭載していることが必要で、現時点でそれを満たす最初のチップが、Qualcommの新しい 「Snapdragon X」 シリーズだ。IntelおよびAMDのチップを搭載した 「Copilot+ PC」 は今年後半に登場することが明らかにされている。

「Copilot+ PC」 のスペック要件としては、他に16GBのRAM、256GBのSSDを内蔵することも求められる。

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「Copilot+ PC」 で利用できる新機能

今回の発表会で日本マイクロソフトは、「『Copilot+ PC』はこれまでで最も早く、最も高性能なWindows PC」 であると紹介するとともに、「Copilot+ PC」 で利用できる画期的な新機能について、デモを交えながら紹介した。

まずは、プロのイラストレーターではなくても簡単にオリジナル画像を作ることができる画像生成機能について。「Copilot+ PC」 では、プロンプトを入力することで一からオリジナル画像を生成する 「Image Creator」 と、自分で描いた下書きなどを元にオリジナル画像を生成する 「Cocreator」 の2種類の機能が提供される。

「Image Creator」 はフォトアプリから使うことができ、上部にある入力バーに自然言語で画像のイメージを入力するだけで、簡単にイメージどおりのオリジナル画像を生成できる。画像は一度に20枚まで生成可能だ。

発表会のデモでは 「海辺の風景」 と入力すると、砂浜や波打ち際、黒くてゴツゴツした海辺の岩などが描かれた海辺のイラストが一瞬で生成されていた。

描きたいイラストの構図が決まっていたり、下書きなどが用意できるなら、「Cocreator」 が便利。ペイントアプリから利用でき、自分で描いたイラストとプロンプトを組み合わせて画像を生成できる。

デモでは 「夕日の海辺」 とプロンプトを入力して、水平線と海、夕日をキャンバスに簡単に描いたところ、プロンプトどおりの本格的な海と夕日のイラストが出来上がっていた。

ユーザーが描いたイラストに対し、AIがどれくらい関与するのかは 「創造性」 スライダーで調整する。0に近ければユーザーが描いたオリジナルに近い仕上がりになり、100に近ければほぼAIが生成した画像になる。イラストの 「スタイル」 も選ぶことができ、水彩画や油絵といった絵のタッチを選ぶことで、より自分好みに仕上げることができる。

「Cocreator」 については、発表会後のデモエリアでも実機での動作を確認することができたのだが、「創造性」 のスライダーは高め (80くらい) に設定しておかないとうまく画像が生成できなかったり、プロンプトを細かく書き込まないと思い通りのイラストにならなかったりと、まだ新しい機能ということで調整が必要な印象も受けた。このあたりは今後のアップデートでの改良に期待したいところだ。

文書やウェブの検索内容など、PC上で過去に作業した内容をスクリーンショットから直感的に探すことができる 「リコール」 も便利な機能のひとつ。PC側で定期的に画面のスクリーンショットを自動で撮影してタイムラインを作成し、そのタイムラインをさかのぼって検索したり、見たままのイメージをテキストで入力することで、以前作業したけど思い出せないファイルやメール、Webページなどに瞬時にたどり着くことができる。

デモでは、画面上部にある検索バーに 「青いグラフ」 と入力したところ、青いグラフが使われたエクセルやパワーポイントなどで作業している様子を写したスクリーンショットが表示された。同機能を使えば、「誰かからメールで共有してもらったのは覚えているんだけど、どういう資料だったかな……」 を簡単に解決できるはずだ。

リコール機能については、デモエリアの担当者もどのタイミングでどれくらいの枚数のスクリーンショットを撮影しているのかまでは把握できていないとのことだったが、作業を変える (画面を変える) タイミングで撮影したものが多く保存されており、同じ作業中のスクリーンショットはできるだけ上書きして圧縮するなど、PC本体の保存領域に負荷がかからないように工夫されている可能性が高いと話していた。

ちなみに、リコール機能はデフォルトではオフになっていて、利用したい場合はユーザー自身で機能をオンにし、Windows Helloの登録が必須になる。ユーザー本人がPCの前にいることを確認して初めて利用できる機能ということだ。スナップショットについても暗号化されており、必要なら削除もできるため、安心して使うことが可能だ。

担当者によると、リコール機能は現時点ではプレビュー版であり、一般ユーザーが利用できるようになるのは安心して使えるタイミングになってから、とのことだった。今後の情報に注目しておきたい。

このほかにも、ビデオ通話でカメラやマイクに特殊効果を適用する 「Windows Studio エフェクト」 が強化されており、暗い環境でもより明るい映像を相手に届けることができたり、新たに追加された3つのクリエイティブフィルター (イラスト、アニメーション、水彩画) を適用したり、画面の文書を読みながらアイコンタクトを維持する 「アイコンタクト」 機能などが利用できる。

「Copilot+ PC」 の登場でPCでのAI体験がいっそう進化

「Copilot+ PC」 は、新たに “AIファースト” のPCカテゴリとして設けられた規格で、日本国内でも 「Surface Pro」 「Surface Laptop」 をはじめ、デル/レノボ/HP/エイサー/ASUSなどのOEMパートナー各社から 「Copilot+ PC」 に準拠したPCが順次発売している。

「Cocreator」 や 「リコール」 などの画期的な新機能により、従来のPCではできなかったAI体験ができるようになったことで、ユーザーはより創造性にあふれる作業を実現できる。今年後半には、IntelおよびAMDのチップを搭載した 「Copilot+ PC」 も登場するとのことで、今後の展開も気になるところだ。

また、現時点で 「Copilot+ PC」 に搭載されている 「Snapdragon X」 シリーズは省電力性に優れており、日本マイクロソフトは従来のPCよりバッテリー駆動時間が伸びていることもアピールしている。

バッテリー駆動時間については、デモエリアでASUS JAPANとレノボ・ジャパンの担当者と少しお話をすることができたのだが、どちらの担当者もスタンバイ時や負荷があまり高くない作業をする上でのバッテリー駆動時間は長くなったと感じているようだ。

これについては、実際に実機を持ち歩いてみて検証してみたいところだが、従来まではただ外出時に持ち歩いているだけでノートPCのバッテリーがなくなってしまっていたという話もあったことから、「バッテリー持ちが良いPCが欲しい」 というユーザーの選択肢にもなることができそうだ。

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