Appleは、iPhoneやiPadに対するアプリ供給口をすべてApp Storeに限定してきた。基本的にApp Storeを通さない限り、iPhoneやiPadにアプリをインストールすることは不可能だ。
しかし、欧州連合(EU)は今年11月、スマートフォン向けアプリの配信や決済について、市場の外部開放を義務付ける 「デジタル市場法 (DMA)」 を発効した。
Appleはサードパーティのアプリストアからのアプリ配信・決済を許可する必要が出てくるとみられているが、これに向けてAppleはApp Store外からのアプリダウンロードを許可する方針であることがわかった。米Bloombergの著名記者Mark Gurman氏が現地時間13日に伝えている。
Mark Gurman氏によれば、Appleはソフトウェアエンジニアとサービス関連の従業員を相当量投入し、App Store外のプラットフォームで配信されるアプリを購入・インストールできる仕組みを作っているとのこと。もし実現すれば、iPhoneやiPadにとって初めてApp Store外からアプリをインストールできることになる。
この仕組みは、早ければ2023年秋に配信される 「iOS 17」 で実現する見込み。App Store外からアプリをダウンロードできるようになることで、ユーザーにとってはアプリの値段やサブスクリプション料金が安くなる可能性がある。一方で、Appleの審査を通さずにアプリをインストールできることになるため、ユーザーのプライバシーに関する懸念も生まれている。
Appleは同法の成立を阻止するため、欧州連合(EU)への働きかけを続けてきた。反対理由としてAppleは、App Store外からアプリをインストールする 「サイドローディング」 を許可することで、ユーザーの端末に安全ではないアプリケーションがインストールされてしまう可能性を挙げ、ユーザーのプライバシーが損なわれるかもしれないと警鐘を鳴らしてきた。しかし、同法が発効されてしまった以上、Appleにはアプリ供給元の外部開放が求められることになる。
Appleのこの決定には、社内の従業員から批判が寄せられているという。一部のエンジニアたちは 「将来的な新機能を開発する上において妨げになる」 と発言しているとのことだ。
Bloombergによると、Appleはアプリが自社ストア以外で配布される場合であっても、一定のセキュリティ要件を義務付けることを検討しているとのこと。つまり、App Store外からダウンロードできるアプリでも、Appleによる審査が必要になる可能性があることになる。
このプロジェクトは、ツール&フレームワークエンジニアリング担当ヴァイスプレジデントであるAndreas Wendker氏が指揮をとっているとのことだ。
「デジタル市場法 (DMA)」 の施行は今年11月だが、プラットフォーム側はすぐに対応を迫られるわけではない。一定の売上・ユーザー数を抱える巨大テック企業およそ10社は 「ゲートキーパー」 と呼ばれ、同法に従い自社のサービスやプラットフォームを他社に開放する必要がある。
まずは、2023年春頃にゲートキーパーたちが発表される。このゲートキーパーに分類された会社は、2023年7月初旬までに自社のコアプラットフォームサービスを欧州委員会に通達し、それから半年以内に同法を守る必要がある。
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