現地時間6月10日、Appleは開発者向けイベント 「WWDC24」 の基調講演を開催。次期iOSとなる 「iOS 18」 を発表した。本稿では、基調講演の発表をもとに 「iOS 18」 の新機能をまとめた。
- 「iOS 18」 新機能
- ホーム画面:アプリを自由に配置できるように
- コントロールセンター:デザイン刷新、グループ分けしてスワイプで切り替え可能に
- ロック画面:下部のボタンを 「フラッシュライト」 「カメラ」 以外に切り替え可能に
- 写真アプリ刷新。検索がよりシンプルに
- メッセージアプリに新しいテキストエフェクトが導入
- メールアプリ刷新。カテゴリ分け対応
- Safariでハイライト機能追加、長い記事の要約や目次が導入
- パスワードアプリが登場
- 任意のアプリのロック・非表示が可能に
- アプリが見られる連絡先をユーザー側で決められるように
- Appleマップでウォーキングコースを作成可能に
- Apple Intelligenceが導入
- ゲームモードが追加
- Apple Payでポイント利用や分割支払いなどの支払い方法を利用可能に
- 2台のiPhoneを近づけてApple Cashの送信・受領が可能に
- Appleウォレットのチケット表示がよりリッチに
- メモアプリで計算式が自動計算
- ジャーナルアプリに詳細情報ビューが追加
- カレンダーにイベントとリマインダーのタスクが表示
- ヘルスケアアプリでメディカルIDが再設計
- 緊急SOSライブビデオが追加
- ホームアプリにゲストアクセスが導入
- 「iOS 18」 リリース時期はいつ?
- 「iOS 18」 対応デバイスは?
「iOS 18」 新機能
ホーム画面:アプリを自由に配置できるように
まずは 「iOS 18」 の最大の目玉機能とも言える、 ホーム画面の改良について。これまで多くのユーザーから要望として挙がっていたアプリの自由な配置が、ようやく 「iOS 18」 で可能になる。
壁紙にあわせてアプリの配置する場所や個数を見直し、スマートなホーム画面を作ることができそうだ。
また、アプリアイコンは好きな色に変えられる機能も実装。これにより、壁紙の色に合わせた統一感のあるホーム画面を作ることが可能になる。
コントロールセンター:デザイン刷新、グループ分けしてスワイプで切り替え可能に
特定の設定に素早くアクセスするための 「コントロールセンター」 が 「iOS 18」 で再設計され、最も使う機能に素早くアクセスできるように。具体的には、最も利用する機能をグループ分けし、そのグループを上下のスワイプで簡単に切り替えられるように。
さらに、他社製アプリもコントロールセンターに配置できるようになるため、設定アプリや各サードパーティ製アプリを開かずとも、さまざまな機能を切り替えできるようになる。
コントロールギャラリーでは、純正アプリやサードパーティ製アプリを含むすべてのオプションが表示。ここからコントロールセンターをカスタマイズできるようになるという。
ロック画面:下部のボタンを 「フラッシュライト」 「カメラ」 以外に切り替え可能に
iPhoneのロック画面下部に表示されるふたつの丸いボタン。これまでは 「フラッシュライト」 「カメラ」 に固定されていたが、「iOS 18」 からはユーザーの好きな機能を割り当てることが可能になる。また、削除することも可能だ。
写真アプリ刷新。検索がよりシンプルに
「iOS 18」 の写真アプリが刷新され、お馴染みのグリット表示のほか、テーマ別にグループ化されたコレクションが表示されるように。左右のスワイプでライブラリや特定のコレクション等を切り替えて表示することもできる。
コレクションの内容は毎日アップデートされ、お気に入りの人物やペット、場所などを取り上げるハイライトも表示されるようになる。コレクションの表示や並びは、ユーザーの手でカスタマイズできる仕組み。
また、ライブラリに関してはフィルター機能が導入され、撮影した順に並び替えたり、スクリーンショットやビデオ、編集済みの写真だけを表示するオプション等も用意される。
メッセージアプリに新しいテキストエフェクトが導入、衛星通信経由のメッセージが導入
メッセージアプリがちょっぴり便利に。まずは、メッセージに対して太字や下線、斜体、取り消し線などの書式を追加できるようになるほか、メッセージに対してリアクションを付与する際、新たに絵文字やステッカーを付与することが可能になる。
メッセージを送信する時間を設定できるようになるため、たとえば友人の誕生日になった瞬間にメッセージを送る、といったことも可能になる。
さらに、メッセージアプリは 「RCS」 をサポートするようになり、Apple以外のデバイスともSMS/MMSよりもリッチなメディアを利用してメッセージの送受信ができるように。なお、RCSをサポートするメッセージングサービスは 「Google メッセージ」 のほか、+メッセージやRakuten Linkがサポートしている。
また、「iOS 18」 からはモバイル通信/Wi-Fi通信が利用できない場合でも衛星通信を利用してメッセージアプリの機能 (iMessageやSMS、絵文字やTapbackなど) をフルで利用できる。利用できるのは 「iPhone 14」 以降で、米国において利用可能だ。
メールアプリ刷新。カテゴリ分け対応
Appleの純正メーラー 「メール」 アプリは、オンデバイス処理で各メールを自動でカテゴリー分けしてくれるように。
プライベートなものや緊急性の高いものは 「重要」 ボックスに入れ、確認メールや領収書は 「取引」 ボックスに入れられる。ニュースやソーシャルメディアの通知は 「アップデート」 に、マーケティングのEメールやクーポンは 「プロモーション」 に振り分けられるという。
また、ひとつの企業から関連するメールを受け取っている場合にはすべててまとめられたダイジェスト表示にも対応する。
Safariでハイライト機能追加、長い記事の要約や目次が導入
ブラウザ機能である 「Safari」 もアップデートで強化される。機械学習を使って、Webページ内の重要な項目を浮かび上がらせることが可能に。たとえば、記事の要旨を把握するために要約を確認する、レストランやホテル、ランドマークの場所をすばやく確認する、曲やアルバムに関する記事から直接アーティストの曲を聴くといったことができるという。さらに、リーダー機能には要約や目次表示が導入され、記事をさらに読みやすくなる。
「パスワードアプリ」 が登場
「iPadOS 18」 では、キーチェーンを基盤にした 「パスワード」 アプリが新たに登場。これまで設定アプリに内包されていた 「パスワード」 の項目が単体アプリに昇格したかたち。
各サービスで利用しているパスワードやパスキー、Wi-Fiパスワード、確認コードに簡単にアクセスできる。また、容易に推測できるパスワードや複数回使用されたパスワード、既知のデータ漏洩に含まれているパスワードなどの脆弱性に関してユーザーに警告する機能も用意されている。
任意のアプリのロック・非表示が可能に
自分のiPhoneを他の人に渡して写真を見せたり、ゲームをするとき、「iOS 18」 では見られたくないアプリをロックする機能が追加。ロックしたアプリを誰かが開こうとすると、Face IDやTouch ID、パスコードでの認証を求められる仕組みだ。
ロックしたアプリの通知は表示されないほか、アプリ内の情報も検索できないようになっているため、他の人にアプリの内容を知られることがない。
また、特定のアプリを非表示にする機能も追加。非表示にしたアプリはアプリライブラリのロックされた非表示アプリフォルダに格納される。
アプリが見られる連絡先をユーザー側で決められるように
サードパーティアプリの中には、iPhoneの連絡先へのアクセスを求めるものがある。現在は連絡先へのアクセスをアプリに許可すると、アプリは連絡先に登録されている全員の情報を取得できるが、「iOS 18」 ではアプリが見られる連絡先の範囲をユーザーが決められるようになる。
Appleマップでウォーキングコースを作成可能に
Appleマップでは、米国の63の国立公園の詳細なトレイルやハイキングルートを含む新しい地形図が加わる。ユーザーは自分だけのウォーキングコースを作成できるようになり、iPhoneに保存してオフラインでアクセスすることも可能だ。
Apple Intelligence
「iOS 18」 では、Appleの生成AI 「Apple Intelligence」 が利用できる。メールやメモアプリなどで 「書き直し」 「校正」 「要約」 を利用したり、メッセージアプリや 「Image Playground」 でオリジナル画像を生成できる。
写真アプリのメモリーでは、ユーザーが入力した説明をもとに 「Apple Intelligence」 が素材となる写真やビデオを選び、流れのあるムービーを作成してくれるほか、新しい 「クリーンアップツール」 により、被写体に影響を与えることなく、背景の不要な対象物を削除できる。
「Apple Intelligence」 によってSiriもより賢くなり、これまで以上に自然で状況に合ったパーソナルな対応をしてくれるように。また、これまでSiriとのやりとりには声を発する必要があったが、今後は文字入力でもやりとりができるようになる。
さらに、Siriや記述ツールにはChatGPTへのアクセスが統合されており、回答の幅が従来のSiriから大幅に向上する。写真・ドキュメント、PDFを用いた質問も可能だ。
ゲームモード
iPhoneが 「ゲームモード」 に対応。Macの 「ゲームモード」 と同様、長時間のプレイセッション中にバックグラウンド処理を最小限にし、一貫したフレームレートを維持する。また、ゲームモード中はAirPods Pro (第2世代) やコントローラーなどのワイヤレスアクセサリのレイテンシを減らし、反応速度を向上させる。
Apple Payでポイント利用や分割支払いなどの支払い方法を利用可能に
Apple Payでは、対象のクレジットカードやデビットカードでポイントを利用したり、分割支払いをするなど新しい支払い方法を利用可能になる。これらの機能は特定市場の対応している銀行とカード発行会社のカードにのみ対応し、利用資格と承認が必要とのこと。
2台のiPhoneを近づけてApple Cashの送信・受領が可能に
Tap to Cashが追加され、2台のiPhoneを近づけるだけでApple Cashを送信したり、受け取ることが可能。電話番号やメールアドレスを共有することなく、より簡単にキャッシュのやり取りができるようになる。
Appleウォレットのチケット表示がよりリッチに
ウォレットアプリでチケットのデザインが一新。会場の情報やApple純正アプリからのおすすめが表示される。たとえばコンサートのチケットでは、Apple Musicプレイリストなどにアクセスできるようになる。
メモアプリで計算式が自動計算
メモアプリで入力した計算式が瞬時に計算される 「計算メモ」 機能が追加。新たに折りたためるセクションやハイライト機能も追加され、重要な内容を簡単に強調できるようになる。
ジャーナルアプリに詳細情報ビューが追加
ジャーナルアプリに新しい詳細情報ビューが加わり、連続記録日数やカレンダー、統計情報をチェックできる。検索機能により、過去のエントリーもすばやく探せるようになる。
また、ジャーナルを記録した時間はヘルスケアアプリのマインドフル時間として保存されるようになるほか、ホーム画面やロック画面からエントリーを書き始められるよう、ジャーナルウィジェットが追加。オーディオ録音は自動で書き起こしされ、ジャーナルエントリーを書き出したり印刷できる。
カレンダーにイベントとリマインダーのタスクが表示
カレンダーにイベントとリマインダーのタスクが表示。カレンダーから直接リマインダーを作成、編集、完了できる。また、「月」 の表示が再設計され、イベントやタスクの概要を一目で確認できるようになる。
ヘルスケアアプリでメディカルIDが再設計
ヘルスケアアプリでは、メディカルIDの再設計により、緊急時に初期対応者が重要な情報を見つけやすくなる。また、妊娠中のユーザーには自分のデータをより理解しやすくなるサポートが追加。
緊急SOSライブビデオが追加
緊急通話中に、ストリーミングビデオやメディアを共有しながらより詳細な状況を伝えることができる 「緊急SOSライブビデオ」 が利用できるように。通話相手の救急隊員などは、共有されたビデオやメディアを参考に、必要な情報をより簡単かつ迅速に指示できる。
ホームアプリにゲストアクセスが導入
ホームアプリに 「ゲストアクセス」 が導入され、特定のスマートホームアクセサリのコントロールをゲストに共有したり、ゲストが家にアクセスするタイミングをスケジュールできる。ホームキーによるハンズフリー解錠は超広帯域テクノロジーを活用し、玄関から1.8メートルのところまで来ると玄関の鍵を開けることができる。
また、「エネルギー」 カテゴリのアップデートにより、ユーザーは自宅の電力使用状況を確認できるようになる。
「iOS 18」 リリース時期はいつ?
Appleの発表によると、「iOS 18」 は2024年秋にリリース予定。正式リリースに先駆けて、本日6月11日より開発者向けにベータビルドが提供されているほか、7月にはパブリックベータ版が提供される予定となっている。
「iOS 18」 対応デバイスは?
「iOS 18」 がサポートする端末は 「iOS 17」 と同じ。具体的には、iPhone XS/XS MaxやiPhone XR以降とiPhone SE (第2世代) 以降をサポートする。
「iOS 18」 の正式リリースは今秋を予定している。正式リリースに向けて、本日より開発者向けデベロッパープレビュー版が、今年7月よりパブリックベータ版が公開される予定だ。
(画像:Apple)